ニッポントルネード:西田辰巳オーナー、第1期生 中島健太さん

昨年、大分ヒートデビルズの早川大史選手がニッポントルネードの門を叩き、オフシーズンに海を渡って行った武者修行をお伝えした(自分と向き合う出稽古:IBL参戦ニッポントルネード/早川大史選手)。そのニッポントルネードが今年もまた、IBL(INTERNATIONAL BASKETBALL LEAGUE)を舞台に、それぞれのレベルアップ、そしてそれぞれが追うチャンスをつかむために日本人チームで挑む。
ニッポントルネードのオーナーであり、ヘッドコーチ、さらにはアメリカ滞在中のコックや運転手など様々な役割で選手をサポートし、そして父親のような存在である西田 辰巳さん。今回、ニッポントルネードのユニフォームサプライヤーとなった株式会社UPSETさんを通じ、オーナーである西田さんにお話を伺う機会をいただいた。
ニッポントルネードとはどんなチームであり、そして先にあるものは──。
インタビューを前に、まずは西田さんが掲げるニッポントルネード活動の根底をご紹介しておこう。

「バスケット界最高峰のNBAやWNBAを目指す事は、同時に一人でも多くの国際的な感覚を持つ日本人リーダーを育てることになります。
水、食料、住まい、着るもの・・・など人に必要不可欠な物から考えて、バスケットは何番目なのか?それを考えました。
じっくり、じっくり。
そしてようやく一つの答えにたどり着きました。
バスケットは必要だと・・・
それは人が人として生きていくためのコミュニケーション能力を育成する為にです。

個を尊重し、輪を持って生活をする為にです」(UPSETブログより抜粋)

ニッポントルネードを通じて、西田さんの壮大なる夢が始まっている。

なるほどな!日本人をプロモーションする一歩としての「IBL」

  • ニッポントルネードとはどういう活動をされてるのでしょうか?
  • 150327_01.jpg西田氏:昨年2月から、バンクーバーボルケーノス(IBL所属チーム)のオーナーと共同で、IBLのオーナーを務めています。IBLは、NBAやDリーグ(NBA下部リーグ)とは違って4〜7月にシーズンを行うため、日本人選手がプロモーションをしたり、経験を積んだり、またプロ選手としてプロテクトされ契約していても、チームの了承さえ得られれば出られる期間に行われます。オフシーズン中に、たとえマイナーリーグでもステップアップできる場として活用できるはずであり、そこにニッポントルネードは参戦します。以前、(アメリカ在住スポーツライターの)宮地(陽子)さんから、「やっぱりDリーグ以上に見てもらうためにも、NCAA Div1はもちろんですが、それなりのプロリーグのスタッツが無いとなかなか見てもらえないんですよね」というお話を聞き、なるほどな!と思ったわけです。IBLはマイナーではありますが、日本人をプロモーションする一歩としては良いリーグです。
    今年からドリームセブンという運営会社を作って、そこからニッポントルネードをIBLに参戦させます。また、UPSETさんにユニフォームをサプライヤーしていただいたのをはじめ、いろんな企業にスポンサーとなっていただきながら、チームとしても次のステップに行けるように準備しているところです。今までは自分たちでだいぶお金を使って来ましたが、ようやく5年目にして、僕らがやっている活動を理解してくださる方々が増えて来て、形になってきました。
  • ニッポントルネードのチーム方針や志願者で構成されるチームのコーチングコンセプトは?
  • 西田氏:経験値、スピード、スキル、文化の違いなど圧倒的に不利な状態でプレイすることになるので、もちろん勝つことを目標にはしますが前提にはしません。2試合あれば、1試合目よりも2試合目に成長できるような目標を持ってやっています。もう一つ、不利な状態の中で、どうしたら勝てるのかをチームで試していくことです。練習相手にDリーグでも活躍する2m10cmの選手がいましたが、それに対して190cmの福田幹也(埼玉)がマッチアップするよりも、170cmそこそこの中島健太をつけた方が相手も困るわけです。そんな手法を取ったら、相手はフラストレーションをためて3回トラベリングしました。日本人が勝つために、いろんなことを試しています。もちろんスカウティングされて次の試合には対応されることもありますが、いろんな策があることを理解してもらいたいです。日本人としてビハインドであることも、長所として捉えて試すことで通用することも多々あります。
    選手たちはみんな、その環境に最初はビビっています。でも、僕は絶対に勝ち気で行きます。それに対する選手たちへの不満が僕にはありました。何のために時間とお金を使ってアメリカまで来たのに、なぜビビってるんだ、と。確かに相手はすごいかもしれません。プロ経験ある選手もいますが、ほとんどが初めての経験をする選手たちばかり。それでも勝ち気でやらせるわけですから、メンタルは強くなります。とにかく厳しくやるわけではなく、この労力をムダにしたくないという気持ちで選手たちは成長していきました。
  • 今年はどのようなスケジュールで活動は進んで行くのでしょうか?
  • 西田氏:現在メンバーを募集しており、それが決まればアメリカへ渡り、5月に10試合、6月に10試合を行います。また、6月中にはDリーグのトライアウトがありますので、そこに活躍する選手を選びながら挑戦させるつもりです。このチャンスをつかんで、11月に行われるDリーグのドラフトに名前が呼ばれるようなプロモーションを今シーズンは準備しています。

