前向きな2勝目!残る山梨ホームゲームは4試合(山梨クィーンビーズ#8金原 沙織選手)

接戦を制し、2勝目を挙げた山梨クィーンビーズ

接戦を制し、2勝目を挙げた山梨クィーンビーズ

3月3日はひな祭り。しかし端午の節句とは違って祝日にはならず、普通に平日、月曜日。15時開始という観客ターゲットが定まらないマンデーゲームであったが、コートサイドは賑わいを見せ、両チームの応援団が声援を送り、そして何よりもメディアが通常のレギュラーシーズン以上に多くいたことに驚かされた。さらには日本代表の内海知秀HCまでが見守り、少ないながらもいろんな目に触れられながら行われた山梨クィーンビーズ vs アイシンAWウィングス戦は、思わぬ接戦となる。

公平な立場で戦況を見守らねばならない立場ではあるが、ふと「山梨が2勝目を挙げる瞬間を見たい」という気持ちに傾いてしまったことは認める。2月1日に同じく代々木第二体育館で見たトヨタ紡織サンシャインラビッツ戦は惜しくも2点差で敗れ、オールジャパンでは大学生が相手とはいえ勝利した試合を目の当たりにしており、リーグ戦では勝てない山梨が必死にがんばっている姿に感情移入してしまっている自分がいた。

平均身長170cmを下回るチームが挙げた3シーズン振りの2勝目

46-42で迎えた4Q。4点リードする山梨のロスターは11人。しかし、実働7人で回すのは、今シーズンより指揮を執る林 永甫HC。ゆえに良い試合をしても、後半に失速してしまうにようにも映る。平均身長169.7cmは、リーグで一番小さなチーム。対するアイシンAWには、183cmの諏訪 裕美や181cmの濱口 京子がゴール下に君臨する。40分間コートに立ち続けた山梨のセンター畑中 美保は177cmしかなく、どのポジションも体格差が生じ、体力は奪われる。それでもチーム全員でボックスアウトをし、ボールに食らいつく姿勢を見ていると、ついつい荷担したくなってしまうのだ。

リードを守りながら残り時間を減らしたい山梨。見ているこちらも、ドキドキさせられ気が気でない。あらら、アイシンAWのフルコートプレスディフェンスにつかまり、イージーミスから相手にボールが渡ってしまった。そのミスから瀧井 亜里沙に2連続3Pシュートを許してしまい60-57、3点差まで迫ってきたアイシンAW。残り時間は2’30しかない。身長差で劣る山梨だが、オフェンスリバウンドにしっかり絡んだことでフリースローをもらい、リードをキープ。残り32秒、ここでもアイシンAWの佐藤 朱華が3Pシュートを決め、64-60。綱渡りのような心臓に悪い試合にも、ようやく安堵の時がやって来た。ファウルゲームでさらに1点を追加した山梨が、65-60で何とか逃げ切り、2勝目を挙げたのである。

1リーグ制となった昨シーズンは1勝も挙げることができずに終わり、0勝22敗。W1リーグ最後の2011-2012シーズンでさえ1勝15敗だったので、リーグ戦で2勝目を挙げたのは実に3シーズン振り(2010-2011シーズンは6勝10敗)となる貴重な勝利の瞬間に立ち会うことができた。

(右)林 永甫HC、(左)#8金原 沙織選手

(右)林 永甫HC、(左)#8金原 沙織選手

怒れる林先生との深い絆

「(12月22日○62-53 羽田ヴィッキーズ戦で)1勝してからずっと勝てない試合が続いていて、チームとしてもずっと苦しい状態でした。今日は練習して来たことがしっかり出せて勝つことができ、みんなで喜びました。ロッカールームでは監督に対しても、チームメイトに対しても、お互いに『ありがとう』という言葉が飛び交っていました」
副キャプテンの金原 沙織が、久しぶりに勝利した心境を、言葉を選びながらゆっくりと噛みしめるように応えてくれた。
しかし、この試合での金原自身の出来には満足していない。林HCからもコートサイドから怒鳴られるシーンが何度も見られる試合でもあった。
「それでも今日は、怒られながらも先生とはうまくコミュニケーションが取れていました」
コート内が落ち着き、そして選手それぞれが役割を果たしたことでつかんだ2勝目である。

