ポテンシャルを引き上げ、巻き返しを図る雑草軍団(滋賀レイクスターズ)

西地区のライバルである琉球ゴールデンキングス、京都ハンナリーズ、そして大阪エヴェッサはいずれも7人の選手を補強した……補強?半分以上の選手を入れ替えた時点で、全く新しいチームになったと言った方が適切かもしれない。

昨シーズン西地区最下位であり、リーグ全体でも14位と降格圏内ギリギリだった滋賀レイクスターズは、3人が入れ替わっただけ。新たにショーン・デニスヘッドコーチを迎えた。昨シーズン、栃木ブレックスのアシスタントコーチとして初代王者に導いた名参謀である。先月行われたFIBAアジアカップでアジアの各チームを圧倒して優勝したオーストラリア出身であり、その国内リーグであるNBLで手腕を発揮。その実力はFIBAも認めている。

関西アーリーカップで準優勝し、早くも結果を残している。決勝戦ではオマール・サムハン選手が欠場し、外国籍選手が1人しかいない中でも琉球に対し、最後まで競った試合をしたことは評価される。

スピードとアジリティに長けている日本人にはフルコートのスタイルが合う

滋賀の選手層は強豪に比べ見劣りするかもしれない。だが、それを補うだけのハードワークとチームワークが今シーズンの活躍を期待させる。デニスヘッドコーチは早くもマジックをかけていた。
「日本人選手たちにはポテンシャルがあり、正しくプレーすることに重きをおいて強化する必要があります。攻守ともにフルコートでプレーするスタイルに変えていけば、素晴らしい成長を見せてくれると確信しています。日本の選手はスピードとアジリティ(敏捷性)に長けているからこそ、フルコートでのスタイルが合っています」

決勝戦は先に挙げたサムハン選手をはじめ3人が不在であり、終盤にはさらに3人をファウルアウトで欠いた。それでも、足を止めることなく、フルコートを走り続けるのが、今年の滋賀のスタイルだ。そのキーパーソンとして、並里成選手とファイ・サンバ選手を挙げたい。脳しんとうゆえにサムハン選手は開幕戦に間に合わない可能性も高い。その中で奮起しなければならないのが帰化枠のサンバ選手だ。まだまだヘッドコーチが求める理想の動きはできていない。特にディフェンス時には、温厚に見えたデニスヘッドコーチが豹変し、激高していた。

「帰化選手としてチームとして、とても重要な役割を担っています。彼のポテンシャルを最大限発揮できていませんし、そこまで到達できてもいないと感じています。彼なしでは、このチームの成功もありません。きちんと伝えれば、前半のように良いプレーも見られています。だが、疲れてしまうと悪いところが出てしまうのでそこは改善させていかなければなりません」

現状の帰化選手は日本人より体格で上回っていることで有利となる。デニスヘッドコーチも、コートリーダーの並里選手も執拗に声をかけていたのが何よりの期待の表れである。

このバスケットを40分間やり続けることができれば、負けることはない

逆に水を得た魚の如く、28mあるコートを縦横無尽に楽しそうに走り回っていたのが並里選手だ。「コーチが僕の可能性を信じ、僕のやることには何も言わず、どんなシュートを打ってもハッピーだと言ってくれます」と全幅の信頼を寄せるデニスヘッドコーチとの関係も良好だ。しっかりとヘッドコーチの指示を理解し、チームメイトに遂行できるよう声をかけ、ときおり檄を飛ばす。「それが僕の良いところ」というリーダーシップを発揮し、チームを引っ張っている。

デニスヘッドコーチは、「40分間戦い続けるスタイル」を浸透させながら開幕へ向けて準備をしている。アーリーカップでの2試合を終えた並里選手は「フルコートはかなりきつい」と漏らし、試合後はヒザに手をつきしばらく頭を上げることができなかった。だが、「このバスケットを40分間やり続けることができれば、負けることはない」とデニスヘッドコーチは断言する。並里選手もその言葉を信じ、「食事から日頃の練習、ウエイトトレーニングでどんどんコンディションを上げていけるようにしたい」と日常からレベルアップを図っている。

見ていて楽しいバスケットは、選手たちが楽しくプレーしているからこそである。並里選手は言う。
「バスケットが好きで集まったメンバーなので、一番はバスケットを楽しむことを考えています。その上でしっかりと競争し合って、勝ちにもこだわっている。ファンや見ている皆さんが、また見たいと思えるようなバスケットを心がけています」

連敗が続いた昨年の同時期とは180度異なり、開幕ダッシュも期待できる。昨シーズン準優勝した川崎ブレイブサンダースを迎えるホーム開幕戦でその実力が試される。

滋賀レイクスターズ

文・写真 泉 誠一