チームのみんなで戦う姿を見て欲しい(トヨタ自動車アンテロープス #1 大神 雄子選手インタビュー前編)

「今シーズンは迷いなくプレイができている」と話す大神 雄子選手。コンディションやパフォーマンスについては、「見ている皆さんが評価してくれれば良い」と続けた。エンドライン際でカメラを構える我々をも欺くフェイントで相手を交わし、ゴールやアシストを次々と決めていく。トヨタ自動車アンテロープスに移籍した2シーズン目はすこぶる元気であり、ぜひ多くの皆さんにも見ていただきたい。

ベテランPGの安定感でリーグ最少ターンオーバー数

今年のチームの特徴として、「ターンオーバーが少ない」点を挙げている。11月13日を終えた時点で124本(平均10.3本)はリーグトップの少なさである。大神選手とともに、経験豊富な久手堅 笑美選手のポイントガード陣が状況を見極めながら、しっかりとゲームを作っているのも要因の一つだと言えよう。

「水島(沙紀)なんかはブワァーって突っ走っていく暴走タイプ。止めないといけないところもありますが、そういうタイプがいるからこそ今はチームのバランスが良いですし、一緒にやっていても本当に楽しい。自分たちもプッシュしなければいけないところはありますし、逆にプッシュしてたらみんなから1回落ち着こうと言われることもある。練習中は自分とユイ(久手堅選手)が(ヘッドコーチのドナルド)ベックさんから休みなくプッシュさせられてます」

2年目を迎えたベック ヘッドコーチとの信頼関係も良好であり、「一つの効率的なシュートセレクトを積み重ねているから今は勝てているだけ。それはベックさんのバスケットが2年目になってチームに浸透し、自分たち自身が理解できているところです」。男子・トヨタ自動車アルバルク(現・アルバルク東京)時代からタイムシェアをして勝ち星を挙げてきたベック ヘッドコーチは、現在もその手腕は変わらない。8人ほどしか起用しないケースが多いWリーグでは珍しく、さらに多くの選手に出番を与えている。そんな指揮官に対する大神選手の信頼も厚い。
「ベックさんは人格者。バスケット以外にも、人生の部分も勉強させてもらっています。自慢のヘッドコーチであることを、トヨタの選手たちはみんなが思っていることだと思うし、他のチームの選手たちにも自慢したい」

チームを明るくするリオを経験した選手たち

オリンピックで名誉の負傷を負った栗原 三佳選手(11月26日の地元大阪大会より復帰)がベンチで盛り上げ、チームの雰囲気もすこぶる明るい。
「今は骨折により出られない分、本人が一番もがいているとは思いますが、ソウ(栗原選手)が帰ってくるまでにチームをさらに良い状態にし、ソウが帰ってきても違和感なくプレイできるようにするのが、自分たち上にいる選手たちの責任。チームのみんなで戦っているのがトヨタであり、そこをファンの皆さんにも見て欲しい。チーム力で強いチームに挑んでいくのが今年のテーマ」

明るい栗原選手とともに、オリンピックを戦った近藤 楓選手の成長ぶりも実感している。
「メル(近藤選手)は積極的になりました。もともとマジメな性格でしたが、これまでは第3者として外から見ている感じでした。でもオリンピック後は、『選手同士でミーティングした方が良いんじゃないですか』と提案したり、そこでも発言するようになりました。自信をつけた証であり、大学時代はキャプテンであり元々キャプテンシーは持ってる選手。だから、一緒にやっていて楽しいし、今後がさらに楽しみ」

そんなオリンピアン二人に刺激を受けたことで、2020年へ向けた日本代表復帰も見据えているのかと聞けば、「え!?自分が?いやいや、もう1年1年大事にやっていくだけですよ」とヒラリとかわす。
「とにかく今年はファイナリストになって、もう1回JX-ENEOS(サンフラワーズ)と勝負したい。古巣と試合をすることが一番燃えますからね。そのチャレンジする場所をみんなで作れるように戦っていきたいです」

燃えるJX-ENEOSとの今シーズン初戦は、12月10日(土)11日(日)に鳥取県開催のWリーグで見られる。もちろん年明けに行われるオールジャパン(皇后杯)でも勝ち上がっていけば、自ずとぶつかるであろう両チームの対戦を心待ちにしたい。

最後に今一度、日本代表復帰について聞いてみた。
「ハハハ、攻めるねぇー。本当に1年1年、しっかりとパフォーマンスを発揮できれば、チャンスはあるのではないかと思っています。でも、まずはこのチームでファイナリストになることが目標なので、がんばってJX-ENEOSを破りたいと思います」

コートで躍動する姿を見られるだけでうれしい。なぜならば、FIBAから制裁を受けていた2014-15シーズン、大神選手はプレイする場を失っていたからだ……。
(後編へ続く)

トヨタ自動車アンテロープス
WJBL

文/写真・泉 誠一