ウインターカップ2014:準決勝のメインコートで躍動した船橋市立船橋

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「試合してて、楽しくてしかたなかった」(#7青木太一)

男子準決勝、福岡大付属大濠―船橋市立船橋。最大23点差がついたゲームを沸かせたのはから後半に見せた市立船橋の粘り。怒涛の追い上げで4Q残り1分47秒には78-81と3点差まで詰め寄った。だが、そのあとの1本が決まらず、最終的には78-89でゲームセット。洛南戦で見せた大逆転劇は叶わず、最終日は桜丘(明成に敗戦)との3位決定戦に回ることになった。

しかし、敗戦後の市立船橋の選手たちに涙はない。この試合で23得点、10リバウンドの活躍を見せた青木太一が最初に口にしたのはこんな言葉だ。
「試合してて、もう楽しくってしかたなかったです。すごいいい雰囲気の中でやらせてもらって、劣勢のときも、なんか、ほんとに楽しかったです」
近藤義行コーチによると、「太一はチームの中のやんちゃ坊主」ということで、本人もそれは自覚しているらしい。
141229b「僕が暴れるとベンチも盛り上がってチームが波に乗るんです。だから、たいしたことないルーズボールだったり、ただのリバウンドだったりしても、自分の身体を大きく見せて暴れることを意識していました」
任された4番ポジションでマッチアップする相手はたいてい185cmの自分より5cm以上大きい。
「垂直跳びしてたら勝てないですから、ランニングリバウンドとかしっかり身体をぶつけて飛び込むとか、そこらへんは自分なりに考えていました」
対戦した福岡大付属大濠については「市船と似てるなぁ」という印象を持っていたという。
「たとえばうちの平良と大濠の津山は暴れん坊だし、9番の岡野と大濠の牧は大きいけどスリーも打てるし、僕と増田(大濠)は身体を張ってプレーする泥臭いタイプだし、うちのキャプテンの戸田と向こうのキャプテンの鳥羽も要所できっちり決めてくるところは同じだし。ほんと、似てるんですよ」

ただ1つ、違っていたのはチームとしての経験値。
「やっぱりこのメインコートでの経験は向こうが上、大舞台に慣れているというか、そういう差が最後に出たような気がします」
だが、戦いはまだ残っている。
「そうなんですよ。まだ明日3決があるわけで、そう思ったらうれしくて気持ちを切り替えられました。だいたいいつも結構ポンポン切り替えられるんですけどね(笑)今日、負けても泣かなかったのはまだ明日があるから。明日の試合が終わったら、もうほんとに最後で、絶対泣いちゃうだろうなぁと思うけど、今日は泣きません。4年前の先輩たちができなかった(3位決定戦で京北に敗退)ことをやり遂げて、3位になって泣く。明日はその予定でいます(笑)」

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「ここまで来れたのはみんなの気持ちが同じ方向を向いていたから」(キャプテン・戸田貫太)

近藤コーチに「やんちゃ坊主」と言われた青木だが、彼のほかにも市立船橋には「杉田涼とか平良彰吾とかやんちゃ坊主がそろっている」(近藤コーチ)らしい。それを1つにまとめてきたのはキャプテンの戸田貫太だ。
「本当にすばらしいキャプテンシーの持ち主です。学業も優秀で成績はオール5。自分もチームもしっかりコントロールできる、チームになくてはならない存在ですね。ある意味、個性豊かなメンバーをここまで育ててくれたのは彼だったと思っています」(近藤コーチ)
その戸田は3日前から胃腸炎に苦しみ、食事を摂るのもままならない状態にあった。だが、薬を飲みながらいつもと同じくスタートからコートに立った。準決勝では16得点、10リバウンド。中でも印象的だったのは残り1分47秒に決めた3P。これまで3Pはあまり得意としない印象だっただけに3点差に迫ったこの1本に戸田のキャプテンとしての執念を感じた。
141229d「たしかに3Pは普段あまり打たないので、相手も自分が打つとは思ってなかったかもしれません。だけど、(3Pの)練習はしてきたわけだし、最後の大会だから思い切っていこうという気持ちもありました。応援の声がベンチのみんなが背中を押してくれたように思います」
キャプテンとして1年間牽引してきたチームは「わがままなやつが多くて苦労しました。1回言っただけじゃなかなか言うことを聞かない(笑)たとえば練習中に、今日の指示はこうだからこうした方がいいよと言っても、いや、こっちの方がいいんだよと勝手なことを言う。それをまた何度も根気よく繰り返すというか…ほんとに大変でした。でも、それを続けてこれたのはバスケットに対する気持ちはみんな一緒だということがわかっていたからです。自分たちはベスト8やベスト4の他のチームに比べたら身体能力も低いし、タレントがいるわけじゃありません。その分、1人ひとりが強い気持ちを持って、同じバスケットを目指してやらないと勝てなかった。今回ここまで来れたのは、やっぱりみんなの気持ちが1つになって同じ方向を向いていたからだと思います」

ファイナル4のチームとして立ったメインコートは最高の場所だった。
「自分たちは今までインターハイでも国体でもベスト16で終わってきたけど、最後の4つに残る力があったんだと、それを噛み締められたというか」
体調はまだ万全とは言えない。摂れる食事量は通常の半分以下でコートで息切れすることもあるという。
「でも、明日は最後の試合ですから思い切ってやるだけです。最後に勝って終われるのは優勝チームと3位のチームだけなんですよね。だから勝って終わりたいんです。個性派揃いのチームをまとめるのには苦労したけど、みんなの気持ちが1つにまとまった時、うちは本当に強いチームになります。明日は全員で市船のバスケットをやり抜くだけ、最後はみんなで笑いたいです」

ウインターカップ2014 特設サイト

松原 貴実