プロとして、元企業チームとしてのプライド(サンロッカーズ渋谷 #1 清水 太志郎選手)

このチームならば絶対にできる!

bjリーグ11シーズンを全うした清水 太志郎選手。昨シーズン在籍したライジング福岡(現・ライジングゼファー福岡)はB3に振り分けられたが、清水選手自身はサンロッカーズ渋谷へ移籍。プロとして迎えた12シーズン目は、トップリーグのB1で活躍している。ケガ人が相次ぐSR渋谷において、前節はポイントガードとして先発出場を果たす。インタビューを行った12月3日の千葉ジェッツ戦は10点を挙げた。

「bjの時は2番(シューティングガード)で出ていましたが、ケガ人がいることで1番(ポイントガード)で出ることになり、大変ですね。ガード2人(伊藤 駿選手、ベンドラメ 礼生選手)がケガし、ベテランでもあるので、いろんな意味でプレッシャーを感じました。それでもプレイタイムをもらえる喜びと自分にとってはひとつのチャンスが巡ってきたことでもあり、出だしよく試合に入ることができたと思います。しかし、チームが勝たないとダメですね」

それまでは平均10分程度だったが、先発を任されたことで30分近くまでプレイタイムを伸ばす。ファーストシュートを決めたことで落ち着いて仕事を全うしていった。しかし本業はシューティングガード。ボールを運ぶ広瀬 健太選手も含め、急造ポイントガードに対し、相手にプレッシャーをかけられると攻められない危険性をはらんでいる。実際この日の千葉戦は、第3クォーターにプレスから一気に速攻を決めた千葉ジェッツが点差を離していった。

「相手が1-2-2ゾーンやマンツーマンでプレッシャーをかけてくることを想定した準備をしてきたのですが、いざそうなった時にコートにいる選手全員が気付かなかったところがありました。そういうチームとしての脆さがあります。対策してきたにも関わらず、遂行できていないのがこの試合に限らず、これまでの成績に比例して表れてしまっています」

昨シーズンまでチームの柱だった木下 博之選手(大阪エヴェッサ)、竹内 譲次選手(アルバルク東京)、ジョシュ・ハイトベルト選手がこぞって抜け、ヘッドコーチも変わったSR渋谷。残った選手たちにとっては、「彼らに活かされていた」ことに気付かされる。「エース級が抜けた分、チーム力で戦うことがひとつの強みになる」と清水選手は前向きに捉えているが、まだまだ徹底されていない。

同じような話をアルバルク東京でも聞いた。昨シーズンまでは“あうんの呼吸”でできていたプレイが、新チームではうまくいかないもどかしさを感じていた。「川崎(ブレイブサンダース)と対戦すると、その差をすごく強く感じました。ずっと同じメンバーで戦っているからこそ、一つのノーマークを作る時にも2〜3個のパスを回した上でノーマークを作っています。プレイに無理がない。ディフェンスでも要所でボールを抑えることができていて効率が良い」とチーム力の差を清水選手も感じている。SR渋谷の現状は、「一つのパスでノーマークを作ろうとしている。0コンマ数秒をみんなでシェアして、1秒間を積み上げて戦うようなチーム力が必要」と課題点を挙げた。その上で、「このチームならば絶対にできる」ことを確信している。だからこそ、志を高く持って挑戦しなければならない。

日本のバスケットを変える、Bリーグを引っ張っていくのが伝統ある企業チームの役目

筑波大学卒業後に入団した大塚商会アルファーズは、仕事を優先しなければならなかった。bjリーグの11シーズンで渡り歩いたチームはいずれも経営は思わしくなく、プロにも関わらずバスケットに専念できる環境とはほど遠い。今、SR渋谷には専用体育館がある。待ち望んでいたプロとして当たり前の環境をようやく手に入れた。
「そこはすごく最高、本当にサイコーだなって本当に思います。体育館があって、ウエイトもあって、ケアもすぐにしていただける環境は文句のつけどころが本当にないです。これまでの環境から言えば、もう贅沢!だからこそ言い訳はできず、やらなければいけないとあらためて強く感じています」

恵まれた環境と伝統がある元企業チームこそが、「日本のバスケットを変える、Bリーグを牽引しなければいけない。僕らもその一つのチームです。もっともっとプライドを持ち、ハングリー精神を持って戦っていかなければならない」と清水選手は気を引き締めた。さらに、Bリーグ元年にコートに立てる選手たちは「犠牲になって、川淵(三郎)さんが言うような1億円プレイヤーを輩出できるリーグにしていかなければならないです。僕らはその土台となってプレイの質を上げつつ、ファンに向けたサービスを行っていく必要があります」と覚悟を持って、未来を切り開いていく。

レギュラーシーズン約1/3を消化したBリーグの状況について、「一つのリーグになったことはとても良いと思うし、高校生や若い選手たちにとってもプラスになると思いますが、正直言えばすでにマンネリ化してきている。開幕当初はリーグもチームもすごい努力をしていましたが、そこから右肩下がりに来ている」と感じている。実際にSR渋谷も含めて開幕戦こそ集客は成功したが、その後は昨シーズンと変わらぬ“通常営業”に戻っているチームも少なくはない。

「まだまだやらなければならないことがある」と言う清水選手。「B1だけに限らず、B2とB3も全部見ましたが、その上でどのリーグであってもプライドを持ってバスケットの質を上げていかなければいけない。B1はもっと突き詰めてレベルアップする必要がある」と警鐘を鳴らす。コート外ではbjリーガーとして行ってきたように、「試合日以外でのファンとの交流も必要です。ファンにサービスするところは全力でサービスし、試合になったら全力で戦う。選手にとっては、気持ちを切り替えて取り組んでいかなければなりません」と話しており、まだまだやるべきことは多い。それらも含めて、「このチームならば絶対にできる」はずだ。

今週末(12月10日-11日)は好調の大阪エヴェッサを迎え、交流戦初のホームゲームが待っている。また、12月9日(金)17:30より渋谷駅 ハチ公前広場にて行われる「SHIBUYA ILLUMINATION2016 点灯式」に伊藤 駿選手が出席。バスケを生業としている以上、コート内外どちらも全力で取り組み、さらなる好成績と集客増をハングリー精神で勝ち獲らねばならない。

サンロッカーズ渋谷

文/写真・泉 誠一