『三足の草鞋』を履いて楽しく奔走する”サラリーマン”プロバスケ選手【前編】(東京エクセレンス #33 宮田諭選手)

3月17日、ホーム小豆沢体育館で行われた東京海上日動ビッグブルー戦にて、40歳になった宮田諭選手は現役生活初となるトリプルダブル(15点・10リバウンド・10アシスト)を達成した。「試合後に言われるまで知らずにビックリしました」というのがそのときの心境である。3千人を集めた3月24日のさいたまスーパーアリーナで行われたアウェー戦では、13点・10リバウンドのダブルダブルを決めた。アシストは惜しくも7本だったが、好調な”サラリーマン”プロバスケ選手の活躍でチームも12連勝と波に乗っている。

脱サラ・逆輸入・サラリーマン・ジェネラルマネージャー……様々な経歴を持つ希有な存在

宮田選手は希有なキャリアの持ち主である。早稲田大学を卒業後、大手電機メーカーに就職。当時クラブチームだったエクセレンスでバスケを続けていた。しかし2004年、転機が訪れる。バスケへの情熱が抑えきれなかった宮田選手は、何を血迷ったか会社を辞め、アメリカへ渡りプロリーグのトライアウトに挑戦。当時26歳だったが見事に合格し、ABA(アメリカプロマイナーリーグ)オンタリオ・ウォリアーズに入団を決めた。

少しずつ評価を高めていったが、アメリカでプロを目指す選手にとって、いつも障壁となるのが就労ビザ問題である。チームに認められ、サラリーを発生させるためにはビザが必要だ。それを取得するために一時帰国したが、申請が受理されるのを待っている間にシーズンが終わってしまった。しかし、”脱サラ”プロバスケ選手の活躍やその情熱はアメリカだけではなく、国内でもひそかに評価されていた。

2005-06シーズン、トヨタ自動車アルバルク(現アルバルク東京)の入団に驚かされる。”逆輸入”プロバスケ選手として、27歳のオールドルーキーが誕生した。その年、いきなり優勝し、日本代表クラスのタレント豊富なトップチームで様々な経験を積む。控えのポイントガードとして存在感を示していたが2010年、32歳の宮田選手は引退し、社業に専念することを決めた。その後、エクセレンスに戻ってクラブチームでのバスケは続け、余暇を楽しんでいた。しかし彼は、脱サラしてアメリカに行ってしまうほどバスケに熱い男である。

2013年、NBLの下部リーグとしてできたNBDLにプロクラブに変わった東京エクセレンスが参戦。同時に、”サラリーマン”プロバスケ選手として彼は戻ってきた。今ではジェネラルマネージャーを兼任し、『3足の草鞋』を履いて働きまくっている。

バスケに対して熱い宮田選手に様々な角度から、今を語っていただいた。

最年少21歳の期待の若手である田口暖選手

『こちらが思っている以上に二人は悩んでます』

ーーB2から降格した現状ですが、B3との違いをどう感じていますか?

正直言って荒い。各チーム2〜3人の良い選手がおり、そこに頼るプレーがひたすら多いです。なので、ポイントを絞れば守りやすいと言えます。でも、その中において八王子(トレインズ)はバランスが良いです。やっぱりB2に比べてフィジカルが弱いですね。僕が長い時間を試合に出られてしまうのもそういうことです。でも、若くて良い選手やおもしろい選手は多いです。

ーー”学生”プロバスケ選手である丹野合気選手(明星大学)や田口暖選手(アップルスポーツカレッジ)をジェネラルマネージャとしてどう評価していますか?

田口は昔の僕を見ているようです。動くだけならば誰よりも速い(笑)。でも、やらなければならないことは山積みで、まずシュートが入らない。自分が通ってきた道でもあるので、自信がないときやうまくいかない悩みが手に取るように分かる。自分よりも近道を示してあげられると思って、昨年のトライアウトで獲りました。
丹野は、東京EXの若返りを図るためにも勢いのある選手を求めており、その中で学生のガードを獲るのもおもいしろいと思いました。トライアウトを見て、なかなかトリッキーでおもしろかった。東京EXはマジメで良いヤツが多いので、良くも悪くも弾けた選手が欲しかったんです(笑)。
僕自身もオーソドックスなインサイドを使うスタイルなので、丹野が入ることで表裏と色が違うバスケットになれば良いかなと期待しています。でも今はまだ課題が多すぎており、こちらが思っている以上に二人は悩んでますが…。

ーーもう少し思い切ってプレーしても良いのかなとも思って見ていました。

自分がやって良いのか、外国籍選手に任せるべきかを今は迷ってますよね。うまくいったときは良いですが、うまくいかなかったときに正しい判断だったのか悩んでしまっています。今は「好きにやって良いよ」と二人にはずっと言ってますし、そのためにも20分以上のプレータイムを与えていたのですが、結果的に40試合を終えた時点ではまだうまくいっていません。考える習慣がついたのは良かったことですが、逆に今は考えすぎてしまってます。決定力と引き出しの少なさが課題点。仕掛けていった後、外国籍選手がディフェンスで寄ってきたときの対処や引き出しがないために、少し単発になってしまっています。やっぱり、難しいですよね。

後編へ続く

弾けたプレーで東京EXに新たな風を吹かせる丹野合気選手

12連勝中と波に乗る東京エクセレンス。次節は4月1日-2日にシーズンランキングトップの八王子トレインズをホームに迎える。

東京エクセレンス
B3リーグ

文・写真 泉 誠一