Bリーグ最速2000点を記録したニック・ファジーカス「このままプレーし続け、川崎で引退したい」

11月12日(日)、ファイナルで敗れた栃木ブレックスから今シーズン初勝利を挙げた試合で、ニック・ファジーカス選手がBリーグ通算2000得点を最速で突破した。現在2016点まで伸ばしている。これは2年間のレギュラーシーズンだけで積み上げられた数字であり、チャンピオンシップ(CS)を合わせれば2133点。全81試合(CS含む)で平均26.3点と爆発的な得点力を誇り、ハイペースで記録を達成した。まだ45試合も残っており、背番号と同じ平均22点を挙げて行けば今シーズン中に3000点到達も現実的な数字である。

個人の記録よりもチームの勝利が大事。その気持ちは来日したときから変わらない

輝かしい記録に対し、“我関せず”と言わんばかりのコメントをファジーカス選手は残している。
「得点やリバウンドの数に関して、今はそこには全くフォーカスはしていないよ。引退して振り返ったときに、それらの数字を積み上げられたことにうれしさを感じるかもしれないけどね。今はチームの勝利の方が大事であり、それしか考えていない」
これは記録を更新したから発したわけでもない。5年前に来日したときから川崎ブレイブサンダースに忠義を誓い、チームの勝利のためだけに身体を張り続けてきた。

ファジーカス選手加入後の5シーズンのうち4シーズンでファイナルに進出し、2度リーグ制覇を成し遂げている。2度のMVPと4度の得点王に輝き、得点王を逃したNBL2015-16シーズンはリバウンド王となって優勝に貢献した。インサイドの要となるファジーカス選手だが、昨シーズンで引退した帰化枠のジュフ磨々道選手の穴は大きいと感じている。

「磨々道がいなくなった分、チームメイトに頼られることも増えたし、自分としても今まで以上に他のこともやらなければいけないとも思っている。新しく入って来たジョシュ・デービスはリバウンドで貢献してくれているし、その活躍はチームにとっては大きい。でも、やっぱり磨々道みたいな身体を張ってくれる選手がいなくなったのは、チームにとっては大きな痛手であり少なからず影響はある」

Bリーグは世界でもトップリーグになれる存在

日本において、なかなか外国籍選手が複数年、同じチームで活躍するケースは少ない。たった3年以上でふるいにかけても、ファジーカス選手を含めてB1には5人しかいなかった。その理由として、常に責任を取らされるのはヘッドコーチとともに外国籍選手が矢面に立たされる現実がある。GMなどバスケットボールオペレーションを司る人が足りていないため、我慢強く強化する期間が与えられず、また正しい評価ができていない場合が多いと感じる。他方で、外国籍選手には必ず代理人がおり、年俸が上がっていくにつれ、チームの運営体力上抱えきれなくなったケースもあるだろう。

6年目のファジーカス選手に次ぎ、同一チームでの5年目を迎えたのはサム・ウィラード選手(富山グラウジーズ)と、旧リーグ時代からペイントエリア内で争ってきたライアン・ロシター選手(栃木)である。
「ロシター選手はいろんなプレーができ、タフショットなどどんな体勢やどこからでもシュートを決められる。栃木の中核を担う選手であるのは間違いなく、昨シーズンの優勝にも大きく貢献したことが全てを証明している。ボールプッシュもできれば、ディフェンスもうまい、すごく良い選手だよ」

ちょうど10年前の2007-08シーズン、NBAのコートにファジーカス選手は立っていた。その年にダラス・マーベリックスとロサンゼルス・クリッパーズの2チームを渡り、合計26試合に出場。平均10分程度の出場で平均4.1点という平凡な記録だった。Bリーグとなって正式にプロ化してからは、ファジーカス選手以上のキャリアを持つ元NBA選手がこぞってやってきている。

「元NBA選手をはじめ、良い選手がどんどん海外から入ってきているのと比例するように、Bリーグのレベルが上がっていると感じている。良い選手が多くやって来た分、日本人選手のレベルも引き上げられていくはずだ。しっかりとしたBリーグを作るために多くの方が努力していると思うし、これからもどんどん伸びていく要素しかない。このまま行けば、世界の中でもトップリーグになれる存在になっていくと思ってる」

「このチームでずっとプレーしたい」その気持ちは今も変わらない

来日した当初は、NBA時代に負ったヒザの怪我の影響でその動きのぎこちなさが目立っていた。それにも関わらず、いきなり得点王に立った。バスケット後進国である日本では、大きな体躯を生かしたファジーカス選手が活躍できて当たり前と思われる節もある。だが、その裏側でレベルアップに勤しみ、こんな日本でも成長を実感していた。
「相手チームは徹底的にスカウティングをして、自分に対するディフェンスを変えてくる。その都度、それを上回るプレーを考えながら戦っているし、高いレベルをキープするためにも日々成長しなければならない。日本にいてもその思いは変わらないし、プレーしていても自分の成長は実感できている」

日本での生活を初めて半年も経っていない頃、「このチームでずっとプレーしたい」とすでに言い切っていたことを思い出す。「5年前に言った気持ちは今も変わらないよ。ずっとこのままプレーして、川崎で引退したい」とあらためて“生涯川崎”を宣言してくれた。

川崎ブレイブサンダース

文・写真 泉 誠一