チームには不可欠と言われるビッグマンを目指す 谷口大智(秋田ノーザンハピネッツ)

洛南高校でウインターカップ3連覇を成し遂げた谷口大智は、卒業後スラムダンク奨学金第2回奨学生として渡米し、そのまま大学進学(2年制のアリゾナウエスタン大→4年制のサウスイースタンオクラホマ州立大)の道を選んだ。当時から彼が口にしていたのは「将来は日本代表としてオリンピックに出る」という夢。今回初の代表候補に選出され、さらに68人から30人に絞られたメンバーに残ったことで、東京オリンピック出場の夢がまた一歩近づいたように見える。が、本人曰く「今はまだ30名の中に入ったに過ぎない」――これから谷口が目指すのは「日本の新しいビッグマンとしてチームに不可欠と言われる存在になること」だ。

――2日間の合宿を終えた感想は?

2日という短い期間でしたが、すごく濃い時間で、学ぶことが本当にいっぱいありました。

――具体的にはどのようなことですか?

たとえばディフェンスの位置だったりとか、チームの決め事だったりとか、細かいことはいろいろありますが、1番大きかったのは日本のトップレベルの選手たちとプレーすることで刺激を受けたことです。やはり(バスケットを)やる以上は高いレベルの中でやりたいとずっと思ってきましたし、代表に入るのは大学時代から変わらない自分の目標でもありました。それが叶ったことはうれしいです。ただ、今回は30人のメンバーに残れたというだけで満足もしていないし、もちろん安心もしていません。正直、最終メンバーに残るのは厳しい部分もあると思います。もちろんあきらめているわけではなく、これからもっと頑張るのみです。

――所属する秋田ノーザンハピネッツと代表チームでは求められることに違いはありますか?

ありますね。秋田では4番ポジションなんですけど、外を中心にやってくれと言われています。でも、代表ではいろいろなことをコンスタントに求められるのでシュートだけでもダメだし、ドライブだけでもダメだし、ほんとにいろんなことを見せられるようにならないといけません。その中には当然、僕が苦手とするものも入っているので、そこを伸ばしていかないと、今後(代表チームに)残っていけないと思っています。

――『苦手とするもの』とは?

ドリブルですね。技術で言えば、ドライブしていってパスをさばくとか、アウトサイドのディフェンスについて行ける足だとか、そういうところの力がまだまだ足りないと感じています。自分が苦手な部分を克服しながら、尚且つ自分の武器をいかに発揮していけるかが今の自分の課題です。

――自分の武器となるのはどんなプレーでしょう?

アウトサイドシュート、中でも3ポイントシュートが自分の武器だと思っています。僕はアメリカに渡り、アメリカの大学に進んだわけですが、その理由の1つとして『アメリカという厳しい環境の中で自分の武器になるものを身に付けたい』という思いがありました。そこで身に付けた武器が3ポイントシュートです。アメリカでもそうでしたが、この代表の中には僕よりサイズがあり、僕よりスキルがある選手がいます。そこで勝ち残っていくためには自分の武器をさらに磨いて、さっきも言ったように苦手とするプレーも克服していかなければなりません。「常に上を目指していく」という気持ちはアメリカに渡ったときと一緒です。

――谷口選手がアメリカの大学でやっていたバスケットと日本のバスケットに違いを感じますか?

それはもちろん感じます。アメリカの大学では自分たちのフォーメーションをミスらないようにじっくりやる。つまり、自分たちが決めたプレーをいかに確実に効率よくやるかということが中心になり、何かアクシデントがあって違うモーションになったときもそれにしっかり対応することが求められました。日本では、たとえば代表チームを例に挙げると、トランジションと激しいディフェンスを中心としたバスケットを目指していると思います。バヴィチェヴィッチコーチがよく口にされる「日本の選手はよく走って、よく動く」という特性を生かしたバスケットですね。

――その日本のバスケットにはすぐにアジャストできましたか?

(帰国後)最初の1年は肘を手術したばかりだったので、ずっとコートを離れていたこともあり苦労したんですが、プレーに関しては日本の走るバスケットは高校までやってきたことですし問題はなかったです。ここ(代表合宿)に来ても、普通なら初めての経験で緊張するところなんでしょうが、高校の同期の比江島(慎)をはじめ高校の先輩や昔から顔なじみの人が多いので最初からリラックスすることができました。よかったです(笑)

――先ほど「アメリカで3ポイントシュートという武器を身に付けた」と言われましたが、日本を離れ、メンタル面も鍛えられたのではないですか?

それはあります。バスケットに対する意識も変わったというか、アメリカでは常に人と違うところを伸ばしていってアピールするというのがあたりまえですから、そういう考えは自然に身に付きました。同じポジションにサイズのある有力選手が多くいますから、自分と比較して、その選手より自分が劣っているものは何か、逆に自分の方が良いと思えるところはどこか、そういうことを見る『目』は養えたような気がします。

――そこで自分の長所をいかにアピールできるかですね。

そうです。競争は厳しいですが、自分の長所を伸ばしてそれをコーチに認めてもらうことが重要です。それはプロとなった今も同じですね。bjリーグでは外国籍選手がオンザコート2でしたが、Bリーグになってオンザコート1の時間帯ができたことで、僕たち日本人のビッグマンの存在がより必要になってきたと感じています。そこで自分が他のビッグマンと何が違うのかというのをどんどん見せなければなりません。自信を持ってそれをアピールできるようになれば代表チームでも僕にしかできない仕事を与えられるようになるのではと思っています。そうなればうれしいし、そうなることを目指してこれからも努力していくつもりです。

JBA
秋田ノーザンハピネッツ

文・松原 貴実 写真・三上 太