日本代表の注目株 八村塁・17歳

男子日本代表002八村

文・松原 貴実 写真・三上 太

 6月30日に行われた日本代表チームの公開練習で、記者団に囲まれた長谷川健志ヘッドコーチの顔がパッと明るくなった。この2次合宿から参加した八村塁(明成高校3年)について質問が飛んだときだ。
「いやぁ、すごい!いやいやすごいポテンシャル。特に柔らかさですね。シュートもそうだし、プレイの身のこなし方もそう。ブロックショットがあるし、リバウンドがあるし、シュートも高校生離れしているし…。今回はチームのテーマとして”競争”というのを挙げているんですが、チームに大きい選手が少なかった分、これまでは競争が足りなかった面もありましたから、塁や雄太(渡邊)が入ってきたことは太田(敦也)や(竹内)譲次にとってもいい刺激になっていると思いますよ」

 さらに、練習をともにした田臥勇太に話を聞くと…。
「まずはあんなに能力があるのがうらやましい。あのサイズであれだけの能力を持った選手は日本ではなかなかいないでしょう。で、あの歳(17歳)でこうやってA代表でね、普通に練習できてることがすごいですよ。僕が高校で入ったときは緊張しちゃってどうしようもなかったのに、彼は動じないというか、それだけでも全然違います」
 練習中にも驚かされること少なくないという。
「同じガードとして今日の練習もそうですけど、ドライブしたらしぜんに合わせてくれるというのはすごいこと。高校生なのに本当によくできているなという感じです。(自分が)いてほしいところにちゃんといてくれたし、ボールもちゃんと通るし、一緒にやっていて”生かし甲斐”がありますね。もっと長い時間一緒にやりたいと思わせてくれる選手です。聞いたら、まだ身長も伸びているっていうし、(コートの外では)可愛いなという感覚になるぐらい歳は離れていますけど(笑)同じプレイヤーとしては期待していますね。期待を持たせてくれる選手です」

 日本を代表するベテラン先輩ガードにここまで言わせてしまうあたり、畏るべし17歳。だが、コートを離れたとき「可愛いなと言う感覚」になるのは田臥だけではなく、八村の素顔について尋ねた選手たちからは異口同音に「可愛いやつです」のことばが返ってきた。

「言うこと、やることが憎めなくて、なんか可愛いんですよ」(張本天傑)
「何ていうんですかね、物事に動じない図太さがありますね、あの歳で(笑)。でも、普通に言うことがいちいちおもしろいし、可愛いですよ」(満原優樹)
「自分が17歳のころを思い出したらああいうプレイはできなかったと思うし、何よりA代表の合宿にパッと入れることがすごいですね。肝っ玉が据わっているというか。そのくせ(17歳の)可愛いとこもあるし(笑)」(田中大貴)

 だが、そんな八村にも悩みがないわけではなく、高校卒業後進学すると決めているアメリカの大学や生活について(アメリカ生活の先輩である)富樫勇樹や渡邊雄太に相談することも多いという。
「いろいろ相談に乗ることはあります。僕としては彼にはやっぱりNCAAでやってほしいし気持ちがありますね。それは自分が行けなかった場所であり、NBAに一番近い場所だとわかっていますから。すごく能力がある選手なので活躍してほしいなぁと思います」(富樫勇樹)

 バスケットと併行して、今は英語の勉強にも力を入れているという八村だが、代表合宿中はバスケット一色。
「高校でやっているのとここでやるのとでは、高さも強さも経験も全部違います。でも、コートに入ったら年代とかは関係ないと思っているので、自分では思いっきりやれていると思います」と、頼もしく語る。
 経験値の高い先輩たちのプレイに気後れしたり、引いてしまうようなことはないか?と質問すると、「それはありません」と、きっぱり答えた。
「こういういい経験をさせてもらっているのに引いてしまったらもったいないと思っているので」
 引いてしまったらもったいない…その心意気や良し。突き進む八村の可能性はまだまだこれから大きく広がっていく。