ドラフトされる夢、NBAにだって行ける可能性

  • 本当にDリーグにドラフトされる選手が出て来て欲しいですし、大なり小なり夢を持つことが大切ですね。
  • 西田氏:ポロッと出るラッキーの積み重ねが大事です。ニッポントルネードでの僕の役目はできるだけミニマムにし、NBAに行きたい選手、アメリカの大学に行きたい選手たちなどに「こんな方法もあるよ」という道を作っておけば、日本人がアメリカに渡る選択肢が増えると思っています。自分で切り拓くしか無かった道に、ニッポントルネードに乗っかってチャンスをつかめば良いと思いますし、そういうものがこれまでありませんでした。ニッポントルネードには、スキルや体作りなどを育成してNBAまで行ける実績とノウハウを持っているカイロプラティックの先生、ケビン・デュラントやネイト・ロビンソンのトレーニングコーチ、5歳から行うアカデミーを開き、結果的にNBA選手を輩出しているアカデミーのコーチ、オーストラリアリーグなども採用している分析ソフトを作った人もコーチとなり、この4人が”チームトルネード”としてバスケットの知識やトレーニング、さらにステップアップしていくために一番大切なご縁も含めてサポートしていただきながら、IBLで実際に試し、そして上を目指す環境がようやく確立できました。
  • ニッポントルネードは学校や道場のようなものに感じますが?
  • 西田氏:確かに今は学校のようなものですが、先々には選手も稼げるようなビジネスの舞台にしたいです。もちろん厳密に言えば、ビザの問題などクリアしなければならない点も多々あります。それはやっていけば、いかようにでも変化させられると思っています。もしかすると、トルネードでプレイした方がNBAよりもお金を稼げるかもしれません。それは誰にも分かりません。現状としては、NBAがあるおかげで、そこを目指す選手はいっぱいおり、そのための階段を作っているところです。今後、どのように変化していくかは、時代の流れとビジネスのやり方次第です。
  • スポンサーもついたことで夢も広がりますね。
  • 西田氏:ユニフォームサプライヤーのUPSETさんもそうですが、バスケットだけに限らず良いポテンシャルを持っている会社や経営者が日本にはいっぱいいます。ただ英語ができないとか、海外とのネットワークが無いということで売り上げを日本国内だけにしておくのはもったいない話です。日本とアメリカのサポーターとスポンサーさんをくっつける作業をニッポントルネードを通じて行っています。スポンサーと言うよりも会員になっていただき、ビジネスとして形になったら売り上げの何%かを戻せるようにしたいとも思っています。まずは売り上げを出すためにもお互いに努力しなければならず、そのようなスポーツマーケティングとしてトライしています。今回、UPSETさんのウェアをアメリカで着ることで、日本の製品はこんなに良いんですよ、ということをアメリカのマーケットに出して行きます。
  • 今の日本の現状を鑑みても、露出の無いマイナースポーツにおけるスポンサーは企業の心意気次第になっています。だからこそチームや選手が一緒になってマーケットを広げるためにお互いにPRをしながら相乗効果を狙う必要があると感じています。
  • 西田氏:そうですね。コート上も同じであり、サポーターやスポンサーさんも含めてチームなのです。ガードがいて、シューターがいて、リバウンダーがいて、とバスケットではコート上でのチームの役割があるように、オフザコートでも同じように考えて役割分担していくことが必要です。UPSETさんは片岡(大晴/京都)のスポンサーをしていただいているので、一度ご挨拶しようと思ってお会いしました。その時に社長の小野さんが、「偉そうにスポンサーをしているわけではなく、彼ががんばっているのでパートナーとしてお互いに話し合いながらサポート出来れば良いな」と仰っていて、まさにそれだと思いました。
  • アメリカでの滞在先の環境は?
  • 西田氏:シアトルから南に行ったところにレントンという街があり、そこに一軒家を借りています。2段ベッドを6台入れて、それ以外も含め20数名は泊まれます。また、バケーションホームという同サイズのレンタルハウスもありますので、どちらかで選手たちはそこを家として生活します。家があれば、食事の面も含めて生活が安定することでバスケットに集中できます。なるべく移動は避けて、日本と同じように家に帰ってオンオフが切り替えられる環境は用意しています。

