「古巣」と戦うって、どんな感じ!?

9月28日(土)に開幕したNBLは第2節を終え、好調なチームと調子上がらないチームに分かれてきた(と言っても、まだ始まったばかりだが……)。bjリーグから参戦した千葉ジェッツが4連勝を飾り、予想以上のインパクトを与えた。レジー・ゲーリーHCの手腕は定評があるだけに、シーズンが進むにつれてさらに評価が上がるだろう。

千葉の躍進を支えているのは、トヨタ自動車アルバルク東京から移籍した#34小野龍猛。4試合すべてでスターターを務め、チーム一のプレイタイムと得点を記録している。 小野の他、#25荒尾岳もトヨタ東京から移籍したほか、#7宮永雄太がリンク栃木ブレックスから、#15佐藤託矢、#22上江田勇樹が三菱電機ダイヤモンドドルフィンズ名古屋から移籍してきた。#0佐藤博紀、#1一色翔太、#9田中健介ら生え抜きと移籍組とのコミュニケーションがよく取れており、スタートダッシュに成功したのもうなづける。 今シーズンのNBLは移籍の動きが活発で、顔ぶれが変わったチームが多い。その移籍の効果がチームの成績を左右することになりそうだ。

トヨタ東京#13菊地祥平選手(写真はリンク栃木戦時)

トヨタ東京#13菊地祥平選手(写真はリンク栃木戦時)

新天地で活躍すれば、試合後は“楽しかった”

さて、10月5日(土)は東芝ブレイブサンダース神奈川のホーム開幕戦。お馴染みの等々力アリーナ(川崎市)には1800人以上の観客が集まった(プレス席では「目標の2000人には届かなかったけどよく入った」との声も……)。 開幕2連勝と好スタートを切ったチーム同士であり、昨シーズンのプレイオ・セミファイナルの再現をファンは期待しただろう。

ところが前半はトヨタ東京の一方的なペース。52-28と大差をつけて前半を折り返す。後半に入るとガラリと変わり、一転、ホームの東芝神奈川がペースアップした。ホーム初戦でもあり、このまま終わるわけにはいかない。じりじり追い上げ、一時は逆転に成功。最後は自滅のカタチで再逆転を許してしまい、3点差で敗れてしまった。

さて、この試合、もうひとつ注目したところがある。それは、移籍によりトヨタ東京に移籍した、元東芝神奈川の菊地祥平。29歳という、バスケ選手としては脂ののった時期に移籍した。竹内兄弟らと同期のプラチナ世代の一人で、ユニバーシアードなどではチームメイトとして戦ったこともある。だが、新戦力が台頭する東芝神奈川にあってはプレイタイムが思ったように延びなくなっていた。そこで求めたのが新天地・トヨタ東京だった。

 この日は慣れしたしんだ等々力アリーナで、気心の知れた元チームメイトとマッチアップ。チームは90‐87で勝利を収め、自身も約10分のプレイタイムが与えられ、気分は良かったのだろう。 「なんだか不思議な気持ちでした。でも、楽しかったですね(笑)」と笑顔でコメントをくれた。試合後、おそらく東芝神奈川時代からファンだろう、2階席から身を乗り出して差し入れを渡していた。「練習の延長みたい感覚がありました。トヨタ東京のバスケットにはまだ慣れていませんが、役割が決まっていて、自分にも与えられているのでプレイしやすいです」。 ここまでの4試合はベンチプレイヤーとして、ドナルド・ベックHCの起用に十分応えている。古巣との対戦も楽しかったようだ。移籍先で活躍できなければ、このようなコメントもしづらいだろう。

“ゼッタイ負けない!”という思いを胸に

これからも、同じように“古巣”と戦く選手たちが多くなる。「楽しかった……」だけではなく、「ゼッタイに負けたくない!」そんな強い思いを抱く選手が居ても不思議ではない。プロ野球やサッカーのJリーグでは移籍は日常茶飯事。バスケット界においても、移籍によって働き場所を得る選手がどんどん増えるはずだ。さまざまな事情を孕み、それが興味深いストーリーになることだってある。

ファンにとってはチームの応援が第一かも知れないが、なかには選手個人を応援したいファンも多いだろう。かつてホームチームの一員として応援していた選手が移籍し、古巣との対戦のためにアウェーチームの一員として戻って来たとしよう。さて、どっちのベンチサイドで応援しようか悩んでしまうかもしれない。 が、できればどっちにも出掛けて行って精一杯応援しましょう(毎試合は無理でも……)。観客動員は、案外アウェーチームのファンの来場によって多くなる。移籍した選手たちにとって、新しいホームでの声援はもちろんのこと、かつてホームとして戦っていたコートでよく知るファンから変わらない応援を受けることほど勇気づけられるものはないはずだ。

NBL

文・羽上田 昌彦(ハジョウダ マサヒコ)
スポーツ好きの編集屋。バスケ専門誌、JOC機関紙などの編集に携 わった他、さまざまなジャンルの書籍・雑誌の編集を担当。この頃は「バスケを一歩前へ……」と、うわ言のようにつぶやきながら現場で取材を重ねている。 “みんなでバスケを応援しよう!”を合言葉に、バスケの楽しさ、面白さを伝えようと奮闘中。