「困った時にはオレに任せてくれ」という心の声で優勝に導いたMVP男(筑波大学3年 # 杉浦 佑成選手)

見事にインカレ3連覇に輝いた筑波大学は、春に行われた関東大学トーナメントは57年ぶり5回目、秋の関東大学リーグ戦は14年ぶり10回目の栄冠とともに大学3冠も成し遂げた。
しかし、筑波大学の今シーズンは決して盤石ではなかった。夏には馬場 雄大選手の疲労骨折が見つかり、リハビリを兼ねたリーグ戦を余儀なくされた。さらに、キャプテンの生原 秀将選手をケガで欠く時期もあった。苦しい中でも淡々とプレイを続け、黙々と得点を重ねていったのが杉浦 佑成選手である。
それはインカレでも変わらず、黙々と得点を重ねたことで得点王になった。決勝戦、気合いを全面に出して戦う仲間たちや東海大学のライバルたちとは異なり、淡々と自らの仕事を全うし、ゲームハイとなる19点を挙げ、優勝に貢献するとともにMVPを獲得。
コート上で声を出して引っ張るタイプではまだない。しかし、内に秘めた闘志は他の選手たちと遜色なく、練習中から目標を掲げてきたからこそ、インカレ得点王を手にすることができた。大学バスケ界のMVP男は、その枠に留まることなく、さらなる高いレベルを虎視眈々と狙っている。

ーー淡々と自分の仕事をこなしていた決勝戦に見えましたが、その中でも3連覇に燃える“熱い思い”は少なからずあったのでは?

メンバーに入れなかったAチームの4年生が3人いて、その人たちの涙をミーティングで見て、すごい感じるものがありました。その時の練習はチームとしてはあまりよくなかったのですが、その涙を見てギアを入れ替えて決勝に臨みました。また、Bチームも今日(決勝)は応援に来られましたが、それまでは関東総合(バスケットボール選手権大会)があり、みんなが応援に来られない中でも先輩3人ががんばって声を出してくれました。その先輩たちのためにも勝とうという気持ちは強かったです。ベンチに入れなかった先輩たちは、僕たちを信じて応援することしかできなかったわけですから。

ーー 3年連続ファイナルに進んだ経験によるプラスに働いた部分はありましたか?

(関東大学リーグ戦を優勝して臨んだ)今年は立場が違ったので、やっぱり緊張していました。でも、ホイッスルが鳴った瞬間にワクワクしたんです。興奮していました。初っぱなのシュートはブロックされちゃいましたけど。

ーー 今シーズンはリーグ戦前に馬場選手がケガをし、リーグ戦中にも生原選手のケガがあったりと、筑波は盤石と言われながらもチームとして大変だった中、杉浦選手が黙々と引っ張っていたように見えました。今シーズンを振り返ってみて、どんなシーズンでしたか?

得点のパターンだったり、3番ポジションを経験したことでいろいろと得るものがありました。「困った時にはオレに任せてくれ」という気持ちは持っていました。あとはそれを声に出したりすることが課題なので、来年こそは絶対にそこは改善しないといけないと思います。

ーー 福岡大学大濠高校の3年生の時も声を出して引っ張ることは……

(質問を遮るように即答)もう全然(ない)!自分の意見を仲間に伝えるのができなくて、ずっと言われてることですけど、いつも周りに引っ張ってもらっています。このままみんなに任せっきりでは(来年の)優勝はない。岩本(玄次)トレーナーにも厳しく言われていますが、声を出して引っ張っていくことが必要だと思っています。

ーー 後輩の波田智也選手が吠えていたり、興奮状態となることが普通である大一番において、プラスに考えれば冷静にゲームをこなす杉浦選手の良さにもできるのでは?

う〜ん……でも、声を出す時には出さないといけないとは思っています。

ーー 3番ポジションとなり、オフェンスではこれまで以上にシュートレンジが広がってきましたが、ディフェンス時はまだまだ苦労する部分もあったのでは?

ディフェンスは、なんとなく相手がこう動いたらこう動けば良いというアウトサイドを守る動きは分かってきましたが、今日も(東海大学#3)大矢(孝太朗)さんにドライブでやられてしまいました。相手によって守り方も変えないといけないですし、ドライブばかりしてくる選手もいると思うので、その辺の柔軟性がまだまだ足りない。ガチャガチャやってくる選手には、あぁ〜ってなっちゃいます。

ーー 今後は、大学バスケ界に収まらない選手になって欲しいという期待があります。

本当に、マジで、日本代表の合宿に呼ばれたいという思いがあります。そのためには目立たないと声もかからないので、オールジャパンではプロを相手に戦いたいですし、チームを勝たせることはもちろんですが、自分のエゴを出していっても良いかな、と最近は思っています。今大会は「得点王を意識している」とみんなには言ってました。意外と口に出すと良いかな、と思いました。

ーーそのオールジャパンでの目標は?

B1のチームを倒したい!その上でベスト8、ベスト4と上を狙っていきたいです。

ーー Bリーグは卒業していなくても特別指定選手で大学のオフシーズン中にプレイできる制度がありますが、すでに話は来てますか?

いや、なにも来てないです。僕自身は興味があるんですけどね。早いうちからプロのレベルを経験したいですし、日本代表に呼ばれるためにもプラスに働くかなと思っています。けど、学生は勉強もしないといけないですし、その辺がもしBリーグでプレイするとなると、どこで授業に抜けられるのかなという心配はあります。

ーー MVPを獲得した感想を!

MVPをもらいましたが、あまり良いパフォーマンスをした感じはしてません。みんながパスをくれて、得点を獲っただけという印象しかないです。生原さんみたいなリーダーシップや雄大みたいなハッスルが必要ですね。もっと成長して自分で胸を張って、「オレがMVPだ」と言えるような選手になりたいです。

第68回全日本大学バスケットボール選手権大会

文/写真・泉 誠一