アジアのライバルを相手に世界基準の激しさを見せられるか

イラン代表との国際強化試合は、FIBAが掲げる新しい枠組み(詳細は「今の繰り返しが未来につながる」にて)のなかで今の日本代表に何ができて、何ができないかを確かめる試合でもある。
1月31日にはそのロスターが発表されたが、この試合のチームを率いるルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチは選手たちに「細かい戦術というより、ソリッドネス(solidness)、インテンシティ(intensity)、アグレッシブ(aggressive)を求めたい」と言う。「ソリッドネス=堅固」で、「インテンシティ=激しさ」を持って、「アグレッシブ=攻撃的」な姿勢を示すことは、パヴィチェヴィッチヘッドコーチが2回の強化合宿で言い続けていたところでもある。

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メディアに公開された練習ではトランジションディフェンスや、ピック&ロールを使ってコートを広く活用するオフェンス、それに対するディフェンスなどが披露されたが、そうした戦術も「ソリッドネスとインテンシティとアグレッシブ」が備わってこそ。長谷川健志・前ヘッドコーチくらいから徐々にそうしたものが見え始めてきたが、それでもアジアを含めた国際舞台に立つと、日本の「ソリッドネスとインテンシティとアグレッシブ」はまだまだ希薄である。
そのたびに「またか……」と思わされてしまうのだが、一方で新しいチームになり、ヘッドコーチの情熱や選手の前向きさに触れると「今度こそ」と期待してみたくもなる。

日本は背が小さい。だからバスケットには不向きなんだと見る方もおられよう。ポジションをコンバートして、背の高い選手でチームを構成すればいいじゃないかと考える方もおられるかもしれない。
しかしパヴィチェヴィッチヘッドコーチはそうした考えを否定する。いや、完全に否定しているのではなく、サイズを大きくするのであれば「U-12、13、14といった若い世代でやらなければいけない」と提言する。そのうえで年齢制限のない日本代表は「その時点で最高の15名(イラン戦は15名のロスター)が選ばれるべきだ」と考えている。むろん何をもって最高というかはヘッドコーチの考え方次第であり、少なくとも167センチの富樫勇樹はパヴィチェヴィッチヘッドコーチが考える“最高の選手”の一人なのである。

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「(バスケットボールに限らず)日本自体が世界と比べるとけっして大きくありません。しかし今は日本でバスケットが愛されるスポーツになりかけているところなので、サイズよりも激しさ、アグレッシブさを求めます。もちろんスキルを高めていくことも必要です。そうして速い展開やバスケットの知識を得て、チームを向上させたほうがよい。サイズを大きくしても、バスケットの本質を見極めないのはよくありません。ゲーム自体の本質を捉えながら、向上していくことが大切なのです」

ないものを嘆いても仕方がない。あるものでいかに勝負するか。

現実を見据え、世界水準の基盤を作り上げることで、将来、サイズの大きなチームができたときにもそれらは生きる。パヴィチェヴィッチヘッドコーチはその一歩として「ソリッドネスとインテンシティとアグレッシブ」を植え付けようとしている。

イラン代表はチームの主力であるベテランの3選手が中国プロリーグ・CBAに参戦しているため、今回の国際強化試合には参加しない。それでも西アジア選手権で準優勝を果たした次世代を担う若い選手たちがやってくる。彼らにとってみても、日本代表とのゲームは国際レベルの経験を積む恰好の舞台である。
そうしたイランに対して、勝ち負け以上に、世界水準の「ソリッドネスとインテンシティとアグレッシブ」をいかに出せるか。ここで出せなければ2020年はない、という覚悟で臨んでもらいたい。

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バスケットボール男子日本代表チーム 国際強化試合2017
2月10日(金)19:00 11日(土)15:00@北海きたえーる

文・写真 三上 太