3×3 PREMIER.EXEが主戦場。遅咲きの“プロ”選手が狙うは東京オリンピック!

昨年(2014年)12月12日、カタール・ドーハで開催された「FIBA 3×3 ALL STARS」。世界のトップチーム6チームしか出場できないビッグイベントに「Yokohama(JAPAN)」の一員として出場したのが川上航平選手(他に落合知也、マシュー・カイル、一色翔太の3選手が出場/http://www.3x3planet.com/en/allstars/:英語版)。
川上選手は昨夏、初めて開催された日本最高峰の3×3リーグ『3×3 PREMIER.EXE』で“プロ”(ZETHREE.EXE)になると、得意のロングシュートで初代得点王に輝いた。いつもは技術系ビジネスパーソンとして働く平凡な(!?)男だが、仕事用のユニフォームからバスケのユニフォームへ着替えた瞬間、キラーシュートを連発する非凡な男に変身する。
※1月17日(土)「NBL ALL-STAR GAME 2014-2015 in TOKYO」@大田区総合体育館(東京都大田区)の『3×3 UNPLUGGED』に登場。

3x3150116a

2014FIBA 3×3 ALL STARS

必要とされたことが嬉しい!
次は自分がランキング国内No.1で出場を

──FIBA 3×3 ALL STARSへの出場は、どういう経緯で連絡があったんでしょうか?

川上:落合選手から連絡がありました。特に親しくしていたわけではなく、出会いは3×3 PREMIER.EXEです。連絡先を交換し合っていたわけではないので、SNS上で「話があるので連絡ください」みたいなことになって……(知らせたら)すぐに連絡があり、「FIBAのオールスターに出ない?」って。本当に突然で、しかも時間がない、みたいな感じでした。(in REST OF THE WORLDで出場予定だった)Manila Westが棄権して、3×3ランキングが次点だった落合選手に出場のチャンスが巡って来ました。急きょメンバーを決めることになって、僕にオファーが来ました。

──「世界で戦うなら川上選手が必要だ」ということで、落合選手は誘ったわけですよね!?

川上:彼自身、何度も世界の3×3を経験しています。その上で「勝つにはアウトサイドの決定力が必要」だと感じていたらしく、僕がPERMIER.EXEで得点王を獲ったことで指名をもらったんです。光栄なことですよね。

──“世界で勝ちたい”と落合選手が考えた時、一番に思い浮かべてくれたわけですね?

川上:そうだと思います。仲がいいとか昔からの仲間だからというのは一切関係ない。PREMIER.EXEで出会って、挨拶する程度でしたからね。

──誘われた時は“行くよ!”って即答だったんでしょうか?

川上:サラリーマンなので、本当なら会社の了解を得たり、上司に報告したりするのが先なんですが“行く行く!!”って即答しました。こんなチャンスはもうないかも知れませんから、あとは自分で段取りを取ればいいかな、と(笑)。

──バスケで「海外遠征」という経験はありましたか?

川上:ないですないです、初めてです。バタバタと決まってチーム練習は1、2回だけ。ただ、その中でもチームの約束事として、僕は「とにかくシュートを打って、点を取ってくれ」と言われていました。ゴール下は落合選手とマシュー(カイル)選手が引き受ける、「泥臭い仕事は俺たちがやる」って言ってくれました。

──本来なら、落合選手は自分で狙いたいタイプ。それを我慢してでも「点を取ってくれ」と?

川上:自分も打ちたいでしょう。でも、体格的なことを考えて、日本人ならスピードやクイックネスでかわしてシュートを狙ったほうがいいと判断したんだと思います。PREMIERで対戦する落合選手は凄く手強くて、やっかいな存在です。ただ同じチームとして戦うとすれば、僕には“シューター”という役割があると思いました。
=後日、落合選手本人に確認したところ「もちろん、いつもなら僕がガンガン行きますよ!それが俺だから(笑) でも、今回は川上選手のシュート力に期待してお願いしました」とのこと=

──そこまで期待されるとプレッシャーになりませんでしたか? あるいは「やってやろう!」という気持ちが強かった?

川上:自分の中ではチャレンジという気持ちが強かったです。縦と横の動きとも完全に止められたらどうしようもないですが、ほんの少しでもディフェンスをズラすことができれば、僕の場合シュートは打てる。打てば(ある程度は)決められるという自信はありました。

3x3 PREMIER.EXE 2014の得点王に輝いた川上選手

3×3 PREMIER.EXE 2014の得点王に輝いた川上選手

──マークがきつくても、持ち味を生かせるという前向きな気持ちだった?