ニッポントルネード1期生は現在、広島にプロバスケチームを作る!

5年目を迎えようとしているニッポントルネードが、大きな夢に向かっているお話を聞いていたその時、一人の好青年がやって来た。ニッポントルネードの1期生であり、その後バンクーバー・ボルケーノスでプレイ。そして今、NBAへのステップに繋がるプロバスケチームを広島に作ることを目指している広島プロバスケットボール株式会社の中島健太GMだ。お忙しい中、インタビューに加わっていただいた。

  • 西田氏:1期生のケン(中島健太GM)が広島にプロチームを作る社長になりました。自慢の生徒です。
  • 早速ですが、中島さんはニッポントルネードに参加して一番得たものとは何ですか?
  • 中島GM:ハッキリ言えばコネクションです。アメリカと日本、また日本の中でのコネクションです。今、プロチームを作るにあたり、スポンサーを集めるために僕や従業員、広島でビジネスされている方などいろんな方々の協力を得ながら、2日で200社が集まりました。まだ見込みスポンサーではありますが、役員クラスと直接交渉できる機会を得たわけです。2日間で200社集められたことは、アメリカでバスケをしてきて良かったと思った瞬間でした。アメリカでメンタル面は鍛えられたと思っています。
  • 西田氏:彼は異端なんです。通って来た道がエリートではない分、不安もあったと思います。でも、「こんなものではない」という自分の中にある許せない部分をどこにぶつけて良いのか、ようするにケンカをする先に困っていたわけです。それを受けてくれるような相手がアメリカにはいっぱいおり、それで救われたのではないかと思います。その環境で、燃え尽きるまでやって行くうちに、日本にも同じようにくすぶってるヤツらがいるんではないか、逆に自分ができることによって夢を与えられる人がいっぱいいるのではないかという部分が彼の中でしっかり根付きました。それは、実際に行動したからこそ分かったことです。広島にもチームが無かったところから行動に移し、そしてケンのように分かっている人が上に立てば、自ずと周りは動いてくれます。苦労した人がプロチームを立ち上げる新しい時代がやって来ました。広島のチーム作りの速さは驚かれています。
  • 中島GM:2ヶ月でほとんど出来上がりました。
  • 西田氏:本当に驚かれていて、普通ならば3〜4年かかるところを2ヶ月でプロチームの下地を作ってしまった。異端だったはずなのに。笑
  • 中島GM:僕は第1期トルネードの中にいて、非常に居心地が悪かったんです。それは、何で前に出ないのだろう、何で勝ちに行かないのだろう、形にこだわらずにもっとガンガン行こうよ、と思っていたし、チームメイトでも遅れてるヤツがいれば置いて行ってしまえ、という気持ちで戦っていました。プロスポーツは勝負なので、必ず勝ちたいという気持ちが一番最初にありました。それでご迷惑をおかけしたかとも思いますが…。
  • 西田氏:全然そんなことないよ。
  • 中島GM:日本人の場合、どうしても横を見ながらみんな揃って前に進む風潮があります。親友なのであえて名前を出しますが、片岡もそういう日本人タイプです。そこは彼の一番良いところでもありますが僕は違い、アメリカでバスケットする方が合うと思っていました。そう思って渡ったアメリカも、今度はそのレベルの度合いが全然違いまして…。僕は3シーズンアメリカでプレイ(IBLバンクーバー・ボルケーノスなど)しましたが、チームメイトにジョシュ・ターヴァーというDリーグのスタメンPGがおり、練習ではいつもマッチアップしていました。すごい選手たちとの経験値を積み重ねたことで、もう誰が来ても大丈夫だろうという気持ちがあり、負けたとしても自分のキャパが増えた分、動じなくなりました。そして日本人としても相当数が少ないとは思いますが、実際にNBA選手とガチンコでマッチアップさせてもらいました。そういったことができるアメリカの環境、バスケットの文化はすごいと思いました。

