『鹿児島でプロになりたい』と思ってもらえる子どもたちを増やしたい(鹿児島レブナイズ #31 山田安斗夢選手)

7勝53敗、勝率.117。昨シーズンのB2において唯一、二桁の勝ち星を得られず、断トツで最下位となったのが鹿児島レブナイズだ。さらに、選手の報酬や取引先への支払いまで遅延が続く経営状況の悪化が明るみとなり、存続危機に陥る。チームの成績もさることながら、B2ライセンスが交付されず、今シーズンはB3での戦いを強いられている。ただ、負債を抱える中でもクラブとしてリーグ戦に参加し、選手たちが戦える場が失われなかったのは不幸中の幸いであった。

1年でのB2返り咲きを目指して鼻息荒く戦っている鹿児島だが、いくら好成績を収めてもB2ライセンスが交付されなければ昇格ができないのがB.LEAGUEだ。B2昇格と目標を掲げてコート上で戦う選手たちの努力を報いるためにも、クラブ経営を安定させることが急務となる。

昨シーズン入団した最年少19歳の山田安斗夢選手は、鹿児島商業高校時代に全国大会を経験した有望株である。鹿児島で生まれ育ち、地元のプロクラブでプレーする夢を叶えた山田選手。10月21日(土)、午前11時から行われた東京サンレーヴスとのサタデーブランチゲームに勝利した後、鹿児島の現状、そして自身の将来について語っていただいた。

目指すは1年でのB2返り咲き!B3のレベルに合わせて戦ってはならない

ーー 連敗を止め、3連勝を挙げた今のチーム状況は?

前節の大塚商会(アルファーズ)戦の勝利は、本当にチーム全員で勝ち獲った勝利でした。今週も結果的に(東京)サンレーヴスに2連勝し、チームとして3連勝を挙げられたのですが、相手のゆっくりしたペースに合わせてしまう場面が多く、本来の鹿児島レブナイズのバスケットができませんでした。この2試合は点数的には勝ちましたが、気持ち的にはスッキリしない勝利です。

ーー もっと走るバスケットが鹿児島のスタイル?

チームとして大きくはないので全員でハッスルし、ディフェンスからオフェンスまで走って力強いプレーをすることを目指しています。この試合は外国籍選手が点数を獲り、すごく助かりました(クリストファー・オリビエ選手43点、ダーネル・マーティン・ジュニア選手21点)。でも、本来であれば外国籍選手にディフェンスが寄ったときにこそ、日本人がアタックして得点を積み重ねることができるチームです。それが今日はは出せませんでした。

ーー B2とB3のレベルの差は?

プレーの精度の高さはやっぱりB2の方が上だと感じています。それにも関わらず、今日のようなB3のレベルに合わせてしまって戦っていてはいけません。1年でB2昇格を目指しているチームとしては、本来ならばあってはならない姿を見せてしまいました。

B.LEAGUE元年、目の前に開かれたプロの道を選択

ーー 鹿児島でプロになったきっかけは?

九州を出て、関東や関西の大学に進学してプレーしたいと思っていました。九州内外の大学からお声がけしていただいたのですが、同じように鹿児島からもお話がありました。B.LEAGUEが始まる年にプロから声をかけていただき、大学に行くよりも目の前にプロの道が開けているならば、そこに飛び込んだ方が自分の成長につながるし、得られるものも大きいのではないかと思って、この道を選びました。

ーー 昨シーズン、実際にB2で戦ったことでの手応えは?

高校を出たばかりでしたので、勝手が違うことは多々ありました。僕らの高校はほとんどが1on1や走りまくるバスケットをしていましたが、外国籍選手がいる中で彼らをどう使うか、ピック&ロールの使い方などはやっぱり難しくて考えさせられることばかりでした。でも、今シーズンは正ガード(ポイントガード)を任されています。B2に比べたらディフェンスのプレッシャーが弱いところもあるので、周りが見やすくなっています。でも、まだまだ他の選手に頼ってしまうところもあり、もっともっと成長していかなければいけないです。

ーー プレータイムが伸び(平均10.6分→28.6分)、スタッツも伸びている(平均3.1点→9.8点、FG47.1%→70.5%、アシスト0.8本→3.8本)が今シーズンの目標は?

正直、もう少し得点は獲れると思っています。今、正ガードとなって林(亮太)GM(兼アシスタントコーチ)からは『あまり考えずにもっと攻めて良い』とも言われていますが、やっぱりどこか1番(ポイントガード)でプレーすると考えることもすごく多くなります。1番を任されている限りはその役割を全うしなければいけないですが、それをしながらどうやって点を獲っていくかを突き詰めて、スキルアップしていけるようにしなければならないです。

ーー 目指すべきポイントガード像は?

高校の時から1番でしたが、その時から点数を獲りたい願望がすごく強かったです。僕の中での1番はただパスをさばいたり、コントロールをするだけでは、もし自分がディフェンスをしていても恐くないと思います。相手に恐い思いをさせるためにも点数を取りにいくことが大事。これからB2、B1へと上がっていくことを見越しても、まずは1番ができなくては話にならない。今、このポジションを任されている以上、自分の今後のことを考えても、もっともっと成長していきたいです。

鹿児島教員チーム時代から見てきたガムシャラなプレーがクラブの伝統

ーー 鹿児島をB2、B1へ押し上げることが一番の目標になるかとは思うが、強いだけでは上がれないことも昨シーズン味わった。選手ではどうにもならない部分もあるが、個人としてどこを目指しているか?

確かに厳しい状況ではありますが、理想としてはプロとして地元の鹿児島でバスケットができるというのはものすごく素晴らしい環境だと思っています。この環境でB1まで上がることが一番の目標です。ただ、それにはなかなか厳しい状況にあり、僕としてもチャンスがあれば飛び出していく勇気も今後は必要になると思います。けど、鹿児島をB1へ上げていくためにここで貢献したいという気持ちも強くあります。他のチームに行って自分がスキルアップして、また帰って来るという選択肢もあるでしょうし、鹿児島をB3からB2に上げていきながら、このチームとともに成長していくこともいち早い手段なのかなと思っています。まだ今シーズンが始まったばかりなので先のことは分かりません。鹿児島レブナイズの一員としてB3で結果を残して、他のチームにも見てもらいながら、自分の幅を広げられるような選手になっていきたいです。

ーー レノヴァ時代から地元のプロチームとして認知し、憧れでもあったか?

小学校の頃からレノヴァがありましたし、その前の鹿児島教員チーム時代から試合を観に行っていました。やっぱり外国籍選手のすごさであったり、大きい選手たちがルーズボールに飛び込んだり、そういうガムシャラなプレーを見て育ってきました。今、プロとなって見られる立場になっているからこそ、僕が目標を与えてもらったように、ガムシャラにプレーをして『鹿児島でプロになりたい』、または『鹿児島を飛び出してもっと上のレベルでバスケットをしたい』と思ってもらえる子どもたちや高校生が増えてくれるようになれば良いと思っています。

鹿児島レブナイズ

文・写真 泉 誠一