【AKATSUKI FIVE】内に秘めた29歳の負けん気。千葉ジェッツ#11西村文男

文・松原 貴実  写真・三上 太

4月18日~19日、男子代表チームが味の素ナショナルトレーニングセンターで第2次強化合宿を行った。参加したのは候補選手29名のうち、アメリカ在住の渡邊雄太、八村塁、ケガの治療中である荒尾岳、篠山竜青を除く25名。そのなかでこの合宿が初参加となったのは千葉ジェッツの西村文男だ。3月初旬の第一次合宿のときはインフルエンザで不参加だったことで、今回は唯一のニューフェイス。「やっぱりJAPANのユニフォームを着るのは気持ちいいですね」と楽しげな笑顔を見せた。
「代表合宿ということで特に緊張することはなかったです。メンバーはよく知っている顔ばかりだし、これまで(同じチームで)いっしょにプレーしてきた選手も多いし、練習に参加することはとても楽しみでした」
 参加できなかった一次合宿ついては、長谷川健志ヘッドコーチから個別に話を聞いたという。
「長谷川さんには以前、李相佰のときにもお世話になっているし、もともと僕は長谷川さんのバスケットに対する考え方をリスペクトしているところがあるので、そういう意味でも(練習に参加することは)楽しみでした。共感できるヘッドコーチの下で、納得して練習できるのは楽しいです」

実は今回、西村にはもう1つ聞いてみたいことがあった。それは彼が所属する千葉ジェッツについてだ。8番目のチームとしてぎりぎりプレーオフ出場権を手にしたものの、4月24日現在の成績は20勝31敗、勝率は5割に届いていない。ヘッドコーチの交代劇があったことからもチーム内に“納得できない雰囲気”があったことは察せられるが、実際にはどんな状況だったのだろうか。

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――レギュラーシーズンも残すところあとわずかとなりました。ここまでを振り返ってどんな感想をお持ちですか?
西村:一言でいえば去年と真逆の状況でした。昨シーズンはとてもいい雰囲気の中でプレーできていて、それがゲームにも活かせていたと思います。今シーズンはそこに実力がある選手が何人も移籍加入してきたわけですから、さらに上に行けるはずだと誰もが思っていました。でも、始まってみるとすぐにいろいろな問題が起きてチームが結束できなくなってしまったという感じです。

――チームが結束できなかったというのは、選手個々のベクトルが違っていたということですか?
西村:うーん、選手はもちろんいいチームにしたいと思っていたし、それは今でも思っていることです。ただ、それが1つにならなかったというか、組織力に問題があったと思います。

――西村選手自身もずっとモヤモヤしたものを感じていた?
西村: いえ、迷ったり、悩んだり、1人でモヤモヤしている時間がもったいないので、解決するためにすぐに行動に移すタイプです。ヘッドコーチにも自分の疑問を話しに行ったし、それでぶつかることがあっても何もしないで悩んでいるよりはずっといいと思っているので。でも、チームのことですからそう簡単に解決できないこともありました。

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――西村選手はどちらかというとマイペースでさっぱりした人というイメージがありますが、実際は違う一面があるのですね。
西村:そうなんですよ。それ、人からよく言われます。実際、普段はマイペースなんですけど、なんでしょうね。たぶんすごく負けず嫌いだからだと思います。戦う以上勝ちたい。どの試合も全部勝ちたい。これでは勝てないと感じたらどうすればいいのか考える。解決するためには人ともとことんぶつかる。感情をあんまり顔に出さないタイプなので、あっさりというか、さっぱりというか、物事にこだわらない人に見えるみたいですが、バスケットでは熱くなります。やっぱり自分のなかで譲れないものだから、バスケットに関してはさっぱりじゃなくて、結構ドロドロしてますね(笑)

――その負けず嫌いな性格は代表チームのなかにあっても同じですか?たとえば絶対最終メンバーに残ってやる!というような。
西村:たしかに負けたくはないですけど、そういう野心みたいなギラギラしたものとはちょっと違うと思います。今、思っているのはまず長谷川さんのバスケットを理解して、そのうえで自分の良さ、持ち味をアピールするということです。
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――アピールしたい自分の持ち味とは?
西村:ぺネトレイトに行く力、それとシュート力。今回(代表チームに)呼んでもらったのもそこを評価してもらえたのだと思っています。

――それだけは誰にも負けない自信がありますか?
西村:そうですね。それに関しては揺るぎない自信があります。誰にも負けたくないです。さっきも言いましたが、ものすごく負けず嫌いですから。

――『涼しい顔のふーみん』の内には秘めたる負けん気があるということですね。
西村:はい(笑)。今年30歳になるんですよ。年齢からいったらもう中堅からベテランにさしかかるところですよね。だから、ここ(日本代表チーム)の中でもそういったものを求められると思うし、それに応えなくてはならない。それは意識しています。千葉ジェッツでもそれは同じです。正直今シーズンはチームとしてあまり成長できなかった思いはありますが、佐藤(博紀ヘッドコーチ代行)さんになってチームの状態も少しずつ上向きになってきていますし、まだシーズンは続いているわけですから。とにかく残り試合もプレーオフもベストを尽くすのみです。