【NBL】「今、このチームでプレーしていることが楽しくてしかたない」 リンク栃木ブレックス#13渡邉裕規

20151119watanabe05 11月13日、14日にとどろきアリーナで行われた東芝ブレイブサンダース神奈川vsリンク栃木ブレックス戦は1勝1敗で星を分けた。1戦目、東芝神奈川に最大20点のリードを奪われたリンク栃木は4Qの猛追で4点差(67-71)まで詰め寄るも一歩及ばず。だが、2戦目は前日終盤に見せた勢いそのままに終始ゲームの主導権を握り89-67で快勝した。

 絶対的司令塔・田臥勇太を中心にシューター古川孝敏、チーム3年目のトミー・ブレントン、ライアン・ロシター、成長著しい熊谷尚也など先発メンバーの安定度は高いが、この日、光ったのは途中からコートに出てしっかり自分の役割を果たすベンチメンバーの活躍だった。なかでも田臥のファウルが嵩んだ場面で「交代した渡邉がきっちり仕事をしてくれた」と、トーマス・ウィスマンHCが評価した渡邉裕規は“攻撃型PG”としての持ち味を発揮し勝利に大きく貢献した。

明るい性格で知られる渡邉はコートの内外問わずチームのムードメーカー。パナソニックトライアンズからリンク栃木に移籍して3年目を迎え、「今、このチームでプレーしていることが楽しくてしかたない」という渡邉に東芝戦を振り返りながら今季に懸ける意気込みを語ってもらった。

文・松原 貴実 写真・吉田 宗彦

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――東芝戦は1勝1敗になったわけですが、敗れた昨日と勝った今日、勝敗を分けたのはなんだったと思いますか?

渡邉 敗れたとはいえ昨日も辻(直人)を4点、(ニック)ファジーカスを17点に抑えていますからディフェンスはそれほど悪くはなかったと思います。ただオフェンス面でちょっとエナジーが足りなかったというか、ポイント、ポイントで相手の方が闘争心が勝っていたかなという気がします。それが途中の点差になってしまったのかな…と。最後は4点差まで詰めましたが、追い上げるのも遅すぎましたね。だから今日は最初からハッスルして激しく戦っていこうという気持ちが強かったです。昨日と今日の1番大きな違いはやっぱりそういう気持ちの部分だったと思います。

――今日は1Q5分に2つ目のファウルを犯した田臥勇太選手に代わってコートに出て、約20分のプレータイムで13得点(内3Pが3/4)の活躍でした。

渡邉 そうですね。シュートも気持ちよく打てました。僕が(交代で)コートに出るときは「点を取ってこい」と言われていますし、今日はまぁそこで少しは貢献できたかなぁと。

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――昨年のこの時期は先発メンバーとして起用されていましたが、今季ベンチスタートとなったことで戦い方の違い、難しさを感じることはありますか?

渡邉 難しさはめちゃくちゃ感じます。なにしろ田臥さんに代わって出るんですから(笑)

自分の持ち味は出さないといけないけど、自分が好き勝手にやっていいわけではない。古川(孝敏)と出ているとき、遠藤(祐亮)出ているとき、状況はいろいろですが、そのときコートにいる選手の特性というか、いいところを引き出すことは常に考えています。それと同時に自分も生きなきゃならない、そこが難しいところですね。

でも、思いきっていこうというのはいつも考えていることです。記者の方から「シックスマンになっちゃいましたねぇ」という言われ方をされることもあるんですが(笑)、自分としてはスタートだろうと、途中からだろうがやることが違うわけではないと思っています。もちろん、(途中から出るとき)チームの状態が重かったり、乗れていなかったりすることもありますが、その状況をよく見て、それに応じたプレーをしっかりすることは同じです。その状況でどういったプレーを選択するかが大切だということにも変わりはありません。

ただ1つ自分に言い聞かせているのは『田臥さんが出ているときと同じリズムでやってはいけない』ということです。

――それは自分がコートに出るときは何かしらの“変化”を求められているということですが?

渡邉 そうですね。そうじゃないと自分が出る意味がありません。自分が出る意味は(チームを)より攻撃的にすることだと思っているのでそれを見失わないようにしたいです。コーチ陣からは「おまえが生きるようにやれ」と言われていますが、さっきも言ったように周りを生かしつつ自分も生きるというのは難しい部分もあります。でも、そこをしっかりコントロールできるようになれば、自分の持ち味が出て、今より(プレーの)安定度も増すのではないかと考えています。

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――この東芝神奈川戦からコートに立ったニコロス・ツキティシュビリ選手についての印象は?

