「全然仕事してなかったと思うほど」頼もしかったチームメイト(白鷗大学4年 #8 林 咲希選手)

一昨年前は早稲田大学に完敗(●66-85)、昨年は筑波大学に3点差(●64-67)で惜しくも敗れた。2年連続、決勝まで駒を進め、王手を懸けながら頂点に手が届かなかった白鷗大学。全国2位は立派な成績だが、最終日に負けて終わるほど悔しいことはない。
昨年までの得点源であった馬 伊娜選手(現・トヨタ自動車アンテロープス)が抜け、新チームになったばかりの今春の関東大学トーナメントでは、林 咲希選手に負担が集中する。さらに、5月の林選手は女子U-23日本代表に選出され、KDB生命 ウィナーズ(韓国WKBL)との国際強化試合に出場していた。5月10日まで3戦を戦い、全てスタメンで出場を果たす。代表活動が終わった翌日の5月11日からチームに復帰し、そのまま日本体育大学戦に出場。27点を挙げたが48-60で敗れ、4強に残れずに決勝リーグ進出を逃す。5位決定戦となった最終戦も拓殖大学に敗れ、6位に終わった。

夏を越え、迎えた秋のリーグ戦では林選手に頼っていた得点が分散され、複数選手が二桁得点を挙げる。チームが一変した要因をインカレ優勝会見時、2年生の三木 里紗選手が涙ながらに教えてくれた。「毎日の練習がすごく辛くて、自分は自主練が嫌いで…。でも、いつも林さんや上原(もなみ)さんらが自主練をやってるのを見て、いつも4年生の背中を見て、自分もがんばろうと思いました」と言葉を詰まらせながら、感謝の気持ちを伝えていた。決勝戦で三木選手は途中で両足が痙るほど、夢中でボールを追いかけた。3年生の星 香那恵選手、2年生の上田 祐季選手、そして1年生の佐坂 樹選手は、いずれも二桁得点を挙げ、チーム全員で日本一を勝ち獲った。良い意味で、林選手が目立たないほど、白鷗大学は強かった。

ーー(まじまじとメダルを見る林選手に対し)これまで2年間は銀だったのが、ようやく金を手にした今の心境は?

自分たちもそうですが、監督を優勝させられたことがうれしいです。(4位に終わった)早稲田の田村(未来)さんが、たぶん昨年や一昨年前の私たちと同じような気持ちだったのかなぁ、と思います。すっごく悔しい経験があったからこそ、勝てたのかなとも思います。

ーーこれまではエースとして多くの得点を獲らなければならない役割でしたが、リーグ戦以降は台頭してきたチームメイトに頼もしさを感じていたのでは?

今日(決勝)も全然仕事してなかったと思うほどでしたが、仲間たちに頼った部分もありました。自分の練習している姿を後輩たちが見ていてくれて、「私もがんばらないといけない」と言ってきてくれました。それを伝えることができて良かったです。

ーー背負うものが多かったこれまでと比べて、今年のインカレは何か変化はありましたか?

気負うことなくできるようになりました。これまではやらなければいけないという部分が強かったです。もちろん今年も、「やってやろう」という思いは強かったですが、後輩たちが良い動きをしていたので、調子の良い選手にボールを集めて託すことができました。もちろん自分にボールが回ってくれば、やってやろうというスタンスではできていたかなと思います。

ーーこれまでの悔しい経験があることで、追い上げられた時に焦るかと思われましたが、落ち着いてできたのもチームメイトの成長のおかげですか?

そうですね。上原(もなみ・キャプテン)が試合中に「大丈夫」と言ってくれたり、上田(祐季)や星(香那恵)ががんばってどんどん点を獲ってくれたので、負けるという気持ちは特になかったです。粘っこく戦っていけば「絶対に勝てる」、ディフェンスではリバウンドも獲れていたので「これは行ける」と思ってました。

ーーリバウンドが良かった要因は?

最初はピック&ロールの守り方で「ブルー」といってミドル(ゴールと縦に平行となる危険エリア)に行かせないようにするんですけど、ミドルに行かせないようにした時に、もう一回ピック&ロールがベースライン側で起きて、そこでズレができていました。コーナーのヘジテーション(ディフェンスでの仕掛け)が少なかったので、そこから結構やられてしまいました。でも後半は、「絶対にそこでやられないようにしっかり守ろう」と全員が認識して入ったところ、ボールを止めることができ、相手も焦っていました。そこから少しずつシュートがズレて来たことでリバウンドが獲れるようになったんだと思います。

ーー大学チャンピオンとして、白鷗大学の仲間とともに最後の戦いとなるオールジャパンへ向けての目標は?

このチームで一緒にバスケットができるのが最後となるので、思う存分楽しんで、どこと当たろうと私たちのプレイを出して終われるようにしたいです。大学のチームには絶対に負けたくないですね。Wリーグのチームと当たって、勝てるのであれば勝ちたいですが、良い試合ができるようにすれば自ずと結果はついてくると思います。楽しい試合を目指していきたいです。

ーーMVPや得点王になり、多くの家電をもらいましたが使い道は?

寮生活なのでご飯も出ますし、テレビもあるので、実家に送って家族にあげます。これで親孝行がちょっとはできたかな。

第68回全日本大学バスケットボール選手権大会

文/写真・泉 誠一