表裏一体。ディフェンスの醍醐味

photo

ブレックス#0田臥勇太選手に対し、体を張ってディフェンスするアルバルク#7正中岳城選手

多くのスポーツにおいて攻撃と防御は表裏一体。攻守いずれかの役割だけを担うポジションはあれど、チームスポーツにおいて勝利を得るためにはどちらも欠かせない。
ダンクシュート、ダウンタウン、クラッチタイム…と華やかなオフェンスに目を奪われるバスケだが、ディフェンスに目を向けるとさらに楽しめる。そう思わせてくれたのが、トヨタ自動車アルバルク東京がリンク栃木ブレックスに20点差と大差をつけ、98-78で快勝した9月29日(日)の開幕2戦目だ。

エグいディフェンス力

選手層厚く、プレイタイムをシェアしながらツープラトン攻撃を仕掛けるアルバルクは今年も強い。その起点となるのがディフェンスであり、それはそれはエグい。熱いハートで厚みをかけてくるプレッシャーディフェンス。応援するファンにとっては頼もしく、対戦相手にとっては思うようにボールを運べないもどかしさにイライラさせられる。
特攻隊長よろしく、最前線からベタベタと残暑のごとくまとわりつくのは、アルバルク#7正中 岳城。
ボールを運ぶブレックス#0田臥 勇太に対し、体をぶつけながらファウルギリギリのラインでプレッシャーをかける。フラストレーションが溜まる田臥は、ファウルではないか、と審判に食い下がる場面もあった。それは栃木からアウェイに乗り込んだブレックスファンも同じ気持ちで、2階席からブーイング。
「いろんなプレッシャーをかけつつも過度にならず、ある程度のバランスを持ってチーム全体のディフェンスをコントロールする意識を持ってやっています」と、正中はアルバルクのディフェンスを解説。

アルバルクのフルコートディフェンスを見て、バスケ経験者ならば苦い思い出が蘇るかもしれない。筆者のようなヘタッピは、フルコートディフェンスをやられて前に進めないのも、やらされてゼェーゼェーと息を切らすのも、どちらも思い出したくもないトラウマ。しかしその辛さを知っている分、一生懸命さやレベルの高さが伝わってくる。
また、アルバルクファンであれば、バスケ経験者でなくてもディフェンスから見ていて楽しい。シュートを決めた後、スローインする相手をマークし始めたら、すかさずディフェンスコールや手拍子などで煽ることで、選手と一緒になって相手にプレッシャーをかけられる。サッカーであれば、「オイッ!オイッ!」と地鳴りのような声援を送り、我がチームの背中を押すサポーター。辛いフルコートディフェンスを声がけをすることでともに戦える。そこで生まれる一体感。密閉された体育館ならば、すぐにホームコートアドバンテージを作れるはずだ。

簡単に得点させないことでシュート価値が向上する

ディフェンスには、華がないのも確かである。正中も「見ている方にどれだけ伝わるかは分かりませんが…」と前置きした上で、ディフェンスの心意気について指南してくれた。
「簡単にシュートが入るのがバスケットの楽しさでもありますが、やっぱりなかなか点は入らないものだというところも見せないと、シュートを決める価値も上がらないです。ハイレベルなディフェンスをしていれば、きっとその楽しさは伝わると思ってます」
この試合の3Q、ブレックスに攻撃権が移るも、エンドラインからのスローインを5秒間守りきるバイオレーションを取った時、正中は跳びはね、そして手を叩いて吠えた。それくらい、ディフェンスにも全力を傾けているのだ。

息詰まる接戦は見ればハラハラさせられるし、分かりやすい。でも、実際にはそんな試合ばかりではない。
力のあるチームはしっかり自分たちの時間を作り、そしてリードを広げることができる。また激しいディフェンスを突破することで、オフェンスの素晴らしさも再認識できる。
バスケの詳しいことは良く分からない、と言う方こそディフェンスを見ることをオススメしたい。
デカい選手たちが腰を低くし、ゴールを守る。オフェンスでは涼しい顔をしても、顔をしかめながら体をぶつけるディフェンスは、選手たちの大変さをうかがい知ることができる。
ディフェンスに目を向けることで、さらにバスケの楽しみ方は広がって行くのだ。

NBL 2013/9/29
トヨタ自動車アルバルク東京 98-78 リンク栃木ブレックス