MJ曰く「これは日本式のバスケットなのか?」日本とアメリカのバスケは別物

  • これまでもアメリカで通用した選手が、日本に帰ってくるとそれほど活躍できないというケースがありますが、その理由は何なのでしょうか?
  • 150327_02.jpg 西田氏:それはバスケット自体が違いすぎるのだと思います。マクドナルドが、そばやうどんがファストフードだった日本にうまく根付きましたが、アメリカで良いから日本で成功するかと言ったら一概にそうとは言えません。ハッキリ僕の中で分かったのは一昨年、マイケル・ジョーダンのところへ片岡と並里(成/沖縄)のDVDを持って行き、「日本にはこういう良い選手がいますよ」と紹介したつもりだったんです。しかし、ジョーダンに言われたのは、「これは日本式のバスケットなのか?」と。
    日本には四季があり、世界でも有数な米の生産国としての土壌がある。そういうものとバスケットは何も変わらなかったと気付かされました。良いお米を作るために日本人は、それこそ世界中から情報を集めながら育てる土壌を作り、品種改良もしてきました。同じように世界基準やNBA基準を目指して情報を入手し、改良を行っている日本のバスケット界であれば、アメリカで活躍する日本人選手も同じように日本で花を咲かせることができます。逆もそうですね。全く品種改良をしないといけないくらい、バスケットが違うというのが僕の見解です。
  • なるほど。
  • 西田氏:ファウル一つとってもそうですね。アメリカでは吹かれないようなプレイも、日本ではピッと吹かれて止まってしまう。アメリカでできたプレイなのにそのままプレイしたら笛を吹かれてしまい、日本では通用しないことも多々ありますね。
  • 中島GM:素朴な疑問ですが、どうしてアメリカと日本でルールが違うんですかね。本当にルールが全く違うんですよ。例えば、アメリカでは手に触ったらファウルであり、ビデオ判定されるくらいシビアに取られます。日本ではアップ&アンダーで相手の手を払って、自分から相手の懐に潜っても何も吹かれない。アメリカでは下手をすればテクニカルを吹かれるほどの悪質な行為であり、NBAでは必ずファウルになります。この違いは何なのでしょうか?
  • 西田氏:バスケスキルは進化しているわけですから、それに沿って審判のスキルも向上しなければ本来はいけませんよね。オフェンスが向上すれば、それに立ち向かうディフェンスのスキルも上がってくるわけで、その差異を見極めながらジャッジも進化が必要なはずです。しかし、日本ではその差は広がる一方。なぜならば、日本の場合はスキルではなく、ルールとしての情報ばかりが先行しているからです。
  • 中島GM:本当にこの違いはビックリします。この事実を知らない日本の現状、特に学生が非常に可哀想です。世界のフィールドに乗る権利さえ無いとも言えます。これは日本バスケ界にとって大問題です。選手が世界に出るよりも、その前にレフェリーや指導者が世界に出て情報を得ないといけません。特にレフェリーが外に出るのは大事です。日本でもノーチャージングエリアが採用になりましたが、その意味を分かってる人がいません。線が引いてあるだけという認識しかないのが、小中高校のバスケを見ていて本当に可哀想だと感じています。
  • 西田氏:問題を起こさないように、波風を立てないようにする日本の風潮があり、ファウルしたこと自体が問題になってしまうところにも原因があると思います。スポンサーはチームの商品価値を見ています。その価値とは、みんなが触れたくなるものです。しかし、その「みんな」という不特定多数が問題でもあります。僕はそれが日本の土壌だと思います。もっと分かりやすくしなければいけませんし、見る側も玄人になって欲しいです。極端に言えば、ペイントエリア内に入ってしまえば、ヒジから上を触ってもファウルを吹きません、というルールにしてしまえば良いでしょう。仮にそうすれば、選手たちはそう思ってプレイしますし、見ているファンもそう思って見ていますので、ボールの動かし方が上手くなります。そしてどうすれば良いのだろうと思って、アメリカに行くようになりますよ。曖昧だから審判によって笛が違ってくるので、それぐらいルールは極端にした方が良いでしょうし、不平不満は軽減できるはずです。
  • 中島GM:お客さんも興奮してレフェリーにクレームを言うケースが多く見られますね。僕としては、レフェリーにもっとお金を与えてプロ意識を持って取り組めるようにした方が良いと思います。日当ではなく、最低でも年間500万円くらい渡せるようになれば、アスリート同様に向上心を持つはずです。そして500万円あればアメリカにも行けるでしょうし、情報を得られます。今のままではどっちも何も言いようがない状態です。