川上:実際、対戦するとサイズはありましたが、スピードやクイックネスなら勝負できるんじゃないかという印象でした。事前に、落合選手からレクチャーを受けながらでしたが、「川上さんがどれくらいできるのか見てみたかったし……」って言われました(笑)

──ちょっと上から目線(笑)「チーム落合」という感じでしょうか?

川上:今回は落合選手が最初に選ばれて、それで僕が声を掛けてもらったので……。今回は僕自身、初めての経験でしたから彼のキャリアを最優先しました。次回以降は、もう少し自分の意見を言うかも知れませんよ(笑)

──というのも、実際にプレイしてみて手応えがあったということですよね?

川上:ありました。特にオフェンスに関してはそうですね。やはりディフェンスやリバウンドはPREMIER.EXE以上に厳しい。サイズやフィジカルの強さはどうしようもありません。5、6センチの差ではなく、10センチ15センチと高さが違って体の幅もありますから。

──善戦はしたものの予選リーグで敗退。それでも今後に向けてモチベーションが上がったのでは?

川上:上がりました、“勝負できる!”って実感しましたね。次も参加したいですし、できれば国内ランキング1位の落合くんを抜いて、自分が1位になって出たいぐらい。呼ばれるように頑張りますし、ZETHREEの関係者にもハッパをかけられているんです。

──六本木の時(2014/9/20:3×3 PREMIER.EXE TOKYO FINALの決勝戦、vs DIME.EXEで2Pシュートを10本決めた)のプレイを再現し続ければ大丈夫でしょう?

川上:あの時はチームとして、僕にボールを集める作戦でした。それに応えることができたというか……3×3の場合、普通のシュートが1点で、いわゆる3Pが2点。ということは倍になる。その2Pシュートを40%ぐらいの高確率で決められれば、かなり有利に戦えるんです。その考えを基にチームの作戦を考えました。結果、PREMIERではトータル38%ぐらいの確率でした。

──作戦も2Pシュートの確率も、世界を睨んで「戦えるレベル」に届きそうだと感じている?

川上:そうだと思います。3×3で日本が世界で戦うためにはそこを磨いていく必要があると思います。

3x3 PREMIER.EXE 2014 TOKYO FINALにて

3×3 PREMIER.EXE 2014 TOKYO FINALにて

あれよあれよいう間に“プロ”としての活躍の場が広がった

──ZETHREEへの参加はどういう経緯があったんでしょうか?

川上:オーナーの方から直接、声を掛けられました。それまで面識はなかったんです。チームが3×3 PREIMIER.EXEに参加することになり、僕が地元出身だということもあって誘っていただきました。以前(2012年)、3×3が始まったばかりの頃にある大会で優勝経験がありました。

──ご自身の3×3のキャリアのスタートでしょうか?

川上:その前、2010年に大会があって……この時はまだ3on3と言っていましたね。大阪で開催されたんですが、その大会で準優勝しました。この大会が3人制バスケットボールのデビューです。石川県内のクラブチームで優勝(5on5)していて、「3on3の大会に石川代表で出場して欲しい」という依頼を受けたんです。

──県の推薦チーム?

川上:「石川県選抜」でした。それから2012年の3×3の公式大会で優勝。ZETHREEがPREMIER.EXEに参加するために結成され、メンバーとして参加することになりました。何も知らない状況で、いきなり準優勝。楽しかったですし、良い結果が出たのと、「個」が出せる種目なので、自分には合っていたんでしょうね(笑)

──PREMIER.EXEで「プロ」になりましたが、どういう気持ちでしょうか?

川上:3×3 PREMIER.EXEでプレイするようになって、あれよあれよいう間に「プロ」と呼ばわるようになったというか……本当にステップアップの幅が大き過ぎて、自分でも驚きです。それなりの実績は残してきたつもりなので、「やってやろう!」という意気込みはあったんですが、それがFIBA 3×3 ALL STARSにも出場することになるとは……。

──活躍できるステージが整ってきたな、という感じもあったのでは?

川上:そうですね、「プロ」の国内リーグ(3×3 PREMIER.EXE)や世界大会へ道が拓けたわけですからね。

3x3150116b

2014FIBA 3×3 ALL STARS

誘われて始めたバスケ
自ら道を切り拓き、世界へ

──そもそもバスケを始めたきっかけは?

川上:小学3年の頃にミニバスを始めました。友だちに誘われたのがきっかけです。ただ、それほどのめり込んだわけではありません。というのも、これまでの進路(中学~高校~大学)はバスケ優先ではなく、学業のことを考えて決めてきました。

──いわゆるバスケエリートというわけではない?

