勝てたことが収穫だった天皇杯チャンピオン(千葉ジェッツ)

立ち上がりの10分間は16-26、中地区6位の横浜ビー・コルセアーズが主導権を握る。「チャンピオンになったチームを長い間見てきましたが、安堵感が出てしまうのは致し方ないこと」と大野篤史ヘッドコーチは、この状況も想定内だった。

天皇杯〜オールスターブレイク明けのリーグ再開最初の試合。一つ目の目標を達成したチャンピオンにとっては難しいシチュエーションである。逆に横浜にとっては、金星を狙えるチャンスでもあった。しかし第2クォーター以降、大野ヘッドコーチが「オフェンスに関しては何も言うことはない」というほどの爆発力を発揮し、46-43と逆転に成功。終わってみれば95-79で圧倒し、5909人を集めた千葉ポートアリーナのファンを笑顔にさせた。

「この試合はすごく重要視していた」のは小野龍猛キャプテンも同じである。「天皇杯明けにしっかり戦えることがすごく大事だとも思っていました。出だしは良くなかったですが、後半はチームとして結束し、自分たちのバスケットで勝てたことはすごく良かったです」と安堵し、新たな一歩目を踏み出すことに成功した。

「自信がついた」第3クォーターの小野龍猛

昨シーズンはリーグ戦から右肩上がりに調子を上げ、勢いそのままに天皇杯チャンピオンへと駆け上がった印象がある。しかし今シーズンは、けっして盤石な状況ではなかった。天皇杯前、年末年始のアルバルク東京戦は走らせてもらえず、49点と最低得点で敗れている。また、その試合で富樫勇樹選手もケガで欠く厳しい中で天皇杯に臨まねばならなかった。

「ヘッドコーチも言ってましたが、我々はベストコンディションではなかったです。でも、そういうときこそチームが本当にひとつにならなければ勝てないわけで、それがしっかり天皇杯での3戦では出すことができました。自分たちにとってすごくプラスになっていますし、リーグ戦で勝つためにももっともっとそれが必要になってきます」(小野選手)

苦しい中でもチーム一丸となって勝ち獲った日本一は、「自信がつきました」。天皇杯決勝のシーホース三河戦同様、この日の横浜戦でも小野選手は第3クォーターに得点を重ねて突き放していった。
「自分のシュートが当たれば、外れるまで打ち続けます。もちろん外れても打ち続けますが、しっかり自分の良いところを出していきたいですし、それを継続できるようにしたいです」
『第3クォーターの小野龍猛』という恐ろしい印象を植え付けたと言えよう。

19点を挙げた小野選手の他に、5人の二桁得点者を輩出。「誰か一人が点数を獲るのではなく、今日のようにまんべんなく点数を獲る方が僕たちは強い。その強みを今後もしっかり出していきたいです」と小野選手はさらに自信をみなぎらせている。

次なる目標はチャンピオンシップでのホームコートアドバンテージ奪取

東地区は最下位の栃木ブレックスまでが5割の激戦区だ。天皇杯のような一発勝負のトーナメントを勢いが制する力は、2年連続で証明することはできた。まだ折り返し地点のリーグ戦でもしっかりと勝ち星を積み重ねていくことが、次なる目標へ向かっていくためにも大事になる。

「リーグ戦は長丁場になる分、気が緩んでしまうことがすごく多いです。そこを無くさなければ、一発勝負の場であるチャンピオンシップにもいけません。昨シーズンのようなアウェーの地で戦うのではなく、今年はホームでしっかり臨めるように、これからの一戦一戦を大事に戦っていきたいです」(小野選手)

大野ヘッドコーチは、「成し遂げるものがもう一つあり、チーム全員でその目標に向かって歩んでいかなければいけない。もう一度マインドセットをしていこう」と試合前に話していた。だが、達成感ある中で新たなモチベーションを高めるのは容易ではない。その不安が的中する試合の出だしではあったが、千葉の持ち味である『走るバスケット』を展開して挽回し、勝ち星を積み上げることができた。「今日の時点では、勝てたことが収穫だと思っています」と大野ヘッドコーチも及第点を与え、プレッシャーから解放されたこれからが本当の勝負である。

千葉ジェッツ

文・写真 泉 誠一