折茂武彦代表サイド(前編)「コート内外で追い求めなければならない数字」

筆者にとっては唯一、国内リーグにおいて(NBAを含めても)年上の現役プレイヤーであり、敬称略を憚れる折茂武彦さん。本誌フリーペーパーVol.3(好評無料配布中)では伝えきれないほど、様々なお話を聞かせていただいた。「よく言われる」というほど、メディアに向けて書けない話も多い。しかし、話を伺えば伺うほど、選手としても経営者としてもどちらも変わらぬ芯が一本通っている。残る2回はレバンガ北海道の折茂武彦代表としての心境を紹介する。

サラリーキャップ撤廃を歓迎

シーズン中も確認事項はメール等でチェックしたり、週に1回は打ち合わせを行い、その中でいろいろ決めています。今は事務的な作業がメインになりますが、当然シーズンオフには営業活動をしていますし、お話があればシーズン中にも行っています。

若いときは、数字(スタッツ)というものは追いかけなくてもついてくるものだと思っていたので全然気にしておらず、それだけ自信がありました。年齢を重ねた今、昨シーズンは大きなケガをしたこともあり、追いかけないとスタッツを残せなくなっているのは確かです。そこもプロ選手としてはもちろんですが、得点面での数字を残すポジションにいるので、しっかりと追いかける努力はしています。

会社の方も盤石な状態ではないですし、経営的にも安定した数字を求めていかなければチームも安定できません。この数年でしっかりそこを固めて、お金のあるチームに勝ちたいし、挑んでいきたい。今は少なからず予算在りきになってしまい、各クラブの状況が違う中での結果は致し方ない部分も正直言ってあります。そこを栃木(ブレックス)や千葉(ジェッツ)のように安定させて、しっかりとした補強ができるようにならなければいけない。他のプロクラブの成功例に刺激を受けますし、栃木の鎌田(眞吾)社長や千葉の島田(慎二)社長にはいろいろと教えていただきながら情報交換ができています。

サラリーキャップがなくなったことは、選手にとって良いことだと思います。僕も最初は働きながらバスケットをスタートしたわけです。そこから考えれば、バスケットだけでメシが食えるようになるのは非常に良いことです。まだ野球のような高額年俸は見えてきていないですが、いずれそこが見えてくれば、もっともっと子供たちもプロバスケット選手を目指せるようになってくるわけです。反面、クラブとしては厳しいですが、選手たちのためにも(プロ野球の年俸等に)しっかり追いつけるように取り組まなければいけないです。

地方では感じられないBリーグ効果

Bリーグになって一番良かった点は、バスケットを知ってもらえたこと。これまでバスケットはマイナースポーツであり、優勝しようが東京を歩いていても誰からも声をかけられないわけですから。野球選手やサッカー選手とはまるっきり違うわけです。でも、同じくらいきついことをやってるのに、そこから得られる報酬も彼らに比べたら微々たるものです。それがずっと悔しかった。

幸い、北海道ではテレビに出たり、いろんなイベントに参加することですごく知ってもらえるようになりました。ケガをした昨シーズン中は、「早く治して試合に出てね」と、絶対にどこに行っても声をかけてくれます。それだけ自分が知られたということは大きい。同じように、マイナー競技だったバスケットがBリーグになってメジャー化の第一歩として知られるようになったのは、著しく良くなった点です。これから僕らがもっともっと努力し、盛り上げていかなければなりませんが、第一歩は踏み出すことができました。

しかし、経営に関して『Bリーグ効果』というものは、あまり感じられていない。Bリーグ開幕前に行ったティップオフ・カンファレンスで他の選手と話をしても、やっぱり地方はその実感がないです。開幕戦の(アルバルク)東京vs琉球(ゴールデンキングス)戦も、東京だけで盛り上がってる感は否めません。Bリーグ効果は、北海道にいると全く感じられないです。我々は今まで通りなんです。

ホームアリーナで8割開催することとなったのは非常に良かった点です。これまで道内のいろんなところで試合をしてきましたが、移動時間が長い。バスで3時間移動は当たり前、5時間かかるところもあります。逆に飛行機で来る分、アウェイの方が早かったりする場所もありました。ホームなのにアウェイのような移動で、選手がストレスを感じてしまい、経営的にも当然経費がかかってしまうかなり厳しい状況でした。

我々は北海きたえーるにお願いをし、北海道と札幌市を含めてご協力いただいたおかげで8割使用できるようになっています。それにより選手の負担はかなり軽減され、経費削減することもできました。あとは北海きたえーるというあの大きな体育館を、我々がどう埋めるかだけの話。今現在、栃木や琉球、他にも3千人程度の箱(アリーナ)しか持っておらず、平均3千人でも常に超満員になってしまいます。きたえーるは7千人収容可能であり、我々にはまだまだ伸びしろがあるわけです。だからこそ知恵を絞って、開幕戦で集めた6千人をコンスタントに集めていく努力をしていかなければなりません。

(次回北海きたえーるでのホームゲームは、12月30日・31日に琉球ゴールデンキングスを迎え、「折茂武彦9,000得点メモリアルゲーム」開催)

レバンガ北海道

(最終回へ続く)

文・泉 誠一 写真・五十嵐 洋志、泉 誠一