【Talking NATIONS】B.LEAGUEが挑むべき制度改革とは?(労使協定編)

長いシーズンが終わり、一息つく夏。束の間の休息の後、来シーズンをどうするかのビジネスジャッジをするのが選手にとってのオフシーズン至上命令だ。

B.LEAGUEが迎える2回目の夏も様々な選手が移籍表明をした。中でも、B1昇格を果たした秋田・田口成浩選手の千葉への移籍は大きな話題となった。涙を流しながらも秋田への恩を語った姿は印象的で、千葉に移籍することで成し遂げたい想いの大きさを感じた会見だった。これまで秋田の顔だった選手が突然表明する移籍。秋田のファンにとってはまさかの出来事だったのではないだろうか?

現時点で、B.LEAGUEにはリーグと選手間における労使協定が存在しない。簡単に言うと、最低年俸の設定こそあるもののチームと選手契約に金銭的なルールがほぼほぼないということだ。したがって、チーム資金力の不均衡による有力選手の一極集中化、それによる選手売り手市場など、チーム間格差が広がってきている状況を生んでいる。加えて、B1からB3まで3部制に渡る昇降格も存在するため、圧倒的な資金力がなければ単年毎に状況が変わる、言わば湿地帯のようなビジネスコンディションで、チーム経営せざるを得ないのもサバイバルである。

ファン目線で言えば、公には契約年数や年俸は非開示なことが多く、お気に入りの選手がどういう条件でどれくらいの年数、自分の応援するチームにいてくれるのか?がわからないというのはモヤモヤするところ…。

NBAの場合は、リーグとNBA選手組合の間で労使協定がしっかりと締結されている。具体的には、選手契約について、ドラフトについて、サラリーキャップについて、収益の分配についてなど、双方納得のいく着地点の元に締結された、NBA団体交渉協約(The Collective Bargaining Agreement=CBA)と呼ばれる契約がある。
細かく定められたルールの範疇で、選手との契約やトレードなどが行われるため、チームにとっても、選手にとっても、納得感のある運用がなされている。何より、ファンに対して透明性の高い環境を提供できていることは、コンテンツビジネスとして重要なポイントだと感じる。そのため、移籍市場自体がメディア・コンテンツとして非常に盛り上がる。どこのチームに誰が移籍しそうだ、どの選手が何年契約を提示されている、あの選手とあの選手がトレードされるらしい、などなど噂話だけで相当な盛り上がりを見せる。悲しいかな、この手の話題はほぼ日本のスポーツ界では耳にしない。

当然のことながらメディア界隈では、表に出ていない情報が耳に入ることもしばしばだが、なぜかこれを公にすることがタブーのような空気感があるのも事実。B.LEAGUEは、まだまだ過渡期のリーグにつき、段階を経て整備をしていくことは、言わずもがな関係者も認識していることだろう。ただ、ステップを踏むにしても期限を決めなければなかなか物事は進まないというのは、これに限ったことではない。

個人的な見解として、ファーストステップはB.LEAGUEとして選手組合をしっかりと設立することだと考える。その上で、選手に対しての契約保証や、サラリーキャップ(チームが選手サラリーに対して費やすことができる年間の予算枠)の導入を議論し、労使協定を締結すべきだ。サラリーキャップの導入には、その導入の是非に加えて、タイミングという問題もある。しかしながら、早めにある一定の戦力均衡化に対する手立てを打たなければ、一つのチームが何連覇もするというような、意外性が生まれないリーグになってしまうかもしれない。万年最下位争いのチームはそのうち経営破たんしてしまうかもしれない。
チームスポーツとは言え、同時に試合に出場できる人数が5人と少なく、選手1人がゲームに与えるインパクトが大きい競技がバスケットボールである。サッカーや野球と同じように…というわけにいかない。

バスケはバスケならではのレギュレーション作りと制度改革を進めていくことが、世界に通用するリーグへの近道になると思う。日本のバスケを盛り上げましょう。

MAKE B-BALL MAJOR
文・平将貴

B.LEAGUE、NBA、日本代表、3×3、ストリート、学生バスケ。「すべてのバスケファンが集まるプラットフォームアプリ」 ”NATIONS” を運営する株式会社NATIONSの平将貴社長からスポーツビジネスの最前線にまつわる連載コラムの寄稿をいただきました。月1回更新予定。この記事はバスケットボールスピリッツフリーペーパーでの連載を転載しています。

株式会社NATIONS 代表取締役社長 平将貴
Twitter: @Masataka_Taira

グリーやメタップスなどITベンチャーでの幅広い経験を活かし、スポーツビジネスに参入。日本のバスケットボールビジネスを底上げすることをミッションとして奔走中

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写真・安井麻実