ブランクってものはまったくない(京都ハンナリーズ #14 坂東 拓選手)

2014年、筑波大学はインカレを制し、61年ぶりの日本一に輝いた。その後の3連覇に続く黄金時代の幕を開けたメンバーの一人が、坂東拓選手である。卒業後は三井住友銀行に就職し、実業団リーグでプレーを続けていた。卒業当時、FIBAから制裁を受けていた日本バスケ界の行く末は暗闇の中だった。

名門・北陸高校時代はU18日本代表に、そして大学3年次にはユニバーシアード日本代表に選出され、将来はトップリーグへ進んでもおかしくはない実力の持ち主だった。しかし、バスケに夢を持てるような時代ではなく、実業団リーグへ進むことは最善の選択でもあった。しかし実際は、「サラリーマンをしながら実業団でプレーしていましたが、仕事もバスケもすごく中途半端な状況が続いていました」。学生時代は常に日本一を目指し、日の丸を背負って世界と戦った経験があるからこそさらなる高みを目指したくなるのは当然のことだ。閉じ込めていた熱い思いを解き放つきっかけとなったのがBリーグの誕生である。
「自問自答して考えていく中で、やっぱりバスケットひと筋で生きていくことが、自分には一番合っているんじゃないかなと思い、そこで思い切って決断をしました」

Bリーグ・ファーストシーズン途中の2017年1月18日、出身地の香川ファイブアローズでめでたくプロ選手として契約を果たす。すぐさま試合に出場し、7戦目以降は先発を任され、平均8.7点とその実力を発揮。トントン拍子で今シーズンは京都ハンナリーズへ移籍し、旧友たちが待つB1の舞台にやってきた。

もっともっと高みを目指して勝ち切れるようにしていきたい

実業団リーグ経由でプロ選手となった坂東選手だが、「ブランクってものはまったくないですね」と言い切る。高いレベルでのバスケがしたくてウズウズしていただけあり、京都でプレーできている今を楽しんでいた。しかし、なかなかプレータイムに恵まれてはいない。ベンチで見たり、途中交代で入って対峙する同世代の選手たちに対し、「思っている以上に差はないんじゃないかなと自分では思っています」と自信を見せた。

「バスケットは一人ではできないスポーツなので、周りの状況や流れにも左右されます。当然、通用する部分もあれば、一流の選手たちなのでやられる部分もあります。少しでも自分の弱点をなくしていって、もっともっと高みを目指して勝ち切れるようにしていきたいです」

シーズン終盤に来て、ケガ人が目立つ京都だが、坂東選手にとっては「チャンスだと思っています」。アルバルク東京との最終戦は23分30秒の出場機会を得た。
「リバウンドやルーズボール、ディフェンスなどが評価されるポイントであり、今後のプレーイングタイムを勝ち獲るためにも大事になります。貪欲に、捨て身でボールを追いかけようと思ってプレーしていました」

筑波大学の後輩、馬場雄大選手とマッチアップが実現。「どういうプレーをするかは分かっていたので、自分がマッチアップしているときは得点されていなかったと思います。今日は引き分けかな」というのが自己評価だ。対する馬場選手は、「相変わらず3Pシュートは脅威だと思いました。坂東さんもプロになっていろいろと経験してきているので、大学の時とは違ったプレースタイルになっていましたね。自分も同じですが、これからいかにプレーイングタイムを勝ち獲るかが勝負であり、坂東さんも戦っていることが伝わってきました」。筑波大学の先輩との対戦は、普段以上に強い思いがあるそうだ。今週末、ふたたびこの二人のマッチアップが見られる。

チームの上昇志向に乗っかって、強みを伸ばして目先の1勝を目指すだけ

大学3年から4年に上がったとき、新シーズンを前に「怖い」と言っていた坂東選手。最上級生になったプレッシャーをそう表現していたことを思い出す。プロとしては2年目だが、年齢的には中堅であり、同世代が多い京都でも大学時代に日本一へ導いたキャプテンシーを期待したい。
「普段の練習時やベンチでは、まだまだリーダーとしては何もできていないです。マサさん(片岡大晴)や(内海)慎吾さんなどのベテラン勢も多くいますが、まずはそこにしっかり乗っかっていきたいと思っています。キャプテンシーとまではまだ行かないけど、チームを上向かせられるようにするための力に、少しはなれているんじゃないかなと思います」

まもなくチャンピオンシップがはじまる。ケガ人が多い京都において、元気な坂東選手の出場機会も多くなることだろう。直前にクォーターファイナルで対戦するA東京との前哨戦ができ、「西地区とは違った強度で戦えることはメリットになると考えていました。自分が通用する点や課題点も明確になったので、長所を伸ばしつつ短所を補えるようにオールラウンドでプレーできるようにしていきたいです」と少なからず突破口は見えている。

最終戦を終えたあと、「一番勝率の高い(シーホース)三河(48勝12敗:80%)と僕らの勝率(34勝26敗:56.7%)は違うが、ここからリセットして横一線になる。なんとか1勝したい。まずは一つを勝てるように努力するだけ」と浜口炎ヘッドコーチは言っていた。はじめてのチャンピオンシップに臨む京都にとって、「目先の1勝を目指していくだけです」と坂東選手もしっかりと前を向いている。

「最終戦以上にエナジーを持って戦わなければならないのは当然のことです。チームの上昇志向に乗っかっていきながら、少しでも悪いところは修正し、見えてきた強みもあるのでそこは伸ばしていきたいです」

京都ハンナリーズ

文・写真 泉 誠一