選手たちが先生と呼ぶ林HC。エイトクロス・オフェンスを築き上げ、女子韓国代表のヘッドコーチとして世界選手権ブラジル大会ベスト4となり、その後、日本にやって来てJALラビッツでオールジャパン優勝。日本と韓国、そして世界で成績を残してきた名伯楽。コートサイドから選手たちに檄を飛ばすその姿は、御年80歳とは思えない。バスケットに傾ける情熱と愛情を、余すことなく山梨に注いでいる。
「林先生は本当に怒ると恐いですが、根に愛があると言いますか…指導にも愛があります。まだ1年も経っていませんが日々、先生のバスケットが好きになっていますし、先生のことも好きなっています。それがチームとしても良い雰囲気になっているんだと思います」
林HCとの信頼関係が日に日に強い絆となっており、金原は「先生は偉大だなぁ」とも話していた。
しかしながら、山梨は今シーズンでWJBLの舞台から去ることが決まってもいる。

最後に何かを残して終わろう!山梨は最後まで日々成長し続ける

昨年10月。協力スポンサーであるルネサス エレクトロニクス(株)の事業再編により、活動拠点の体育館が使用できなるなど来シーズンの運営面での解決策が困難となり、早々に来シーズンのWJBL参戦を見送ることを発表した。しかしながら、「企業支援を主体とした運営体質から脱却し、行政、スポンサー、ファンの三者の支援による真のクラブチームとしての運営体制を確立する必要がある」とも正式文章で芦沢 薫 代表理事が記すように、来シーズンは生まれ変わるための準備期間とも取れる。
存続を求める署名活動が行われ、3万5566人が賛同してくれた。そして、林HCに鍛えられながらチームは日々成長しており、その成果は試合を見れば一目瞭然である。

負け続けていても、チーム存続が危ぶまれる中でも、チームは常に前だけを向いてきた。金原は言う。
「今日のゲームも、羽田戦での1勝も、コートに立つ5人全員が役割を果たし、リバウンドと得点とディフェンスのそれぞれをみんなが安定して仕事をきっちりできたことが勝因です。まずはチームとして勝つためにも、一人ひとりの仕事をいかに安定して全うできるかが大事だということは常に話して来ました」

3月いっぱいでWJBLレギュラーシーズンは終わる。上位4チームがプレイオフに進むが、2勝しか挙げられていない山梨は今月でその活動に終止符を打つことになる。しかし、幸いにも残る6試合中4試合がホーム山梨での開催だ。
「自分の役割を果たすことを精一杯やっていくことが大切です。ファンの方たちや自分たちのためにも、最後に何かを残して終わろうということを目標にして、一つでも多く勝てるように戦っています。このチームで何かを残すためにも、勝っても負けても見ている人が『おもしろい』と言ってもらえるようなバスケットをして終われるようにしたいです」
けっして多くはないが、2014年に入ってから山梨戦を4試合見ており、いずれの試合もおもしろかった。
だからこそ、林HCとともにせっかく積み上げ、成長過程にある山梨の活動が止まってしまうのは実にもったいないとも感じている。2015-2016シーズンに再びWJBLに参戦できることを願うばかりだ。

泣いても笑っても、今シーズンは残り6試合。ぜひとも山梨県の方々も、最後はクィーンビーズとともに戦っていただきたい。会場に行けなくても、タイミング良く3月16日より「WJBL CHANNEL」にてネット配信がスタートする。常に前向きに戦い、そして最後まで続く山梨の成長をお見逃しなく!

身長差があってもボールに食らいつくのが山梨スタイル

身長差があってもボールに食らいつくのが山梨スタイル

WJBL
インターネット動画配信サイト WJBL CHANNEL
山梨クィーンビーズ
【重要】第16回 Wリーグ(2014)参戦見送りについて
山梨QB存続を求める要望署名活動の件
山梨QB存続を求める署名 3万5566人に!

泉 誠一