成田発ミネアポリス経由ダラス行 富樫勇樹NBA挑戦の終わりなき旅

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10月11日(土)、いよいよ富樫選手がアメリカに向けて出発する。ダラス・マーベリックス(マブス)の最終チームキャンプに合流するためだ。今年8月、マブスの一員としてサマーリーグに参加した富樫選手。プレイタイムこそ少なかったがその活躍が評価され、今回の招集につながった。
10月8日(水)、地元・新潟で練習をしている富樫選手が囲み取材に応じた。『Sportsプラス』(NHK総合)で放送されたのでご存知の方も多いだろう。ただ、放送時間は限られておりカットされた部分もある。ここでは、追加情報とともにインタビューの様子を紹介しよう。

インタビュー前、マネジメント会社関係者から、これまでの経緯と今後の予定が説明された。

──ダラスマーベリックスから、最終キャンプへの招集の連絡があったのは9月24日(水)。チームは富樫選手が日本代表として『第17アジア競技大会』に出場していることを把握しており、大会終了後に(最終キャンプ参加のための)契約を交わした。同時にチームがビザの申請を行っており、ビザが下り次第チームに合流。練習、プレシーズンゲームを経て、チームが最終判断を下す。出発は10/11日(土)15:55発ミネアポリス経由ダラス行(デルタ航空)にて──

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スピードをアピール。次につながるチャレンジ!

Q:今回マブスからチームのキャンプに招待され、アメリカ挑戦への道が開かれましたが、招待されたことに対してどういうお気持ちでしょうか?
富樫:そうですね、最初にプレシーズンゲームに参加できると聞いたときは嬉しかったです。今年サマーリーグに参加し、またすぐに(NBA挑戦1年目から)プレシーズンゲームに参加できるとは思っていなかったので、正直ビックリしています。でも、今はとても楽しみです。

Q:チームからはどんな点が評価され、今回招待されたと思っていますか?
富樫:サマーリーグでゲームに出て、少し活躍できたからだと思います。サマーリーグ前にキャンプがあり、そこにチームオーナーやGMが顔を出した際、挨拶をすることができました。実際にプレイを見てもらえて、評価されたと思います。

Q:サマーリーグのプレイでは、どんな点が評価されたと思いますか?
富樫:それほど長い出場時間をもらえたわけではありません。自分のプレイをすべて出せたわけではないのですが、その中でもスピードであったり、シュートであったり、1試合で12点取ることもできたので、そこを評価されたと思います。

Q:これから渡米して、キャンプに参加することになります。チームの最終メンバーに残ることが次の目標になると思いますが、それを達成するために、ご自身にとっては何がポイントになると思いますか?
富樫:プレシーズンゲームはすでに始まっているので、(メンバー入りは)厳しい状況だと思います。それでも呼ばれたからには、全力を尽くし、自分ができることを100%発揮したい。結果はどうあれ、このキャンプを経験できるというのは、これからに向けて大きなステップになると思うので遠慮せず、楽しながらプレイできればいいと思います。

Q:具体的には、自分のどんなプレイをアピールしたいですか?
富樫:先ほども言いましたが、スピードが自分の持ち味なので、それを生かしたプレイをコーチ陣にアピールできればと思います。

toga141010cQ:課題としてディフェンス面が指摘されていますが、ディフェンスに関してはどう対応していこうと思っていますか?
富樫:もちろんフィジカルの面では、体づくりをしなければなりませんが、慣れというのもすごく大事だと思っています。経験を積むことが大切で、その辺りはサマーリーグなども経験し、少しずつですけど手応えを感じています。体の当て方だったり、かわし方だったり、自分の中では少し見えてきている部分もあるので、もう少し経験を積んでいければ良くなっていくと思っています。

Q:やはりディフェンスでは、当たりというかフィジカル面が重要になると?
富樫:そうですね、この身長ですから相手に押し込まれることがあると思いますので、それを少しでも減らすために、筋力や体重を上げなければならないので、そこはしっかりトレーニングしていきたいですね。

Q:チームキャンプから、最終メンバーに残る(ロスター入り)というのは、最初は11年前、田臥 雄太選手(リンク栃木ブレックス)がトライして途中でカットされ、翌年、二度目の挑戦でロスター入りを果たしました。最終メンバーに残るまでの道のり……富樫選手にとってそれはどんな道のりになるでしょうか?
富樫:すでにチームが始動している状況で、まだ自分にはビザが下りていません。ビザが下りてからチームに合流できるので、他の選手に比べればハンディがあると思います。でも、キャンプに招集されただけで良い経験ができると思いますし、目標はNBAに入ることなので、それを目指してやっていければと思います。

