【Talking NATIONS】スポーツ業界不祥事とガバナンス、”よそ者”の効用とは?

早いもので、2018年も残すところあと3ヶ月程(※フリーペーパー9月末号掲載)。今年は、日本各地で過去最大級の地震、水害、台風といった災害が発生し、言いしれぬ不安を抱えながら過ごす日々が続いている。そんな不安を明るさに変えていくような役割を、本来であればスポーツが担うはずなのだが、災害よりも頻度の多いスポーツ業界における不祥事の多さに辟易してしまうのは、私だけではないはずだ。

レスリング、アメフト、ボクシング、チアリーディング、体操、駅伝、ウエイトリフティングと相次ぐパワハラ問題が勃発。バスケ界では情けないことに代表活動中の買春行為、窃盗によるB.LEAGUE選手の逮捕が取り沙汰された。問題を起こした一個人の問題だけにとどまらず、組織そのものの在り方や、旧態依然としたスポーツ業界全体に「当たり前」化している様々な「非常識」が明るみとなり、まさに社会的意義が問われている。

ごく一部の、悪影響を及ぼす人々によってスポーツ界すべてがこのような目に晒されてしまうということ自体が非常に悲しいことではあるが、そのような人々を生み出しやすい環境にあるということには目を背けてはならない。日本のスポーツ界自体、体質改善をしなければならない。そういうタイミングに来たのかもしれない。

言うなれば、これは「ガバナンス」の問題である。悪影響を生み出す個人を作り上げるのも、結果としては「ガバナンス」に因る部分も大きい。

日本のスポーツ界の根底にあるのは、「部活動」という学校教育の一部として組み込まれている育成システムだ。世界的には、”地域中心型”で地域コミュニティの中で指導していくスタイルがマジョリティだが、”学校中心型”でスポーツを指導していく日本の「部活動」は独特な文化だ。

特にバスケのような団体競技における「部活動」大会形式はトーナメント方式が多く、学校対抗で1位を決める戦いを、小学生の頃から常に繰り広げており、勝者のみが試合数を重ねることができるシステムが大半。指導者の中には学校教育の傍らで仕方なく部活を教える指導者も多く、専門家ではない彼らが指導することで生まれる間違った練習方法や起用方法、愛のムチに代表される暴力が後を絶たないのは、まさに「部活動」の仕組みが生んだ悪の側面だ。

往々にして、そのスポーツにおける子供の将来性よりも何よりも、学校が勝利することを最優先にされてしまっている現状があることは事実。高校野球における球数制限問題等は、まさにそれだ。

ただ一番の問題は、勝つこと以外にも大切なことが多くあるということを、学ばなければいけないアンダー/ジュニア世代から、この「勝者至上主義」思想が蔓延っていることにある。「勝てば官軍、負ければ賊軍」というような思想の植え付けにより、勝ち抜いて来た者は何をやっても許されてしまう「甘え」が、ひいては大人になっても「逆らえない上下関係」を生み出す癌となっているのではないだろうか?

今回の各スポーツ界でのパワハラ問題と、バスケ日本代表が起こした直近の不祥事は、性質こそ違えど、根本は同じ所に起因していると思う。

「競技以外への無関心さ」が当たり前となり、世間との感覚的なズレを生み、「非常識」な意思決定をしてしまう。”よそ者”を受け入れようとしない排他的な社会を村社会と言うが、スポーツ界のこのような状況下では縦割りの村社会を助長しやすい。しかし、競技で結果を出した者のみで構成される村社会体制は、これを機にもはや見直されるべきだ。

日本スポーツ界が大きく変わるためには、良い意味で”よそ者”を受け入れていくことなのかもしれない。ガバナンス的にも、ビジネス的にも、もっと他業界との連携を深めることで、新たな価値観の創出が期待できる掛け算の考え方が重要だ。

例えば、財界プロ経営者を協会のトップに据えるなどして、これまでの制度自体を抜本的に変えるなどしてみても面白いかもしれない。

バスケ界は、そんな”よそ者”の効用を最も理解しているはずだ。bjリーグとバスケ協会との対立により、国際バスケットボール連盟より資格停止処分を受けたのは4年前。バスケ界内部の力では、「逆らえない上下関係」や「しがらみ」が邪魔をして変えられなかった体質は、バスケ界にとって”よそ者”であったサッカー界の川淵三郎さん介入によって改革された。

今回のバスケ界の不祥事は二度と起きてはならないこと。問題を起こした当人たちは口を揃えて「甘えがあった」と言う。再発防止に向けたガイドライン作成などは当たり前だが、先に述べたような「勝者至上主義」から来る、勝者は何をやっても許されるというような思想自体を現場レベルから、まずは変えていかなければならない。

学校教育とスポーツが一つとなっている時代から、プロスポーツチームやリーグが主導してスポーツを広めていく時代へと変化していくことで、産業化はもとより社会的意義の観点から今一度「在り方」を一人ひとりが見直していかなければならない。
さぁ、バスケを盛り上げましょう。

MAKE B-BALL MAJOR
文・平将貴

B.LEAGUE、NBA、日本代表、3×3、ストリート、学生バスケ。「すべてのバスケファンが集まるプラットフォームアプリ」 ”NATIONS” を運営する株式会社NATIONSの平将貴社長からスポーツビジネスの最前線にまつわる連載コラムの寄稿をいただきました。月1回更新予定。この記事はバスケットボールスピリッツフリーペーパーでの連載を転載しています。

株式会社NATIONS 代表取締役社長 平将貴
Twitter: @Masataka_Taira

グリーやメタップスなどITベンチャーでの幅広い経験を活かし、スポーツビジネスに参入。日本のバスケットボールビジネスを底上げすることをミッションとして奔走中

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写真・安井麻実