折茂武彦選手サイド(中編)「Bリーグをコート上から見たかった…それが選手の特権」

昨シーズンのケガ(亀裂骨折)は、長い現役生活においても一番長くコートから遠のいていた時期であった。スーパースターの条件の一つに、“ケガしないこと”が挙げられる。折茂武彦さんがモットーとする戦力であり続けるためにも、ケガをしてはならなかった。コートに立てない日が長く続く度に、メンタルも落ち込んでいく。そんな折茂さんを奮起させてくれたのは、Bリーグ誕生だった。その結果、11月28日のホームゲームで9000点の偉業を達成することができた。

Bリーグが最後!だから、なんとしてもやりたい

僕は毎年、シーズンが終わってから一人になって考える時間を設けます。そこで考えて、次のシーズンもプレイするかという結論を出す。ですが、今回は初めて、昨シーズン中からもう「Bリーグで絶対にプレイします」とマスコミの方にも伝えていました。これまで日本リーグ、スーパーリーグ、JBL、NBLと全てのリーグを戦ってきたのは僕しかいない。今回、完全プロ化となるにあたり、やっぱりコートの中からBリーグがどういうものかを見たかった。

Bリーグはどういう風景なのか、どういうことを感じるのか、引退してしまったら絶対にそれは体験できないことです。あのコートで戦うことも、走ることも、たくさん入ってるファンをコート上から見ることも、現役を続けなければできないことであり、それが現役選手の特権。だから、なんとしてもやりたい、やらなければいけないという思いがあった。これまでいくつもリーグが変わってきたけど、これが最後だと思ってるし、そうならなければいけない。これ以上はないし、あったら困る。

全部のリーグを知ってる存在って貴重じゃないですか。それを知ってる自分が、今後の選手たちに伝えなければいけないと思っていますし、クラブの代表としてもいろんなことを感じて発信していかなければいけない。時代の流れとともに変わらなければいけないものもあるわけですから、そういった部分のところも伝えていきたい。何が良くて何が悪かったということや、どうやって来たのかということも含めてね。

プロになって分かったこと…選手として価値はあるのか?

Bリーグをコートから見た感想は、ホームにいたらこれまでとはなんら変わりないです。でも、大阪(エヴェッサ)から始まって、仙台(89ERS)、そして千葉(ジェッツ)と、アウェイに行ったらうれしくなりました。仙台は真っ黄色だったし、千葉は真っ赤だった。地元のチームを地域の方々が支えて、応援してくれていることが分かりました。

北海道に来るまでは、自分のためにしかバスケットをやってなかったです。でも今は、我々のクラブはどういう方々に支えられ、どうやって運営できているのかを選手みんなが知っています。自分たちの給料はどういう形で支払われているのかを理解しているので、スポンサーやファンの方々のありがたさをみんな知ってる上でプレイしています。僕が北海道に来て一番変わったのがそこです。

これまで社員選手や契約選手を経験してきましたが、北海道に来てプロ選手になって分かったことがあります。プロ選手は、コートに立ったら100%のパフォーマンスを出して活躍することは当たり前。プロとして、バスケットでお金をもらっているわけですから、それは当然のこと。あともう一つやるべきことは、その選手自身が観客を呼べる力があるかどうかです。

今、日本で観客を呼べる選手は田臥(勇太選手/栃木ブレックス)や富樫(勇樹選手/千葉ジェッツ)くらいです。「パフォーマンス(技術)」と「観客を呼べる力」の2つが合わさって、ようやく1億円プレイヤーが出てくるんだと思います。いくら技術だけがすごくても、観客を呼べなければ、プロ選手としての価値がないと僕は思います。観客を呼べなければ、その選手に魅力がないということですからね。顔がカッコイイでも、何でもきっかけは良いんです。その人のおかげで何人のファンが会場に来てくれるかどうかが選手の価値です。そうすれば動員数が上がり、選手の年俸にも反映される。

例えば、選手10人がそれぞれ1000人の観客を呼べれば、それだけで1万人です。今、北海道は平均約3000人を動員していますが、いったい1人あたり何人の観客を呼べているのか?そういう話になるわけです。もしかしたら、僕が1/3を占めてるかもしれない。こんな年寄りがプレイしているのを興味本位で見に来てくれているかもしれない。1人で1〜2000人のファンを集めるだけの価値ある選手が多く出てくれば、これはとんでもないことになりますよ。その価値を上げていくのもクラブの責任です。

レバンガ北海道

(後編へ続く)

文・泉 誠一 写真・五十嵐 洋志、泉 誠一