Q:険しい道のりの中、もしも最終メンバーに残れなかった場合、次のプランというはいかがでしょうか?
富樫:自分では、残れる確率は高くないと思っています。ただ、今年はアメリカでプレイしたいと思っていますから、NBA入りが果たせなくても、下部リーグ(NBADL)でプレイできれば良いと思っています。

Q:地元・新潟に戻って渡米前の最終調整を行っていますが気持ちはいかがですか?
富樫:どうですかね、今は実家で生活していますから、リラックスし過ぎているかもしれません(笑)しっかり気を引き締めて練習しなければ、と思っています。

Q:地元・新潟の皆さんの反響はどう感じていますか?
富樫:今回もたくさん取材の方に来ていただきました。すごく期待されていると感じていますし、その期待に応えられるよう頑張らなければいけないと思っています。

Q:キャンプに向けての抱負をお願いします。
富樫:途中からの参加で、戦術やいろいろな面で苦労することがあると思います。せっかく呼んでいただいたので、良い経験ができると思いますし、自分ができること、アピールできることを精一杯やって、次につながるキャンプにしたいですね。NBAに残ることが一番の目標なので、それに向けて努力したいと思います。

地元に帰り、リフレッシュしながら次なる挑戦に備える富樫選手は終始笑顔。慎重に答えながらも、プロバスケットボールプレイヤーとしの将来に、確かなビジョンを描いている。他の記者からの質問にも、NBA挑戦への思いを力強く語った。

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体のサイズより、ハートの大きさ・強さが大事

Q:バスケ選手としては身長が低いかも知れませんが、ご自身の武器となるのは?
富樫:やっぱりスピードが一番というか、武器にしたいですね。

Q:サマーリーグで大きい選手とプレイして、その辺りは手応えがあったのでしょうか?
富樫:サマーリーグでも周りの選手は身長が高いのですが、スピードでは自分のほうが優っているかな、と。そこを生かしてプレイしたいと思います。

Q:ご自身の中でNBAというのは、どういう世界でしょうか?
富樫:アメリカ留学中は周りのトップ選手との実力差を感じてしまい、NBAを目標にすることすら考えられませんでした。日本に帰って(bj秋田ノーザンハピネッツ)プレイをし、少し自信がつきました。今回、NBAに挑戦できるところまで来ましたから、今は目標というよりも、“1秒でもコートに立ちたい”そう思っています。こんなに順調に行くとは思っていませんでしたが、サマーリーグに参加し、その結果で呼んでもらえたと思っていますから、自分の持ち味を発揮して、アピールできれば良いと思います。

Q:アメリカで達成したいことは?
富樫:NBAのロスター入りと、NBAのコートに立つこと!

記者との短いやりとりの中に、「アメリカでの成功を実現させる」という、強い思いが感じられた。どこに行ってもサイズのことがついて回るが、それは持ち前のスピードでカバーできると信じている。そしてもうひとつ、小さい体には収まりきらない強いハートが自分を支えてくれるはずだ。中学卒業後、アメリカ留学を決意し実行に移したことがその証といえる。

今回の渡米だが、マネジメント会社関係者によると、当初はマブスと関係が深いテキサス・レジェンズ(NBADL)のトライアウトをターゲットに活動する予定もあったという。それが、NBA挑戦からスタートすることになったのだ。

この日、練習場および会見場となった開志国際高校バスケットボール部の富樫 英樹総監督がこんなことを言っていた。
「今回の招集は本当にビックリしました。NBADLなら少しは可能性があるかもしれないけど、それでも厳しい世界だから。勇樹は派手なプレイ、魅せるプレイではなく、基本に忠実なプレイをします。日本では170cm前後の選手もたくさんいますから、その子たちが、「自分も頑張ればNBAに挑戦できる。夢は叶うんだ」というところを見せて欲しい。親の立場では、まさか自分の息子がこうなるとは思っていませんでしたが、バスケの指導者・ファンとしてはぜひNBA入りを実現し、日本バスケ界に夢と希望を与えて欲しいと思っています」

そうだ! ビッグチャレンジャーの登場が何よりも嬉しい。21歳の若者の終わりなき挑戦にエールを送ろう。

文・羽上田 昌彦(ハジョウダ マサヒコ)
スポーツ好きの編集屋。バスケ専門誌、JOC機関紙などの編 集に携 わった他、さまざまなジャンルの書籍・雑誌の編集を担当。この頃は「バスケを一歩前へ……」と、うわ言のようにつぶやきながら現場で取材を重ねている。 “みんなでバスケを応援しよう!”を合言葉に、バスケの楽しさ、面白さを伝えようと奮闘中。