祝・勉族10周年!笑バスケのマジメな裏側

venzoku131021aビールとバスケをこよなく愛する勉族が今年で10周年を迎えた。観客を笑顔に変える“笑バスケ”という独自スタイルを築き、唯一無二の存在感を示しながら走り続けて早10年。楽しくバスケを10年間続けることはさほど難しいことではないが、勉族が求めるのは自分たちも楽しく、そして見ている方々をも楽しませるエンターテインメントバスケは、なかなか容易な道ではない。

90年代、NBAレジェンドであるマジック・ジョンソンがオールスターを率いて何度か来日し、その妙技を目の前で見ることができた。笑顔がトレードマークのマジックが、ニコヤカにノールックパスを出し、そしてベビーフックを決める。しかし、ディフェンスや相手を抜き去る時など、ほんの一瞬だがトレードマークが封印される。その眼光鋭い表情を見た時に、マジックの凄さをまざまざと感じた。華やかさの裏には真剣さがあり、努力もあるだろう。

それは勉族も同じではないか!?その疑問を代表のぬまにぶつけてみた。
開口一番、「マジメに話しますよ」と、釘を刺されたインタビュー。笑いの裏側を紐解いていく。

相手をこらしめてナンボ

マジメに語りながらも、カメラを向けると様々なポーズを取るぬま

マジメに語りながらも、カメラを向けると様々なポーズを取るぬま

「バスケがハンパなく好きですね。そして、勉族を好きになってくれた若い連中が今は引っ張って行ってくれています」
ぬまや仮エースという強烈なキャラクターがまだまだチームを表立っているので分かりづらいが、若手も入って来ている。しかし、コート上ではチームの底上げにはなっていないと不満もあるようだ。
「世代交代したいって前から言ってますよね。少しずつ変わりつつありますが、まだダメですね。相手を削るような強い気持ちでやらないとダメですよ。相手をこらしめてナンボ。気持ちがまだ追いついていない。アイツらのプレイを見ていると、ホントに勝ちたいの?って思っちゃいますよ」
その厳しさは、勉族が誕生した10年前から持ち合わせていたのだろうか?
「う〜ん。負けたくないという気持ちはありました。それ以上にみんなと違うスタイルのバスケをしたかった。それはLEGENDやHOOPERSが与えてくれたきっかけでもあると思います」

個人のボーラーにスポットライトを当てて、一時代を築いたストリートボールシーンがLEGENDだった。そこでぬまや仮エースの個性が開花され、そして今の地位を確立していった。それに伴い、勉族のコンセプトである“笑バスケ”もまた、確固たるものになって行く。
「10年前からコンセプトは変わらずにとにかく試合をやりまくって、みんなで騒ぐ。ぶっちゃけ負けても、みんなで騒ぐ。でも最近はちょっと疲労が抜けず、負けたら帰るになってきまってしまってますけど…(笑)。今じゃ、みんな子供も生まれて家庭もあるしね。大人になってきて、オレたちだけだったら勉族も終わってたかもしれない。そこに下の世代が入って来てくれたおかげで、まだ続けられる。さらに下の世代が入って来て、もっと続けていきたいですね」

新世代の“てる”と“魚住”

勉族の若手メンバーとして期待を寄せる“てる”と“魚住”。いったいどんな経緯でチームに入って来たのだろうか?
「元々は柏リーブス(クラブチーム)で一緒にやっていて、いろいろ話をしているうちに興味を持ってもらいながらSOMECITYを見に来てもらいました。そしたら自分たちもやりたいと言う話になり、今に至る感じですね」
ぬまの話と、当事者てるの証言はちょっと違う。
「練習中、ぬまさんからSOMECITYの話を聞いているうちに、登録しておいたから、と言われたのがきっかけです」
後者の方が正しそうだ。それほど、ぬまはバイタリティ溢れる行動派……なのである。

見るからにマジメであり、普段は特別支援学校で先生をしているというてると魚住。すでに“笑バスケ”というスタイルが確立されている勉族にどうフィットしようとしているのだろうか?
「今与えられているこのSOMECITYは今まで無かった舞台なので、そこは素直に感謝しています。おもしろくない人間なので一生懸命やることしかできないし、それが後々、笑バスケに変わるようにしたいです」とてるが言えば、魚住もまた「僕も基本的におもしろい人間ではないので…。自分がバスケを楽しいと思える瞬間は一生懸命やってる時です。だから、僕もとにかく一生懸命やることを心掛けています。ぬまさんにも毎回、お客さんが来てくれているんだから、と言われて来ましたが、ようやくその意味が分かり始めています。まだまだ勉強中ですけどね」
一生懸命プレイしていく先に、“笑バスケ”の答えがあるようだ。

