人生の中で一番濃い時間を過ごした宮城県に恩返ししたい!(仙台89ERS #11 白戸大聖選手)

2013年のウインターカップを制した明成高校。まもなくゴンザガ大学で2度目の”マーチマッドネス”に臨む八村塁選手が入学した年である。福岡大学附属大濠高校との決勝戦は92-78で圧勝。当時の明成高校3年生だった白戸大聖選手と宮本滉希選手は揃って、宮城県に戻ってきた。

『自分の売り』であるディフェンスで、チームメートの信頼を勝ち獲ることが最優先

1月末に特別指定選手として入団した二人だが、白戸選手は2月10日の愛媛オレンジバイキングス戦からすでにロスター入りを果たす。3戦目となる青森ワッツ戦から先発を任され、前節まで6試合続いている。髙岡大輔ヘッドコーチは「体の強さやディフェンスの脚力、リバウンドに行く姿勢」を高く評価し、十分なプレータイムを与えている。前節の福島ファイヤーボンズ戦では、得点頭の外国籍選手である198cmのディオン・ジョーンズ選手に対し、182cmの白戸選手をマッチアップさせた。「しっかりと結果を出してくれたと思いますので、そこも計算できるひとつの要素になりました。今のチームには欠かせない存在です」と、髙岡ヘッドコーチの信頼をさらに勝ち獲る試合となった。

入団してまもない今、求められているのはディフェンスである。白戸選手自身も「ディフェンスが自分の売りだと思っているし、それを期待されて使ってもらっている」と自覚し、その役割に注力する。心がけているのは、「マークマンにフラストレーションを与えることです」。前日の19点から12点へジョーンズ選手の得点を減らし、「少しはできたのかな」と自信をつけながらプロの舞台に慣れ始めている。

先発で起用されているのは、ヘッドコーチから信頼されている証である。だが、白戸選手は「ヘッドコーチの期待に応えることも一番大事ですが、今はそれよりもチームメートの信頼を得るためのプレーを大事に考えています」。チームに合流して1ヶ月強と日は浅く、仲間たちの特長を知ることが先決であり、同時に自分のことを知ってもらう大切な時期である。先輩たちからのアドバイスがチームにフィットするため、自分が成長するためにも重要であり、福島戦のハーフタイム時には溝口秀人選手の声に耳を傾けていた。

「オフェンスのときにもっとアタックして行けとか、もっと思い切ってシュートを打てと言ってもらいました。シューターである溝口さんからそのようなアドバイスをもらったことで、より納得できる部分もありました。先輩方のアドバイスは本当にありがたく思っています」
その言葉が後押しとなり、積極性が増した第4クォーターには3Pシュートを決めた。

『東北を元気にするためにもお前らがバスケで表現しろ』

宮本選手は宮城県出身だが、白戸選手は静岡県出身である。2011年3月11日に東日本大震災が襲った5日後。交通機関がまだ麻痺しており、移動さえままならなかった震災直後、明成高校へ入学するため宮城県にやってきた。
「(佐藤)久夫先生(明成高校ヘッドコーチ)もある意味で、あの状況を肌で感じられるのは良い体験になると考えていたのでしょう。ボランティア活動をしたりしながら現状を見られたことは、今となっては良かったと思っています」

越境入学する選手の心境として、「友達と離れる寂しさもありました」。被災地での生活がはじまるにあたり、「心の面での不安はいっぱいありました」
「でも、その状況の中で自分に何ができるかを考えていました。そのときに久夫先生は常に『東北を元気にするためにもお前らがバスケで表現しろ』と言われてました。そのためにどうしたらよいかをずっと考えていました」

その思いは卒業後もずっと白戸選手から離れなかったからこそ、4年経った今、ふたたび宮城県に帰ってきた。
「これまでの人生の中で、宮城県の明成高校で過ごした3年間が一番濃いものでした。そのときの恩返しをしたいと思ったことが、ここでプレーしたいと思った一番の理由です。これからどんどん恩返しできるようなプレーをしていきたいです」

求められていることも、できることもディフェンスであり「やるべきことはハッキリしています」。けっして大きくはないが、東海大学時代にパワーアップしたフィジカルと、両腕を広げて自分たちのゴールを守る。「プレーできていることに対して感謝の気持ちを忘れず、これからも全力を尽くしてチームの勝利に貢献できるようにしたいです」と第2の故郷で、プロとして歩み始めた。

今週末3月17日-18日は山形ワイヴァンズをホームに迎える東北ダービー。その2試合を含め、ホームゲームはあと9試合しかない。宮城県に恩返しするためにも、勝利に向かって全力でプレーすることが大事になる。

仙台89ERS
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文・写真 泉 誠一