メディアより愛を込めて -スタア誕生!- part1

※本記事は2018年12月発行、バスケットボールスピリッツvol.28からの転載

左より、平将貴さん・マーク貝島さん(NATIONS)・丸山素行さん(バスケットカウント)・入江美紀雄さん(バスケットキング)・秋元凜太郎さん(バスケットマガジンFLY)・山上(バスケットボールスピリッツ)

2018年も残り僅かとなった。今年もさまざまな出来事があった日本バスケットボール界。そんな中、今回の座談会を企画したのは、年の終わりを『希望』の話で締めくくりたかったからだ。12月3日、富山市総合体育館で行われたワールドカップアジア地区予選(対カザフスタン)当日、会場近くの某所において開催した座談会には本誌コラムでもおなじみのNATIONS代表取締役の平将貴さん、同じくプロデューサーのマーク貝島さん、バスケットのWeb媒体バスケットボールキング編集長の入江美紀雄さん、同じくバスケットカウント編集部の丸山素行さん、そこに途中から参加したバスケットマガジンFLY編集長の秋元凜太郎さんとSPIRITS編集部山上を加え2時間ノンストップで熱いトークを繰り広げた。今回掲げたテーマは『新しいスターを探せ!』――それぞれが挙げた新しいスターの条件とは?

スターの定義はなんだと思いますか?

山上 今日はお忙しいところお集まりいただいてありがとうございます。今回掲げたテーマは日本のバスケットボール界を担う『新しいスターを探せ』というものですが、まあテーマが壮大なので、今回は国内でプレーする選手に限定しての座談会にしたいと思います。
 ということは渡邊雄太や八村塁のアメリカ組は省くってことですね?
入江 省かないと話がそこで終わっちゃいますから(笑)
 と言っても、やはりテーマが壮大なのでまずは『スターの定義』という点から話し始めませんか?
山上 そうですね。私がスターの定義として最初に思い浮かべるのはカリスマ性とストーリー性なんですが、皆さんはいかがでしょう?
入江 Bリーグでは今も田臥選手(勇太・栃木ブレックス)がスターのアイコンになっているのは確かだと思います。やっぱり能代工高校時代に9冠を達成し、NBAでプレーする最初の日本人選手となったインパクトは大きいですよ。
山上 それは間違いないですね。
入江 そんな中で他のスポーツのことを考えてみると、サッカーで言えば本田圭佑とか香川真司とか、今だったら野球の大谷翔平とか、パッと浮かぶのは海外で活躍している選手です。もちろん国内にもスター選手がいないわけじゃないですけど、やっぱりちょっとスケールが小さくなっちゃうんで、国内でスターを探すのは結構難しいかなって気がしますね。
丸山 僕も『スターの定義』となると、バスケに関してはやっぱり海外に出るということが大きいと思いますね。
 それがスターの条件の1つ?
丸山 そうですね。日本の中だけじゃスターになれないイメージがあるんですよ。田臥選手の次は富樫選手(勇樹・千葉ジェッツ)と言われてますけど、彼もまたNBAに挑戦した選手ですし。もちろん、小さくても速くて上手いっていうわかりやすさもありますが、やっぱり『海外』っていうのは1つのキーポイントになると思います。
マーク 僕はスター選手の条件は2つあると思ってます。1つは単純に点を取ること。たとえば1試合に50点とか、そういうパフォーマンスを何度かすると「あいつはまた何点取った」とか「ほんとにすげー」とか話題になる。今はハイライトベースっていうか、ツイッターでも5秒のハイライトが沢山挙がってますから、話題になると同時に動画としても拡散されます。つまり、ハイライトが拡散されるぐらい得点能力がある選手ということですね。2つ目は能力だったり、ビジュアルだったり、何か突出したものがあって、ワンプレーでみんなを大騒ぎさせられるような選手。たとえばアンクルブレイクとかものすごいダンクをするとか。そういう意味では馬場選手(雄大・アルバルク東京)のポテンシャルはそれに近いかな。もともとバスケはワンプレーですごく強い印象を残せるスポーツなんで、めちゃくちゃすごいダンクを続けて、拡散されたハイライトが積み重なっていけばファンの中に「この人はスターなんだ」っていう印象が自然に植えつけられていくんじゃないでしょうか。
 ストーリー性を持っているとか、海外に出るとか、突出したプレーのハイライトを積み重ねるとか、皆さんの話をまとめると『個の価値が高い選手』ということになりますよね。確かに他のスポーツでもスターというのはその条件を満たしている選手ばかりです。ただ僕には『スターというのは作り上げて行かなきゃならないもの』という考えがあって、そこに対する努力がまだ圧倒的に足りない気がしてます。
山上 言い方を変えれば『スターを育てる』ということでしょうか?
 そうですね。たとえば日本を代表するシューター金丸選手(晃輔・シーホース三河)は、高校時代に磨かれたオフェンスの資質を大学の4年間でフォーカスして、さらに開放された選手なんですね。その結果、さっきマークさんが言っていた「50点取る選手は目に止まるよね」というようなスコアラーに育ったんです。
丸山 えー、そうなんですか。
 彼は世界大会でも平均38点くらい取ってますから、海外でも彼と同世代の選手はみんな彼のことを知ってます。でも、基本的に平均を求めるという日本のバスケットスタイルからしたら、彼はまだ例外の部類でしょうね。国民性かもしれないですけど、日本では1つだけバァーンと突出している選手が育ちにくいように思います。Bリーグの中にもあまり見当たらないですよね。
マーク 今の話で浮かんだのはデニス・ロッドマンです。彼があれだけリバウンドを狙ったのにはもちろん『チームに貢献したい』っていう思いがあったでしょうが、それは半分で、あとの半分は『自分の価値を高めたい』だったと思うんですよ。つまりはセルフマーケティングですね。何か1つのものに突出して自分の価値を高めるってことです。
丸山 それを言ったら日本の選手はスタッツを稼ぎにいってないですもんね。
マーク そうそう。まあ得点に関して言えば、今のBリーグではほぼ最優先は外国籍選手になっているので日本人選手のシュートの数は圧倒的に少ない。必然的に点が取りにくいってこともありますけどね。あと、さっきの何かに突出した話で言えば、最近NCAAでどこの大学だったか忘れちゃいましたが、わりとマイナーな大学で1試合でテイクチャージを5回したことが記事になってておもしろいなあと思いました。
丸山 そういう話が記事になるのがアメリカですね。バスケへの関心度が高いというか。
 日本もそういうところをフィーチャーしてあげるのが発信側の仕事の1つかもしれないですね。先ほど私が言った『スターを作る』ということも公平性を求められるリーグは難しいかもしれないけど、チームが意図して発信することはできる。そういうことが大事なんじゃないかなあ。

part2へ続く

構成・文 松原貴実
写真 吉田宗彦、安井麻実

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