特別異色対談③島田慎二さん×すべすべさん「今シーズンは世の中をびっくりさせることをやりたいですね」

「今シーズンは世の中をびっくりさせることをやりたいですね」

――現在の男子日本代表チームについてお2人はどんな感想をお持ちですか?

島田 強くなりましたよね。

すべ なりましたよね。

島田 (ニック)ファジーカスが入り、八村(塁)が入り、見ていて本当に楽しいですね。これから渡邊(雄太)も入ってくると思うとわくわくします。

すべ 僕は日本のバスケットを見始めるようになってから当然代表戦も見たんですけど、正直、あまりおもしろくなかったんですよ。1つには強くないっていうのもありますが、それ以前になんかバラバラなチームだなという印象がありました。でも、今の島田さんのことばじゃないですけど、ファジーカスや八村が入って期待度が一気に増しましたね。なんせオーストラリアに勝ちましたから。こんな戦いができちゃうんだってちょっとびっくりしました。

――崖っぷちのワールドカップ予選(window1)でしたから、そこからオーストラリアとチャイニーズタイペイを破ったことは大きかったですね。日本のバスケ界も盛り上がりました。

すべ Bリーグしか見ないファンが、たとえばアスフレやジェッツを応援するのと同じ感覚で日本代表を応援するっていうのは全然ありだと思うんですよ。これまであんまり代表戦に興味がなかった自分もそうなりつつありますから(笑)

島田 ただ力のある選手が入ったことをゴールデンエイジみたいな一過性の時代にしちゃだめですよね。東京オリンピックのときに強けりゃいいんじゃなくて、これからずっと安定して強くなっていかなきゃならないわけで。

――そのために必要なことはまだまだ多いですね。

島田 多いですよ。選手を育成することで競技人口を増やし、その中で良い選手を輩出していくのもそうですし、審判を含め、さまざまな分野の仕組みをしっかり作っていくこともそうですし。文化としてもビジネスとしても夢のある世界観を作り出す努力をしていかなければなりません。

――世界で通用する選手が増えていくことも1つの夢だと思いますが。

島田 そうですね。今は国内の選手の年俸は上がってますけど、じゃあその選手がアメリカやヨーロッパに行ったときいくらもらえるのかという話ですね。グローバルな市場価値を考えた場合どれだけの価値があるのかということ。もしかすると国内で何千万もらっている選手でもヨーロッパでは300万ぐらいしかもらえないかもしれない。ローカルマーケットとしてそれはそれで悪いことではないですけど、やはりサッカーのトップ選手がイタリアやイングランドでそれなりの年俸をもらってるのを耳にすると、バスケットもそれに近い状況にしていかなきゃという気持ちになります。

――すべすべさんは「最初はあまり日本代表に興味がなかった」と言われましたが、今は応援するBリーグと日本代表は切り離せないものだと考えていますか?

すべ それはもう間違いないですね。Bリーグを見てバスケファンになった人が「すげーすげー」と盛り上がっても、弱い代表を見たら「世界に出たらこんなもんなんだ」と悲しくなるじゃないですか。やっぱりリーグの俺たちの代表であるJAPANがこれだけ戦えてるんだと思えばさらに応援したくなるし、バスケ全体が盛り上がるはずです。現にオーストラリアに勝ったんだから、2次予選もいい試合ができるんじゃないかと僕の期待も膨らんでますから(笑)。ファンはみんなバスケを応援したいし、楽しみたいんです。サッカーや野球に追いつきたいという気持ちもあります。代表戦が(テレビの)地上波で見られないことは悔しいですよ。

――求められるのは『強いニッポン』ですが、代表に優れた選手を輩出するのもリーグが担う仕事の1つかもしれません。

島田 そうですね。ただバスケットのクラブ経営してます、なんとなくバスケ界で生きてますじゃダメですから。いろいろな面でバスケ界の発展に寄与できる存在でありたいと、それは強く思っています。

――近づいた3シーズン目への抱負を聞かせてください。

島田 うーん、結構世の中をびっくりさせることをやりたいですね。

すべ えー、どんなことなのか気になりますね。

島田 ふふふ、今はまだ言えません。

すべ 余計気になる(笑)

島田 言えるのは観客動員数とか、何が1番とか、そういうことにはあまりこだわっていないということです。数だけを追う時代はもう終わったと思っていて、これからはこれまで以上に質を重視してそこにこだわっていくつもりです。チームの質、エンターテイメントの質、ホスピタリティーの質、そのレベルを上げていきたいですね。

すべ なるほど。

島田 選手の環境、お客様の環境を含めて野球やサッカーをやっつけたい気持ちがあります。「無理っしょー」と感じるときもありますけど、いや、無理じゃないと、その布石を次のシーズン中に打ちたいと思っています。

――ファンとしてのすべすべさんの抱負は?

すべ ファンとしての抱負ですか?(笑)。一言でいえば、単純にバスケをもっと楽しみたいですね。心からバスケを楽しめて、バスケットを盛り上げていくファンでいたいです。

島田 僕たちからしたらすべすべさんみたいな人にまた見たいと思われるバスケを作り上げていきたいですね。チーム、環境、エンターテイメントといろいろ言ってますけど、基本的にはお客様が全てなんです。お客様にああ楽しかった、感動した、昨日上司に怒られたことも吹っ飛んじゃったと言ってもらいたい。そういう空間に誘いたいと思っています。多くのお客様に楽しんでもらえるようになれば経営も安定いくだろうし、そうなればバスケ界にも一石投じられるかもしれない。リーグ全体にインパクトを与える存在になろうと、なんていうんですか、そういった責任感はあります。

すべ 僕の場合、いろんな会場に足を運んで試合を見ているから、交通費だけでも大変じゃないか、チケットはチームにもらっているんじゃないかなんてことを言われることもあるんですけど、すべすべさんはごく一般のバスケファンです!(笑)。チームに何か優遇してもらうようなことがあれば、もうそれはすべすべさんじゃなくなるわけですから。

――それが『すべすべさん道』ですね。

島田 さすがです。

すべ これからもバスケの一ファンとして、思ったこと、感じたことは発信していきたいし、それに対して「自分は違う」という意見があっても全然いい。そういった多様性を認め合えるリーグになっていくのはいいことだと思っています。で、さっきも言ったようにまずはバスケを楽しみたい。いろいろ厳しいこともあるでしょうが、バスケファンが楽しいと思えるBリーグであってほしいと思っています。

島田 はい、肝に銘じます。肝に銘じて今シーズンも頑張りますよ!

千葉ジェッツ
アースフレンズ東京Z
栃木ブレックス

文・松原貴実 写真・安井麻実