渡邉 田臥さんと同じくNBAでプレーしていた経験を持つ選手だけに、落ち着いているというか、ちょっと大人のプレーヤーだなぁという印象です。サイズ(213cm)もあるし、バスケットIQも高いし、フラストレーションも溜めないタイプだし。といってもまだ来日してから日が浅くて練習も3回しかしていないので、彼が出るときはフォーメーションも3つぐらいに絞ってやってます。これからですね。うちのトランジションのバスケットにフィットしてきたらめちゃくちゃよくなると思いますよ。すごく楽しみです。

――チームでは『同期』(2013年加入)の熊谷尚也選手、遠藤選手の活躍も楽しみですね。

渡邉 すごく頼もしいです。去年は遠藤がスタメン、今年はクマ(熊谷)がスタメンですが、それぞれいい味を出していますよね。身体も強くなってきているし、クマは外からのシュート力も上がってきて成長してるなぁと思います。また、成長と言えば須田(侑太郎)がいいですね。プレシーズンのときもすごく活躍して得点もしていたし、彼の出番はこれから増えてくるんじゃないかと思っています。それと、今季移籍してきた(前村)雄大も脚がよく動く選手で、練習のときなんか僕や田臥さんにがんがんプレッシャーかけてきます。みんなが力をつけてきたことでいい意味での競い合いができるのも今年のチームの強みになっていると思います。

――そんななかで渡邉選手自身が成長できたなと感じるところは?

渡邉 うーん、それはまだ何とも言えないんですが(笑)。ベンチスタートの選手としての役割は自分の中で明確になってきたと思います。オフェンスではニコ(ツキティシュビリ)とのピック&ロールもこれから積極的にやっていこうと考えていますし、自分のアウトサイドシュートも活かしていきたいですし。ディフェンスではまだ課題も多く、「もう少し貢献してほしい」と言われているので、そこは意識しているところです。今日みたいにしっかり前から当たっていきたいですね。

――チーム全体のレベルが上がってきていると言っていいですか?

渡邉 いいと思います。全体にプレーの質がアップしているように感じます。ディフェンス1つ取っても去年に比べてプレッシャーも違うし、精度も高くなっています。長いリーグを戦うにはベンチメンバーがキーになると思うので、そのレベルが上がってきたことは大きなプラス材料ですね。なによりも1番いいのはチームの雰囲気が明るいこと。外国人選手も含め、みんな本当に仲が良くてこのチームでやってることがすごく楽しいです。このメンバーで優勝したい!と心の底から思えるチームです。

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――11月15日現在8勝2敗で3位につけていますが、この成績についてはどうお考えですか?

渡邉 手応えは十分あります。(外国人選手が)ライアン(ロシター)とトミー(ブレントン:帰化選手)だけのチームで開幕から7連勝して、トヨタ(自動車アルバルク東京)と東芝(ブレイブサンダース神奈川)にはそれぞれ1敗しましたが、内容的には完敗だったわけではなく、勝つ要素はあった試合でした。アイシン(シーホース三河)とはこれからですが、勝ちたいですね。思うに、本当に強いチームというのはリバウンドとかルーズボールとか泥臭いプレーを頑張るチームなんですね。それは去年のセミファイナルでアイシンに敗れたときに痛感しました。

アイシンはメンバーが揃ってると言われますが、やはり(橋本)竜馬だったり、ギャビン(エドワーズ)だったり、リバウンドやルーズで泥臭く頑張る選手がいるんです。正直、去年はそういったところで負けていたかもしれません。それだけに悔しさもありました。だから、今季は僕だけじゃなく、チーム全員が1つのオフェンスリバウンドや1つのルーズボールが大事なんだ、その1つのプレーが試合の流れを変えるんだという意識を強く持って臨みたいです。1年通してそれをやり続けなれればならないと思っています。

 

 今週末、ホームで迎えるアイシン三河戦は注目の大一番。「昨シーズンのセミファイナルで敗れた悔しさを晴らすとともにチームとしての成長を見せたい」(渡邉)というリンク栃木がトップを走るアイシン三河にストップをかけるのか。好試合が期待できる見逃せない一戦となりそうだ。

 

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