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「だろう!」という自信をコートで証明(千葉ジェッツ#34小野 龍猛選手)

オールジャパンで初優勝を飾った千葉ジェッツは、2017年幸先良いスタートを切った。日本一になる少し前、11月5日の仙台89ERS戦から12月18日の富山グラウジーズ戦まで13連勝を挙げている。完全に上昇気流に乗っていた。
「勝っているときは自然とチームの雰囲気は良くなります。ディフェンスでも声が出るようになり、それぞれが気を配ってローテーションできるようになった。オフェンスでも、一人で打開しようとせずにボールムーヴメントができるようになったのも好調の要因だったと思います」

キャプテンとして「ディフェンスでは声をかけていた」が、オフェンスに関しては何も言わず、チームメイトが思い切ってプレーできる環境を作っていた。コート上でのキャプテンとしての役割は「声がけ程度」だと小野選手は言う。

チャンピオンシップ進出を決めた千葉にとって、「すでにベースはできているので、あとは完成度を高める作業」に徹するだけ。小野選手は、“声がけ程度”のキャプテンシーでチームを勝利に導くスタイルも変わらない。シーズンを通して徹底すべきことを積み重ねていくことが、頂点に近づく近道でもある。

日本代表ならばリーダーシップを持っていて当然

長谷川健志・元ヘッドコーチの下、小野選手は日本代表でもキャプテンを任されていた。本誌では「な〜んにも考えてなかった」と“無責任”な発言をしていたが、ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチに変わった今年2月のイラン戦では、小野選手をはじめとした日本代表経験者たちが率先してリーダーシップを発揮していた。

「一応、キャプテンは(竹内)譲次・公輔と言われてました。あの2人もそういうタイプじゃないですけどね(笑)。でも、一人ひとりがリーダーシップを持っているし、日本代表ならば持っていて当然のこと。新しいコーチの下でやるときにこそ、チームとして団結しなければ勝てないですからね。イラン戦では良くまとまっていたのではないかと思います。ベンチも盛り上げていましたし、そういうことが大事です」

2007年、ユニバーシアード日本代表は世界4位となった。メンバーは、大学卒業後にトップリーグへと進んだ竹内譲次選手(アルバルク東京)と公輔選手(栃木ブレックス)、菊地 祥平選手、正中 岳城選手(ともにアルバルク東京)、石崎 巧選手(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)、岡田 優介選手(京都ハンナリーズ)ら現在も一線で活躍する選手ばかり。その中に、中央大学2年生の小野選手が最年少で名を連ねていた。当時、ユニバーシアード日本代表を率いていたのも長谷川氏だった。

「あのときはスタッフ陣がうるさすぎて(笑)。長谷川さんと元(炳善)さん(九州東海大学)ですよ。長谷川さんが指示を出しているのに、元さんがかぶせてくるんです。さらに吉本(完明)さん(青山学院大学)でしょ。選手よりもスタッフの方がうるさかったです。でも、楽しかった。そう考えると、長谷川さんとはすごい長いつきあいなんです。なぜかオレが代表のときに……あっ逆か!長谷川さんが選んでくれてるんだった」

基本的にバスケ好き!腐る理由ナシ

世界4位となった後、“黄金世代”と呼ばれた12人は日本のバスケットを牽引する存在になる。2年後、小野選手も中央大学からアルバルク東京(当時トヨタ自動車アルバルク)に入団し、トップリーグにやって来た。だが、最後の黄金世代の選手として期待されながらも、ベンチにいる時間の方が長い日々は3年も続く。端から見ている筆者としては、『腐ることなく、よくぞ続けてくれた』と感謝したいほどだった。だが、当の本人はそんな小さなことは全く気にもとめていない。

「腐る要素がないというか、あのときは自分に自信しかなかった。なんで使わないのかなって逆に思っていたくらい。練習中も普通にこなしてましたし、どこで自分を評価されてるのかをずっと考えていた。例えば、残り1分で試合に出てシュートを決めても、それが次につながるわけではなかったり、いつ、なにがチャンスなんだろうって不思議に思ってただけ。なので、特に腐ることもなかったし、本当に自信しかなかったです。自分を試合に出してくれれば『このリーグでも活躍できるのになぁ』くらいにしか思ってなかった。基本的にバスケットが好きなので、特に腐る理由もないじゃないですか?」

タレント豊富なA東京では、素晴らしい環境でバスケットができる日々が楽しかった。腐る要素はそこには全くない。ただ、ベンチにいる自分に対し、「そろそろ試合に出ないとヤバいという危機感」「飽きた」という理由で千葉への移籍を決断する。A東京では、短い試合時間でもコンスタントに得点を挙げており、197cmの体躯はトップリーグでも見劣りせず、何よりもバスケIQが高い。新たにNBLへと変わった2013年、千葉でプロとして歩み始めた小野選手は、常に抱いていた『自信』をコート上で『証明』していく。A東京での3シーズンは平均2点未満だったが、出場時間が与えられるとすぐさま平均14.3点と結果を残し、実力を示す。

「僕の中では全然驚きは無かったです。もう全然です。変な話しですが、全然驚きはなかったし『だろう!』くらいなもんですよ」

これまでの文章を数行ほど戻ってみよう。
「なぜかオレが代表のときに……」「自分に自信しかなかった。なんで使わないのかな」
いつでも中心には“自分”がいる。自信に満ち溢れている分、その反動でプライドが高いかと思いきや、そんなことは意に介さずにバスケットを楽しんでいた。それこそが小野選手の才能だ。

長谷川氏は「龍猛は、小さいときに良い意味でも悪い意味でもガキ大将だったと思う」と話していた。
それに対して「う〜ん」と考えながらも最終的には肯定している。続けて、今号の表紙を飾る「(橋本)竜馬の方がひどかったんじゃないですか?」と無責任なパスを投げたところで、楽しいインタビューの終了時間を迎えた。

千葉ジェッツ

文・写真 泉 誠一

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