川上:そうですね。部活でバスケを続けましたが、中学は県でベスト8ぐらい。インターハイに行きたくて進学先(高校)を考えたことはありません。高校は県立の進学校で、バスケ部の成績はベスト8ぐらいでした。大学は上智大の理系(電子・電気)に進学し、将来的な目標として、生活インフラに関わる仕事に就きたいと考えていたんです。東京電力でインターンシップを経験し、技術職を志望。上智大大学院を修了後、地元の電力企業に就職しました。

──チームの成績はそこそこでも、その中では目立っていたのではありませんか?

川上:高校3年の時は国体の候補メンバーに選ばれ、社会人になってからですが、成年男子の石川選抜と富山選抜で国体に出場しました。

──理系だとバスケの活動は制約があったのでは?

川上:当時、関東大学リーグの5部だったと思います。ただ同じ代はメンバーに恵まれて、関東大学選手権(トーナメント)では、2部の大学と対戦するぐらいまで勝ち上がりました。中学、高校もそうでしたが、在籍中のチームの成績は良かったと思います。チームメイトや指導者にも恵まれたんでしょうね。大学時代は能代工高から日体大~熊谷組へ進んだ本間大輔さんが外部コーチを務めていらっしゃったので、それほど強いチームではなかったですが、練習は厳しかったです。学生時代は遊んでいませんね。勉強とバスケの両立で精一杯(笑)

──就職後もバスケを続けようと考えていましたがか?

川上:さすがにバスケ優先ではなく、仕事が最優先。それでも、サラリーマンとしてはバスケの練習をよくやっているほうだと自負はあります。地元・石川のクラブチームで活動し、得点王も獲得していますから。クラブチームではクラブチーム選手権やオールジャパン出場がモチベーションになります。

──3×3では“プロ”として活躍の場が広がっていますが?

川上:「プロ」というのはモチベーションが違います。職場の上司への報告と許可を得ながらの活動になりますが、ZETHREEとしての活動には地元貢献としてクリニックなどを開催します。子どもたちと接しているとプロ選手だということで、目がキラキラするんです(笑)3×3のお陰で活動の場は確実に広がっていますね。

──このような活動は「想定外」でしょうか?

川上:33歳ですからね(笑)この年でこのようなことが実現できるとは思ってもいませんでした。こうなったらとことんやりたい。ますますモチベーションは上がっています。ALL STARSではカナダのチームに45歳の選手が居ました。それを見て「凄いな」って勇気づけられました。

──まだ12年ありますからね?

川上:もしかしたら3×3がオリンピック種目になるかも知れないと聞いています。だったら、「そこを目指しても良いんじゃないか?」って言ってくださる方もいるんです。周りの反応が違ってきますし、3×3 PREIMIER.EXEで得た自信もあるので、自分なりにオリンピックを視野に頑張りたいですね。

──その自信の裏付けは何なんでしょうか? 世界も経験して来たから?

川上:やっぱり練習。人より練習していると思います。練習時間を確保するために努力をしていますし、仕事とバスケが両立できるよう、日頃から頑張っています。

──今が一番“バスケ野郎”になっている?

川上:そうですね(笑)ZETHREEの広報担当が高校の後輩で、僕の学生時代のプレイも知っているんです。「今が一番上手くなってます」っていうぐらいだから、自分でもまだまだ伸びる余地はあるなって思っています。3×3がどんどん広がっていけば、自分が活躍できるステージを広がっていくと思います。

仕事とバスケの両立は大変だ。学生の頃、熱心にプレイしていた選手たちも、就職するとなかなか“バスケで夢を見る”ことができない……のは本当だろうか? 川上選手の話を聞いていると確実に「夢を見ることができる場」は広がっているようだ。クラブチームはもとより、ストリートボールであれば、プレイグランドは世界へとつながっていく。特に、3×3という新種目なら、オリンピック出場でさえ視野に活動することできる。

国内の3×3環境は急速に整い、プレイのレベルと、目標設定に合わせた大会・イベントへの参加がしやすくなった。バスケ経験者の皆さん、もう一度、夢を見ましょう。あるいは身近にいるかも知れない3×3プレイヤーに夢を託しましょう。参加するのも観に行くのもOKですよ!

3x3150116e

2014FIBA 3×3 ALL STARS

3×3.EXE Facebook Page
3×3.EXE

文・羽上田 昌彦(ハジョウダ マサヒコ)
スポーツ好きの編集屋。バスケ専門誌、JOC機関紙などの編 集に携 わった他、さまざまなジャンルの書籍・雑誌の編集を担当。この頃は「バスケを一歩前へ……」と、うわ言のようにつぶやきながら現場で取材を重ねている。 “みんなでバスケを応援しよう!”を合言葉に、バスケの楽しさ、面白さを伝えようと奮闘中。