沸騰もしていないサラリーにキャップは本当に必要か!?

サラリーマン集団でありサラリーキャップとは無縁な東芝が、サラリーキャップに難色を示す選手もいるトヨタアルバルクに勝利し、ファイナル進出を決めた。今シーズンのJBLにおいて、母体企業の景気の影響で休部を余儀なくされたパナソニック同様、来シーズンから始まるNBLにおいてサラリーキャップ導入がトヨタアルバルクにとっても不安材料となり、精彩を欠くような後半戦になってしまったのではないかとさえ思えてしまう。

野球やサッカーより1桁も2桁も下回るバスケ界のサラリー

日本のプロスポーツリーグにおいて、現段階で唯一サラリーキャップを採用しているbjリーグ。プロ野球にも導入しようという話は出たが実現には至らず。Jリーグはサラリーキャップをするどころか、チーム自体がビッグクラブを目指し、そしてアジアや世界を見据えて凌ぎを削り合っている。
bjリーグがキャップをしているサラリーは1チーム当たりたったの7000万円程度。
2012年度プロ野球の平均年俸は3,816万円と報道され、それでも5年ぶりに減っているそうだ。リーグ1位となる高額年俸を支払っている球団は読売ジャイアンツであり、平均年俸5,894万円。Jリーグで推定7,000万円の年俸を得ている選手は、稲本潤一選手(川崎)や玉田圭司選手(名古屋)など元日本代表の名が挙がっている。それでも上から数えて30番目程度となる。

横を見れば、一人の選手でオーバーしてしまうほどのサラリーキャップであり、日本バスケ界の年俸がいかに低く、高騰する気配すら無いのが伺える。サラリーキャップという定義自体が、スポーツビジネスに長けているアメリカの考えであり、スポーツ発展途上国である日本にフィットすることもまた考えにくい。
サラリーの高騰を抑える目的の他に、戦力の均衡化もまた目的として挙げられる。しかし、7千万円でも、NBLが定めた1億5千万円でも、現状を見れば戦力が大きく変わるとは思えない。経営難に見舞われた大分が奮起して7連勝(4月7日現在)し、サラリーマン集団で昨シーズンは最下位だった東芝がファイナルへ進んでいる。逆もまた然り。揺るぎない目標を掲げ、しっかり実行できれば、いくらでも打破できる程度のリーグである。
1チーム12名として単純に割っても平均年俸1250万円のNBLに対し、583万のbjリーグ。どちらもNBAルーキーの最低年俸にもほど遠く、迎え入れることすらできないのだ。

キャップされる代わりの見返りは?

130410.jpg沸点がまだまだ低いサラリーにキャップをするための計算に時間を費やすくらいならば、3,000人程度のキャパしかない会場をいかに埋めて収入を上げ、的確な支出をしながら費用対効果を上げていくかに時間を使わせてあげたい。
それでもチームや選手にキャップをして制限を設けるならば、リーグからもそれ相応の賞金を出すなど見返りが無ければフェアじゃない。「優勝賞金1億円、MVPには賞金5,000万円+副賞として高級車」くらいのステータスをリーグが作っていけば、キャップをして戦力均衡も目的として明確になる。
ファンはチケット代を払い、チームはリーグへの年会費や運営費などがかかり、選手は年俸を抑えられ……はて?リーグは?
リーグ+チーム+選手+ファンも含めた四位一体+メディアも含めて同じ夢を創造し合えるパートナーにならなければ、せっかくのプロリーグや新リーグも、結局はマイナーリーグでしかない。

夢を叫び、理想の現実を手に入れろ!

冒頭で”サラリーキャップに難色を示す選手”と書いたが、トヨタアルバルクの岡田優介選手は、twitterとブログで自身の意見を語っている。選手が当たり前のようにネットで発言できるとても良い時代になった。その日常が垣間見られるのもファンにとってはありがたいことだが、選手自身が今あるバスケ界の現状や未来、夢を発信することも、バスケをメジャーにしていくためには非常に大事な行動だ。
岡田選手以外でも、率直な意見をして時には非難されることもあるが、自分の意見を真っ直ぐにぶつげることで、極めて平坦な日本バスケ界にようやく波風が立つ。波風が起きなければ、海賊船だって進まない。
「プロバスケ選手に!!!おれはなる!!!!」という子供の頃からの夢を達成した選手たちには、「バスケ王に!!!おれにはなる!!!!」と、さらに大きな夢や野望を描き、その環境整備を自ら切り拓いて行ってもらいたい。その夢に一緒に歩んでくれるファンや仲間は、きっとリーグやチームを越え、自然と膨らんでいくはずだ。

サラリーも、人気も、何もかもが沸点に達していないバスケ界の現状において、キャップをするのはまだまだ早計であり、出てもいない杭を打つこともない。たかだか7千万円とか、1億5千万円なんて、統合しちゃえば一気に解消できるかもしれないよ。
まずはバスケットを生業にしている当事者たちから、本気でバスケの夢を見ようではないか!

text by IZUMI