バスケを通して教えられることが人生に生かされる

  • バスケを熟知されている中島さんがGMをされる広島プロチームの今後の成長に注目です。お忙しい中、来ていただいた中島さんはここで退席されます。ありがとうございました。 そんな中島さんのバイタリティ溢れるお話を聞いていて、バスケットだけではなく、その後の人生におけるチャレンジ精神をニッポントルネードを通じて培ったのではないかと思わされました。
  • 西田氏:バスケットはたかだか130年余りの歴史しかなく、震災が起きて体育館が無くなればバスケットはできなくなります。それ以上に飲み水を探したり、お金よりも先に生きることが大事であり、そのための強いメンタルをバスケットを通して教えられました。それは根性論として沸いてくるのではなく、水が無いから買いに行こう、水が売ってないならば汲みに行こうといった、そういった生きるための選択肢をすぐに選択できるような、気合いや根性で生きるのではなく自然に解決策を見つけられるような人を育てることをバスケットから教えられました。ニッポントルネードに関わった選手たちから、その後もどうしたら良いかと意見を求められますが、僕から指導することは何もありません。やりたいことがあれば、やれば良い。人の意見を求めていても、根底には自分が何をしたいのかという答えがあるはずです。
  • バスケはトランジションゲームであり、切り替えや状況判断が大事になるスポーツです。バスケ選手と話していても、その判断力や決断力などに長けている人が多いと最近すごく感じさせられます。
  • 西田氏:本当にバスケットのおかげで成長させられていますし、バスケ様々ですね。最近ツイッターなどを見ていてすごく感じるのは、青木康平くん(東京)にしても、岡田優介くん(トヨタアルバルク)にしてもそうですが、選手自身が気付いて自分で動き、個性を認めてプロモーションするのがうまい。素晴らしい世の中が来ました。昔は勉強でもしようものならば、軟弱ものでしたからね。笑
  • 昨年5月にbjリーグがIBLと「育成強化交流プログラム」として提携しましたが、どのようなことが期待されますか?
  • 西田氏:僕はいつも第3者的な目線で、バスケットはどうしたら楽しくなるんだろう、という見方をしています。毎年、NBAのドラフトに日本人の名前が挙がるかもしれないという緊張感を楽しめるようなリーグを作っていけば、もう少しメディア露出も多くなるし楽しくなると思っています。その時にニッポントルネードやIBLが何かをするのではなく、bjリーグが日本のプロリーグとして、いかに多くの方に喜んでもらうための企画立案をしていくことが大事です。端から見ていた時に、bjリーグはDリーグのチームオーナーになったり、とうとうNBAを排出するための1歩を打ったというような、何かが無いかと思っていました。そんなタイミングでIBLは、たまたまbjリーグと提携させてもらうこととなったわけです。

