広島ドラゴンフライズ 岡本飛竜 #3

これまでも、これからも僕は挑み続ける part2

part1より続く

ベンドラメ礼生のひたむきさに触れて

岡本飛竜(広島ドラゴンフライズ)にとってベンドラメ礼生(サンロッカーズ渋谷)との出会いは、バスケットに向き合う気持ちをより高めるものとなった。大学卒業を目前にして、実業団ではなくプロの道に進むことに決めたときもベンドラメの存在は大きかったと岡本は認める。

なんか自信があったんだと思います。これだけ努力していれば絶対に……いざ自分にチャンスが回ってきたときに絶対にそれをつかめると感じていました。でも、まぁ、ノベガク(延岡学園)の同期だった礼生の存在は大きかったです。あいつがあれだけ頑張っているなら自分も同じ舞台に立ちたいとか、あいつがやるんだったら俺もやるという気持ちもありました。それがずっと支えになっていましたね

初めて出会ったのは高校1年生のとき。入学当初は中学時代にジュニアNBAやジュニアオールスターなどで活躍をしていた岡本のほうが有望視されていた。実際に1年生ながら上級生とともに主力チームに交じって練習をすることもあった。

一方のベンドラメは「部員30人くらいいて、最初のころは25番目くらいだったと思う」と岡本は振り返る。チーム内で紅白戦をおこなっても、岡本がAチーム、もしくはBチームであるのに対して、ベンドラメはCチーム、もしくはDチームでプレーすることが多かった。

しかしその立ち位置は徐々に逆転していく。1年生の終わりごろになると、頭角を現してきたベンドラメが主力チームに入るようになり、相反するかのように岡本はBチーム、Cチームへと落とされていく。

それでも岡本は腐らなかった。むろん悔しい思いがなかったわけではない。ふるいにかけられ、その網目から落ちていく自分の横をベンドラメが吸い上げられていくのだ。それを純粋に喜ぶほどお人よしではない。

ただ礼生とは一緒に自主練習をしていましたし、1対1もやりあっていたので、あいつのバスケットに対する姿勢だったり、どんな状況に置かれてもただひたすらにバスケットをする姿に感化されて、『あいつがあそこまで頑張れたんだから、俺も負けてられねぇ』って感じでしたね。礼生は本当に練習熱心で、純粋にバスケットを楽しんでいましたから

ともに高め合ってきた友だからこそ、彼が這い上がり、ポジションをつかみ取っていく姿を目の当たりにしても、どこか納得ができる。むしろ、ならば自分ももう一度その座に返り咲いて、ベンドラメとともにチームを引っ張りたい。そうした経験が当時も、そして今も岡本を支え続けているのだ。

“本気”の本質を垣間見たアメリカでのワークアウト

ベンドラメとの親交はそれぞれが別の大学に進学し、プロになった今も続いている。B.LEAGUEが開幕する直前のオフには2人でアメリカへワークアウトにも出向いている。

知人の紹介でトレーナーをつけてもらい、ワークアウトをおこなったのだが、そこでの衝撃がプロになってからの岡本のモチベーションになっている。

練習量が本当に違うなって感じました。大学の下級生の頃は『これだけ練習をしているのになんで……?』っていう悔しい思いがあったんですけど、今思えば根本的に練習量が足りていないと自分自身に矢印を持って行けることができたんです。このアメリカでの経験は大きかったですね

時間にすれば1時間か、長くても1時間半しかないアメリカのワークアウト。しかしアメリカ人のその時間に対する集中力や強度、本気度は日本でやってきた練習とはまったく違う。何よりもそのことに衝撃を受けた。

隣のコートでは当たり前のようにNBA選手もそれをやっている。そういう光景を見て、こうした習慣がどんどん差になっているんだなとすごく感じましたね

むろん映像などを通じて違いは感じていた。しかし現地で、文字どおりの体験をすることによって、その違いの中身を皮膚感覚で知れたことは大きい。言葉で伝えることもできるが、やはりそれは挑戦しようとアメリカに渡った者にしか感じられない何かが、そこにはある。

いや、本当に甘ったれていた自分がいたなと感じました。日本では練習量で他のやつに負けない絶対の自信がありますし、でも『さらに上がいるんだ』とわかってはいたんです。でも実際にそれを肌で感じて焦りました。日本ではちょっと得意だった1対1をやってもボコボコにされて、ビーチで一人うなだれていたら、知らないおばあちゃんに『大丈夫?』って聞かれたりして(笑)。そういう経験が今では大きい。ナニクソという気持ちをさらに大きくさせましたね

ベンドラメ礼生というバスケットに対する熱い思いを真に共有できる友と出会い、アメリカで“本気のバスケット”を肌で感じられたことが、岡本のさらなる挑戦に掻き立てる。

その“本気”は今、広島をB1昇格へという目標に向けられ、岡本自身にとってもその後の目標に向けられている。

part3へ続く
【常に自分に矢印を向けながら、チームを勝利に導きたい】

文・写真 三上太

広島ドラゴンフライズ

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