相次ぐ主力のケガ、それでも8人でハードなディフェンスを貫く(サンロッカーズ渋谷)

2017年も終わりに近づいてきた。だが、Bリーグの闘いは大晦日、そして新年(元旦、2日)へと続く。伊藤駿、広瀬健太、長谷川智也といった主力選手をケガで欠き、苦しいチーム状況になったサンロッカーズ渋谷もそれはまた同じだ。「正直、めちゃくちゃしんどいです」(ベンドラメ礼生)、「今はオフェンス面の狙いどころが難しい」(山内盛久)の言葉にも苦労のようすが窺えるが、それだけにアルバルク東京から上げた24日の1勝はチームの自信となったと言えるだろう。前日23日の第1戦はスタートから終始A東京の猛攻に圧倒され62-91で大敗。武器とするディフェンスに精彩を欠いたことで、「自分たちらしさを全く発揮できないまま終わってしまった」(SR渋谷・勝久ジェフリーヘッドコーチ)

だが、意外にも選手たちは落ち込んではいなかった。「終わったことをくよくよ考えても仕方ないし、みんなの切り替えは早かったです。僕自身も一晩寝れば忘れるタイプなので、反省点をどう修正して臨むか、それしか頭になかったですね」(山内)
『修正点』とは、前日に甘さが見られたディフェンス。それをいかにハードに40分間遂行できるか、「アルバルクのフィジカルに負けない強い気持ちが必要だという話をしました」(勝久ヘッドコーチ)。

だが、始まった2戦目も最初にイニシアチブを取ったのはA東京。第2Qには12-21と水を開けられ、前半を27-38で折り返すことになる。「立ち上がりはうちのゲームプランどおりだった」というA東京のルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチの言葉が示すように、前半の流れをつかんだのは間違いなくA東京だった。

しかし、後半に入るとその流れが一変する。「渋谷はディフェンスの強度というよりディフェンスの戦術を変えてきた。いずれにせよタフな守りであることに変わりなく、我々はそれにアジャストするのが遅れ後手に回ってしまった」(パヴィチェヴィッチヘッドコーチ)。リズムが狂い始めたA東京の綻びを逃さず、反撃に出たSR渋谷は4Qについに同点に追いつくと、終了間際に得た2点のリードを守り抜き、62-60で逆転勝利を収めた。

この日のヒーローに選ばれたのは11アシストで得点を演出した山内。「昨日は悔しい負け方をしてしまったので、とにかく今日は気持ちを前面に出していくことだけを考えていました」と言う。先述したように主力選手の戦線離脱によりオフェンス面の組み立てが難しくなったことを実感している。「智也がいたときはロブ(ロバート・サクレ)と2人を中心にオフェンスを組み立てていたんですが、それができなくなって狙いどころが定まらなくなった感があります。で、今はレオ(ベンドラメ)についつい頼りがちになってしまう。相手もそこはしっかり抑えてくるので、自分がもっと積極的に得点に絡んでいくことが必要だと思っています」。本音を言えば「メンタルはあまり強くなくて、勝負どころではボールを持ちたくないタイプなんです(笑)。でも、今はそんなことを言っているチーム状況ではないので、自分がやらなきゃという気持ちが強くなってきました」。この日のプレータイムはベンドラメの37:47に続く37:22。「2人でチームを引っ張る時間はこれからも長くなると思います。それぞれいいところを出し合い、足りないところを補い合ってやっていけたらと考えています。自分とすれば評価されたアシスト11よりターンオーバー4の方が気になっているので、まずはミスを減らしていかないと」

戦える人数が少ないことで疲労度は増すが、「このメンバーで勝ち抜いていることが自信にもなっています」と胸を張る。チームのムードメーカーと言われることに関しては「座右の銘というほど大げさなもんじゃないんですが、僕はいつも『人生は1度きり』と思っています。1度きりの人生なら笑って過ごした方がいいじゃないですか。だからきつい練習でも文句を言ったりしないで明るくやりたいし、チームがちょっと暗いかなと感じたときはムードを変えたいと思っちゃうんですね。そういう性格なんです」と、笑った。

勝久ヘッドコーチもまた山内の明るさには助けられている。「そうですね。彼の明るさ、さらには選手たちの気持ちの強さには助けられています。今日のゲームもそうですが、ハーフコートの戦いになると、相手はフィジカルの強さを生かして一つひとつのパスを難しくしたり、スクリーンを壊したりしてくるので自分たちは削られる一方になってしまう。そうさせないためにはトランジションの速いバスケット、自分たちのアイデンティティであるハードなディフェンスを貫くバスケットが必要になります。けれど、それには体力がいるので選手の負担が増える。この少ない人数で選手たちは本当に頑張ってくれています」。ケガ人の復帰の目途が立たない中、「今の自分たちの力を信じ、やるべきことをやりぬきたいと思っています」

年末の30日、31日はホーム(青山学院大学体育館)に川崎ブレイブサンダースを迎えての2連戦。2017年を締めくくる熱い闘いが待っている。
12月30日(土)18:05 SR渋谷vs川崎
12月31日(日)14:05 SR渋谷vs川崎

サンロッカーズ渋谷

文・松原貴実 写真・安井麻実