『今まではなかった』スタイルに挑み、成長できたアーリーカップ(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ #0 小林遥太選手)

「アーリーカップとはいえ、はじめての優勝なので素直にうれしいです」と笑顔を見せた梶山信吾ヘッドコーチ。前身の三菱電機時代からプレーし、コーチとしても携わってきた19年間ではじめて優勝できたことは感慨深い。名古屋ダイヤモンドドルフィンズの歴史を振り返っても、1989年と1990年に天皇杯で2連覇したことはあるが、リーグ優勝はまだない。昨シーズンはチャンピオンシップ進出を果たし、着実に成長を遂げている。今シーズンは5人の新戦力を迎え、さらなる高みを目指す。

『プレータイムが欲しかった』『このチームの力になりたい』と移籍を決意

「クセのあるポイントガード」と梶山ヘッドコーチが期待を寄せるのが小林遥太選手だ。「プレータイムが欲しかった」のが、滋賀レイクスターズから移籍してきた理由のひとつである。ルーキー時代から20分前後の出場時間を与えられていたが、昨シーズンよりショーン・デニスヘッドコーチに代わったことで平均8.4分に激減した。プロの世界へと迎え入れた元滋賀の遠山向人ヘッドコーチが、今は名古屋Dのアシスタントコーチをしていることもあり、熱心に誘ってくれた。「遠山コーチをすごく尊敬していますし、『もっと良いチームにしたい』という梶山ヘッドコーチの思いにもすごく心を打たれました」と移籍を決意。「このチームの力になりたい」という小林選手の熱い思いが、早くもアーリーカップ優勝という形で証明することができた。

Bリーグとなってからの滋賀時代は思うように勝てず、「ずっと厳しい戦いでした。自分自身もなかなか試合に絡むことができず、もがき苦しんだ時期もすごくありました」。しかし、移籍という形で一歩踏み出したことで長く暗いトンネルを抜け出すことができ、「この優勝は本当にうれしいです」と自信になった。

アーリーカップでは3試合とも先発で出場。「先発の日本人選手の中では一番年齢が上であり、ポイントガードという立場もありますが、チームをまとめることを意識して、少しのミスや良いプレーには一つひとつ声をかけるようにしていました」。学生時代や滋賀で培った経験を生かしてのことかと思いきや、「今まではなかったことです」という。長い間、同じチームにいると慣れが生じることもあるだろう。新戦力に対し、「チーム意識がすごく高い選手ばかり」と梶山ヘッドコーチは賞賛していたが、仲間たちに触発されたのも大きい。新たなスタイルでタイトルを手にし、「ひとつ成長できたと思います」

勢いに乗れば手がつけられない『走ってナンボのチーム』

9月12日に27歳の誕生日を迎える小林選手。青山学院大学出身であり、張本天傑選手とは同期。笠井康平選手と安藤周人選手とも一緒にプレーしてきた。同世代の選手が多く、普段は「いじられ役」という小林選手だが、チームを引っ張る存在感を示している。

「このチームは良いときは勢いに乗って、どこも手がつけられないような状況になれますが、流れが悪くなった時にどうするかが課題です。和気あいあいとするだけではダメですし、ビシッとまとめなければいけない部分もあります。その役割を担わなければいけないので、もっともっとリーダーシップを取っていき、練習中から良いチームに、強いチームに仕上げていきたいです」

名古屋Dは10月6日(土)-7日(日)のホームゲームから、新シーズンが開幕する。相手はアーリーカップ決勝と同じシーホース三河。残る期間でさらなる成長が求められる。「まずはディフェンスからコツコツやっていくこと。ウチは走ってナンボのチームです。ウィングはデカくて走れる選手ばかりなので、そこが走って行けばなかなか止められるチームもないと思っています。JB(ジャスティン・バーレル)ら外国籍選手も強烈な選手ばかりです。アーリーカップ優勝を自信に持ちながらも満足せずに、もっともっと上に向かってステップアップしていきたいです」と開幕2連勝を目指す。

「個人的には毎試合出場すること。僕は得点を獲るような選手ではないので、少しでも仲間のために、チームに勇気を与えられる存在になっていきたいです。チームとしてはチャンピオンシップ進出が最低目標であり、優勝を目指して戦っていきます」

『チームワーク』と『ハードワーク』を最強の武器に!

梶山ヘッドコーチは他の4人の新戦力の特長も挙げていた。

「(マーキース)カミングスはあのスピードに惚れ込んだ。菊地(真人/元サンロッカーズ渋谷)はハードワークで泥臭いことを厭わない選手。満田(丈太郎/元横浜ビー・コルセアーズ)は速く、シュート力もある。笠井(康平/ルーキー)はディフェンスで流れを変えてくれるし、シュートもうまい。5人それぞれ良い持ち味があり、ここに笹山(貴哉)と(張本)天傑が加わる。12名がそろったときに誰を出せば良いか迷うことは、うれしい悩み。しっかり化学反応を起こして、もっと良いチームにしていきたい」

『チームワーク』と『ハードワーク』を最強の武器にし、生まれ変わった名古屋D。2シーズン前は4位だった西地区にふたたび移動し、巻き返しを図る。

名古屋ダイヤモンドドルフィンズ

文・写真 泉 誠一