日本は逆輸入文化……ニッポントルネードはそういう場所

  • 日本は「逆輸入文化」と言われるように、海外で評価されると一気にブレイクすることが多々あります。バスケットは世界の方が知名度が高いわけですから、海外で評価されることで日本でバスケ人気が上がることは大いにあると思います。まさにNBAドラフトに名前が挙がれば、自ずと日本のバスケが盛り上がるという説はその通りだと思います。実際、田臥(勇太)選手がNBA入りした時は号外も出たくらいですから。
  • 西田氏:それは否定できない日本の特徴です。島国で育った僕らは入ってくる情報だけが頼りであり、放牧民のように自分たちが出て行ってリサーチする国民性ではありません。だから、入って来たものを精査することが得意なのです。良いものや新しいもの、改善しなければいけないことは外国で行った方が近道です。そこで作られたもののクオリティを高めることは日本の得意分野でもあります。僕がなぜバスケットを持って海外へ出たかと言うと、まずNBAというのは絶大な力があります。NBAに近いとか、NBAだ、と説いた方が分かりやすいです。そうなれば日本で何かやるよりも、外に出て作った方が日本のためにも早いんです。バスケ選手ならばNBAを目指したり、高い志を持ってくれた方が良いだろうと思い、10年前、やみくもにアメリカに渡りました。そこで、日本人でもNBAに行けないことはない、という理由も分かりました。僕はできると思いますし、他の人でもできるというのが僕が得た結果です。絶対に海外に出ることが大事ですし、そこで評価されれば一番ですが、ダメでも実力さえあればbjリーグへトライできるという保険はつけているから大丈夫ですよ、というのがbjリーグと提携した理由でもあります。
  • 海外へ挑戦するにあたり、やはり言葉の問題、渡航費や生活費等の金銭面の問題があり、日本人が一歩踏み出すにはいろんな労力や壁があるのも確かです。簡単に決断できる人も限られて来るとは思いますが、最大のメリットとは何ですか?
  • 西田氏:その答えは、”百聞は一見にしかず”です。本を読んで知識や情報を得ても、もう一つ納得がいかないです。だから行って触れてみる。日本で満足できなかった選手がニッポントルネードをきっかけにアメリカへ行き、それまではプロになることさえ考えていなかった選手たちが今、bjリーグで活躍しています。僕が何かをしたわけではなく、選手自身が触れてみて、腑に落ちたのです。ニッポントルネードはそういう場所です。

最後に質問をした言葉の問題について西田さんは、もう一歩踏み込んだ活動をしている。昨年、トルネードアカデミーというスクールを設立。さらに今後はそのノウハウを持って全国展開を視野に入れている。そのニッポントルネードJrたち.が今、春休みを利用してシアトルへ武者修行へ旅だった。その模様はDREAM7のfacebookブログ「ぼちぼちいこか」でご覧いただける。
そして、その中からアメリカの高校へ進学する選手も出始めるようであり、その結果、言葉の問題は全く関係なくなるわけだ。

先日、サッカー日本代表のディフェンダーであり、プレミアリーグで活躍する吉田麻也選手を紹介する書籍の中で、「海外でプレイしたいと思っていたので英語の授業だけは一生懸命勉強した」と書かれていた。西田さんも同じことを話している。
「バスケットをしていて、海外志向があれば、勝手に英語を勉強しています」。
NBAやDリーグのドラフトに日本人選手の名前が呼ばれることを実現するため、様々なカテゴリーからアクションを起こす西田さん。
バスケットはどうしたら楽しくなるんだろう?
バスケットに関わる全ての人が同じような疑問を持って取り組めば、自ずと夢舞台は作られるはずだ。

text by IZUMI