3歩進んで2歩下がっても、着実に1歩を踏み出すことが重要なレギュラーシーズン(サンロッカーズ渋谷)

強豪ひしめく東地区の3位サンロッカーズvs4位川崎ブレイブサンダース戦は、75-61で川崎が勝利し、1ゲーム差に縮めた。ニック・ファジーカス選手(川崎)vsロバート・サクレ選手(SR渋谷)の210cmを越えるビッグマン対決は、バスケットの醍醐味をいかんなく発揮し、観客を楽しませる。点差がついたのはガード陣の差であった。

立て続けに起こったミスにより、辻直人選手に23点を献上

「抑えなければならない部分でやられてしまった」と敗因を挙げた勝久ジェフリーヘッドコーチ。抑えなければならなかった川崎のシューター、辻直人選手は次々と3Pシュートを決めていく。開始早々に2本、第3クォーターには4本、流れを与えてはいけない場面での3Pシュートは重くのしかかった。マッチアップするのはベンドラメ礼生選手。続いてディフェンスマンの菊池真人選手をあて、復帰戦となった伊藤駿選手に代えながら制止を試みる。しかし、「最初に乗らせてしまったことが一番いけなかったこと」と勝久ヘッドコーチは述べ、辻選手に気持ち良く23点を与えてしまった。

この日のオンザコート数はどちらも「2-1-1-2」。第1クォーターは24-16で川崎が抜け出す。続く第2クォーター、オンザコート1の時間帯でSR渋谷は山内盛久選手の3Pシュートから連続13点を挙げ、33-33に追いついて前半を終えた。第3クォーターは同じくオンザコート1だったが、「自分のミスが立て続けに起こって、相手に勢いを乗せてしまった」と反省するのはベンドラメ選手。マッチアップしていたのは先に挙げたように辻選手である。オフェンス面でも「決めるべきシュートを決められなかったのもあり、すごく反省しています」。辻選手の23点に対し、SR渋谷のガード陣であるベンドラメ選手、山内選手、伊藤選手の3人を合わせてもたった11点しか挙げられなかった。平均25点を挙げるファジーカス選手を17点に抑えたインサイド陣は評価できる。ガード陣の差がそのまま結果に現れた試合と言えよう。

「与えられたポジションでしっかり結果を出すのがプロでもある」ベンドラメ礼生

長谷川智也選手らがケガに見舞われ、勝久ヘッドコーチは「今いる選手たちで采配しなければならない」状況でもある。ベンドラメ選手が先発で起用され、ポイントガードとシューティングガードの両方を担わなければならない。学生時代はシューティグガードだったこともあり、「点数を獲る、シュートを打つシチュエーションは増えてきている。そのシュートを決めきることがここ数試合はできていない。決めきる力が大事」という課題は明確である。

辻選手に対するディフェンス、シュートを決めきれなかったオフェンスと反省点ばかりとなった川崎戦だったが、「チームの代表として試合に出ている以上は、与えられたポジションでしっかり結果を出すのがプロでもある」と言い訳は一切なし。
今月行われたこれまでの10試合を振り返れば、2桁得点は6試合もあり、たまたまシュートが決まらなかったと前向きに捉えたい。辻選手を間近で見たことで学ぶことも多かった。
「スペーシングの取り方がうまいです。コーナーと45度でうまくスペーシングを取って、どっちにもマークがいけないポジション取りをしているのかなと思いました」

60試合続く長いレギュラーシーズンは良いときもあれば、翌日に最悪の試合へと一変することだってある。名曲『365歩のマーチ』ではないが、3歩進んで2歩下がるのがレギュラーシーズンの戦い方だ。2歩下がっても確実に1歩踏み出すチームは必ず強くなる。不運が重なったSR渋谷だが、この試練の中でも1歩を踏み出し、前進しなければならない。

「やるべきことはディフェンスとリバウドに飛び込むこと」杉浦佑成

不運に見舞われているばかりではない。筑波大学3連覇を果たした原動力であり、昨年のインカレMVPを獲得した杉浦佑成選手が契約し、チームの一員となりデビュー戦を迎えた。初戦を終え、初々しい記者会見でのコメントを抜粋しよう。

「昨シーズン、僕がいた時期は負けが混んでいましたが今シーズンは調子が良く、勝ち星を多く挙げています。その中で僕が合流して、すぐ黒星がついてしまったのは悔しいです。やるべきことはハッキリしていて、ディフェンスとリバウンドに飛び込むこと。そのやるべきことができてこないと、自分がやりたいことをやるべきではないと今は思っています」

「昨シーズンはセットプレイが多かったイメージがあります。でも今シーズンは、『ディフェンスをがんばってまず走るのがうちのベースだよ』と教えてもらいました。もちろんセットプレイもありますが、その流れの中でいかに攻めるかがオフェンスのベースになっています」

「とにかく外国籍選手のスクリーンの当たりが強い。学生時代はズレとかできたりはしなかったですが、今はもうモロにぶつかると本当に動けないくらいかかってしまう。もっとうまく守る方法を身につけたいです」

「サンロッカーズは練習中から高い強度でディフェンスもオフェンスも、スクリーンのかけ方一つとってもしっかりやってるんだなと、今日の試合を経験して思いました」

「昨年はどちらかと言うとお客さん感があった。今年は正式に契約し、お金をもらう立場になった。仕事はしっかりしないといけないとすごい感じています。昨年お世話になった期間よりも、この1週間の方が内容が濃かったです」

大晦日の本日も、14:05より青山学院記念館でSR渋谷vs川崎戦は行われる。2017年ラストゲームとなるが、まだ折り返し地点にもたどり着いていないBリーグの長きに渡る戦いゆえに、選手たちにとっては年末や正月を感じられないまま試合は続いていく。

サンロッカーズ渋谷

文・泉 誠一 写真・安井麻実