代表合宿は挑戦と成長の場所(筑波大3年 玉木祥護)

第4回日本代表候補重点強化選手に選出された大学生は馬場雄大、杉浦佑成、玉木祥護(ともに筑波大)、平岩玄(東海大)の計4名。その中で「高校からバスケットを始めた」という玉木の存在は異色とも言える。競技歴が浅い分経験値は劣るが、195cm、98kgの体格を持ってして走れて跳べる身体能力は大きな魅力だ。今年はU-24のスプリングキャンプ、韓国遠征(3月13日~18日)も経験し、5月19日~21日に行われる第40回李相佰盃のメンバーにも選出されている。「全てのスキルにおいて自分が力不足だということはわかっています」と言いながらも先輩たちに混じってコートを走る姿に臆するところはない。「バスケットは楽しいです」と笑う20歳のホープに『これまでの自分』と『これからの自分』について語ってもらった。

――日本代表合宿に参加しての感想を聞かせてください。

周りはプロの方ばかりですから、やっぱりプレーのレベルも高いし、すごく刺激をもらっています。間違いなく自分が1番下手くそだと思いますが、そんな自分がどれだけ食らいついていけるか、挑戦するつもりでガムシャラにやっています。

――バスケットを始めたのは高校からだと聞きました。

そうです。僕は札幌の出身なんですが、バスケは札幌旭丘高校に進学してから始めました。中学のときは野球部だったんですよ。

――高校でも野球を続けようとは思わなかったのですか?

野球はそれほどうまくなかったんです(笑)。小さいころからスポーツは好きで中学でも運動部に入ろうと思ってて、それまでキャッチボールとかはしたことがあったから「じゃあ野球部でいいか」みたいな軽い感じで入部したんですけど、甘くはなかったです。僕はファーストを守ってましたが、下手だし、活躍もできないし、そのせいか情熱を持って野球に取り組むという感じではなかったです。もっとちゃんと考えて入部すればよかったと思いました。

――身長は高かったのですか?

はい、中学3年のときで190cmぐらいかな。それもあって高校では身長を生かしたスポーツをやりたいと思いました。漠然とバスケかバレーかなと思ってたんですが、練習見学がバスケ部の方が先だったので見に行って、よし、ここにしようと。

――札幌旭丘高校は進学校として有名ですが、普通に受験して入ったんですよね?

そうです。普通に受験して…。スポーツに特別力を入れている高校ではないのでバスケ部も強いわけじゃなくて、僕たちのときの最高成績は市大会ベスト16、全道大会にも出られませんでした。でも、僕はデカかったので野球と違ってそこそそこ活躍できたし、活躍できればうれしいし、やる気も起こるし、バスケをするのが楽しかったです。

――将来も続けたいと思いましたか?

いえ、最初のころはそんなこと全然考えてなかったです。普通に大学に入って、就職するんだろうなと思ってました。変わったのは高2のときに札幌選抜とトップエンデバーに選んでもらったあたりからです。3年にはU-18の候補にも入って、ひょっとすると自分はこのままバスケの道を進んでいけるんじゃないかなと思うようになりました。もちろん選んでもらったどのチームでも周りは自分よりはるかにうまい人ばっかりで、みんなミニバスからやってて、全国大会にも出ていて、ドリブル1つ満足につけない僕はダントツに下手くそだったんですが。

――それでもバスケットを続けたいと思った?

はい、バスケットが好きでしたから。さっきも言ったように周りのレベルが高い中で、僕はシュートも入らないし、すぐ吹っ飛ばされたりしてたんですね。けど、その代わりって言ったら変ですが、ジャンプ力だけはあって他の人より高く跳べたんです。高校でバスケを始めたころから「おまえ身体能力が高いな」と言ってもらえることがあって、でも、それがどれぐらいのレベルかわからないじゃないですか。全国大会で戦ったこともないから、身体能力が高いと言われても全国レベルではたいしたことはないのかもしれないし、その尺度がわからなかったんですね。でも、U-18とかの練習で他の人と比べたとき、ああ自分はみんなより跳べてるなあ、わりと走れてるなあと感じたんです。みんなより勝ってるのはそれぐらいしかなかったけど、1つでも取り柄があるならそれを伸ばしていきたいと考えるようになりました。

――それでバスケットの名門でもある筑波大進学を決めたわけですか?

筑波大は高校のバスケット部の顧問の先生の出身校だったので、勧められたこともあります。だけど、入って1年目は本当にここでやっていけるのかと悩むほど大変でした。

――練習についていくのが大変だった?

めちゃくちゃ大変でした。バスケの知識とか考え方とか、みんながあたりまえに積み重ねてきたものが自分には無い、無に等しいと感じました。フォーメーション1つ取っても、周りはパッと覚えてすぐ対応できるのに、僕は全然覚えられなくて、ディフェンスの動きもなにをやっていいのかわかんなくて間違えては怒られる、次もまた間違えては怒られる、その繰り返しでした。それでもやって、やって、やって、覚えるしかなかったです。

――それが1年間続いた感じですか?

そうですね。2年生になってからは徐々に間違いも減って、少しずつ自分で動きを考えられるようになりました。あの人がドライブに来たら自分はどう動かなきゃいけないとか、そういったバスケIQの部分もちょっとずつ上がっていったと思います。今も考えることは大事にしています。というのも、他の人たちは早くから体で覚えてきていることが自分には足りなくて、そこは確実に劣っているわけですから、頭を使わないとついていけないんです。他の人より考えて、次の動きを予測しようというのはいつも意識してます。といってもまだ全然足りないんですけど(笑)

――自分が成長できているなと感じるところは?

1、2年のころは筑波のオフェンス、ディフェンスを吸収することでいっぱいいっぱいでした。でも、大学もそうですが、こうした代表合宿に参加させてもらうことですばらしいコーチの指導も受けられて、今までとは違う動き方とか、今までとは違う新しい考え方を学ぶことができています。筑波に帰ったときにそれをどう応用できるかが1つの課題ですが、そういう課題を持てたこと、それを考える機会を持てたことはありがたいなあと思います。大学に入って体重も一気に増えたし、ゴール下でもだんだん負けないようになりました。考え方の引出しが増えたことと、フィジカルが強くなったことは自分の成長だと思っています。

――もっと身に付けたいと思うのは?

今は5番をやっていますが、身長もそれほど高くないし、ゆくゆくは4番、もし、できれば3番をやりたいと思っています。そのためにはゴール下はもちろん、外のシュート力をもっとつけなくてはならないし、他の3番プレーヤーに負けないハンドリングの技術も必要になります。そう考えると身に付けなければならないことだらけなんですけど(笑)。自分の力不足は自覚しているので今までと同じようにコツコツ努力していくだけです。

――関東大学トーナメントもスタートしました。同じ日本代表候補である東海大の平岩玄選手と対戦する可能性もありますね。

あいつはうまいですよー。正直自分より一歩前にいる気がします。でも、同じポジションで後輩に負けるのはやっぱり悔しいですから、負けらんねーと思います。頑張るしかないので、とにかく頑張ります!(笑)

JBA(第5回東アジアバスケットボール選手権大会:6月2日(金)~7日(水)/長野市真島総合スポーツアリーナ(通称:ホワイトリング))
第40回李相佰盃日韓学生バスケットボール競技大会
会場:大田区総合体育館

5月19日(金) 16:00 女子戦/18:00 男子戦
5月20日(土) 13:00 女子戦/15:00 男子戦
5月21日(日) 13:00 女子戦/15:00 男子戦

全日本大学バスケットボール連盟
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文・松原貴実 写真・安井麻実