徹底したファンサービス。そして規律正しきストリートボール

ファンサービスの徹底さは勉族もさることながら、ストリートボール全体として当たり前のように取り組んで来た。いつも、お客様の方を向いてプレイしているのだ。そんな中、勉族のファンサービスはすでにマニュアル化されているのではないか、とさえ思ってしまう。
「それはないです。教えてできるものじゃないし、オレや仮エースは、生まれ持ってるものじゃないのかなって思ってる(笑)。そこは自分たちから発するものだし、仮エースもオレも違うパフォーマンスだけど、若手はまずオレらのマネから入ってるのかなって思うね。でも、そこから違うものをどんどん出して行って欲しい」

ファンとの向き合い方が誠実であり、実はマジメなストリートボールリーグ。
「チームの約束事として、挨拶やマナーだけはしっかりやれ、ということだけは言い聞かせています。やっぱり規律は守らないといけないし、オレがそういうのがイヤだから。また、勉族を名乗ってチャラけられてもイヤじゃないですか。そんなことされたら、お前らはまだ何も作ってないよ、って言い聞かせますし、怒りますね!でも、そこだけは徹底して来たおかげか、大会主催者の方からも、本当に良いチームですね、というメッセージをいただきます。勉族だけではなく、SOMECITYに出てる選手はみんなが挨拶するし、規律は素晴らしいものだと思いますよ」
SOMECITYのバックステージに行けば、厳つい強面のボーラーがすれ違いざまに必ず挨拶をしてくれる。顔見知りも、入って来たばかりの新しいボーラーも分け隔てなく、誰に対しても挨拶するのが気持ち良い。

ガンガン練習している裏側

以前はそれぞれがクラブチームで練習し、試合の時だけ集まって勉族が形成されていた。しかし今、その環境は大きく変わっていた。
「週2回、木曜と日曜に練習してます。木曜は19時半から23時までできちゃう。残りの1時間はGYMRATSが来て、きちんと試合もできています。練習は全て5on5がベース。やっぱりバスケが上手いヤツがSOMECITYでも目立つことができる。5on5も、3on3もどっちも上手くないと意味がない。だから、練習中もみんなで言い合って厳しくやってるし、そうしないと若手も育たない」
勉族を例えるならば、コミックバンド。ふざけたようなに見えるが、基礎ができていなければ絶妙な崩れ具合が出せない高度な技の持ち主。冒頭に挙げたマジック同様、仮エースやぬまも瞬間、瞬間はマジ顔になる。そこを見逃さず、本当の勉族の凄さに触れてもらいたい。
若手からの発案で、今では勉族としてクラブチーム登録が完了。そのおかげで、SOMECITY以外でも5on5の勉族を見ることができる。近々では、10月26日から始まる千葉県秋季選手権に出場。古巣柏リーブスと同じブロックというのも見物だ。

 

勉族の未来を担う若手メンバー、てる(左)と魚住(右)

勉族の未来を担う若手メンバー、てる(左)と魚住(右)

仕事・家庭・バスケ。絶妙なバランス感で全てに全力投球

仕事とバスケを両立しなければ生活できないのもまた、ストリートボールの現実。しかし、その両立を楽しんでいるのも勉族の良いところ。
「仕事や家庭をまずは大事にしてくれ、とチームには言ってます。僕もただ一生懸命やってるだけだし、そこに突き進んでいる姿を会社や家族に見せて来たことで、応援したくなってくれてるのかな、とは感じています。もちろん仕事も、家族もバスケと同じように情熱を注いでくれるから理解してくれてるのだと思うし、どれも一生懸命やりたいしね」
淡々と笑顔で話すぬまは双子も生まれ、3人の子宝に恵まれた。周りから大変では?と聞かれることも多いそうだが、「大変だと思うようならば子供なんか作るな、と言いたい」と反論し、全てに全力投球中。

SOMECITYのコートに立つことで仕事に良い影響をもたらすこともあるようだ。
「注目を浴びることはうれしいことでもありますし、何よりも自信がつきました。バスケで得た自信を仕事に生かしたり、逆もまたしかりですが、良い流れが生まれています。仕事中も自信を持って発言できるようになりました」と言うてる。
土日には中学校のバスケチームをコーチしている魚住は、「SOMECITYに出てる選手たちはみんな気持ちが強いから、どういう風にバスケに臨んでいるかということを子供たちにも還元できています」
何事にも一生懸命に向き合うことが、いろんなところに派生し相乗効果が生まれる。

10年間、「バスケが好き」というだけで走り続けてきた勉族。今後、若手が台頭することで、少しずつ装いを変えながらも、その根幹を揺るがすことなくバスケ好きの輪を広げていくことだろう。
今後もバスケの普及活動を自然体で、勉族らしく続けて行くだけだ。

SOMECITY
勉族ぬまのブログ

文・泉 誠一