お客様、スポンサー様は神様です

10月13日(日)、千葉ジェッツのホームコートで東芝ブレイブサンダース神奈川戦を観た。やっぱり千葉は一味違っていた。bjリーグで鍛えられた(!?)、バスケを楽しむための仕掛けが上手かった。

会場は市川塩浜体育館。横浜在住なのでやや遠方に感じられたが、最寄りの『市川塩浜駅』からは徒歩15分。途中、誰ともすれ違わず(日曜のお昼なのに?)体育館に到着。着いてみればアリーナ内には売店が並び、観客の出足は上々。千葉のゲームを楽しみにしているファン(ブースター!?)はたくさんいると実感できた。

ゲームは前日、東芝神奈川に15点差で敗れた千葉が発奮し、第1Pで一気に10点差をつけた。厳しいディフェンスで相手のミスを誘い、攻めては全員攻撃。ポイントゲッター#2レジー・オコーサの9得点を筆頭にバランスよく得点を重ねた。

ところが、第2P以降は逆にミスが目立ち始める。9つのターンオーバーを犯してしまい、結局6点止まりと急ブレーキ。一旦逆転を許すと、徐々に点差を広げられ、44‐58と14点のビハインドで第4Pを迎えた。ベンチで選手を鼓舞するレジー・ゲーリーHC。その指示を忠実に実践し、踏ん張る千葉の選手たち。ファンも最後まで諦めない。#22上江田が2本の3ポイント決めるなど、一時は息を吹き返したかに見えた……が、その後のファウルゲームは功を奏さず、65‐79と前日同様の点差で連敗してしまった。

ロースコアでそれなりに点差がついたゲーム。ところが、おざなりに観戦(いや取材)しようという感覚はなかった。ゲーリーHCのベンチワークは巧みで、選手とのコミュニケーションを大切にしているのがよくわかる。タイムアウトで指示を与えれば、選手たちはその指示に応えようと必死なのが伝わってくるのだ。

しかも、タイムアウトやピリオドごとの休憩、ハーフタイムなどもアリーナMCが巧みに観客をリードし、盛り上がって行く。「観客の気持ちを惹きつけてゲームを盛り上げるのが役目。でも、押し付けなるとかえってマイナスに。アリーナが盛り上がればホームの選手たちはハッスルするし、アウェーのファンにもバスケの楽しさを味わってもらいたい」とは、この日のアリーナMCのコメントだ。

これはスポンサーへの気配りにも表われている。千葉のフリースローが決まるたびに連呼されるスポンサー名。1本目と2本目はメロディーが違っていたようだが、なかなか確認できなかったのは、47.15%というフリースロー成功率のせい?

アリーナの雰囲気が違のは、JBLとbjリーグと両方のアリーナに足を運んだことがあれば、誰もがすぐにわかるだろう。人には好き嫌いがあり、どちらの雰囲気が良くて、どちらがダメと言うつもりはない。まずは、「違い」を知ってもらいたいのだ。

選手が大切で、ゲームが一番の売り物です

さて、千葉のゲームでは、前述した通り「お客様、スポンサー様は神様です」が徹底されている印象が強い。ところが、である。この日はゲーム前に、千葉の選手として100試合出場を果たした#9田中 健介選手の表彰が行われた。これは、チームが選手を大切にしている証であり、ファンとともに喜びを分かち合おうという思いが伝わってくる。ご両親と甥っ子、姪っ子がプレゼンターとして登場したのも微笑ましかった。

プロチームであれば、お客様、スポンサー様を大切にするのは当然のこと。それ以上に、選手たちを財産として大切にするチームの姿勢が求められる。千葉が推し進めるアプローチと、そこから導き出される成功はこれからのNBLにとって不可欠な要素であり、ひとつの指針となろう。従来のJBLファンがどのような反応を示すか気になるところだが、平たく言えば根っこは同じバスケット。さまざまな楽しみ方を体感し、これからの日本のバスケがもっと前へ出て行くきっかけができれば喜ばしい限りだ。

最後に付け加えておくが、この日の一番の売り物は間違いなく“ゲーム”だった。これも前述したが、点差が付いても緊張感があった。采配の妙、それは東芝神奈川の北HCにも当てはまる。キャリアを積むにしたがって、選手・チームに自信を持っているのがよくわかり、大胆な選手起用を披露し堂々の連勝を手にして見せた。

バスケを観に来るのであれば、やはりゲームが面白くなければ話にならない。たとえ点差が付いたとしても緊張感を持続することはできる。目の前の結果は重要だが、ファンであれば次に期待してくれる。レギュラーシーズンが終わった段階で上位におり、さぁプレーオフだ、となれば、また盛り上がるだろう。

リピーターを生むのはアリーナ全体の雰囲気づくりはもとより、ゲーム自体に期待感を抱けるかどうかがポイントになる。いつもの繰り返しで恐縮だが、そのためにはライブ! アリーナへ行って観なければ味わえない。結果だけで一喜一憂することなかれ。ライブで応援してこそ、誇り高きファンとして、チームも選手にも認知されるのだ。もっともっと進化したバスケ文化が根づけば、神様と崇められ、気持ちよく観戦できる(!?)はず。そのためにも、今シーズンはチャンスがあれば、ぜひアリーナへ出掛けよう。

文・羽上田 昌彦(ハジョウダ マサヒコ)
スポーツ好きの編集屋。バスケ専門誌、JOC機関紙などの編集に携わった他、さまざまなジャンルの書籍・雑誌の編集を担当。この頃は「バスケを一歩前へ……」と、うわ言のようにつぶやきながら現場で取材を重ねている。“みんなでバスケを応援しよう!”を合言葉に、バスケの楽しさ、面白さを伝えようと奮闘中。