ルーキーから入るWJBL観戦のススメ

毎年7月に行われて来たWリーグ サマーキャンプだが、今年は8月29日〜9月1日に実施。世界選手権を控える女子日本代表がヨーロッパ遠征のため、各チームの主力選手が留守にする中、控え選手やルーキーたちにチャンスが与えられた。実戦を通じて課題を明確にし、それらを克服すれば勝利につながるという自信も得られたはずだ。山梨クィーンビーズが抜けて11チーム編成となったことにより、5〜6試合と試合数の違いはあったが各チームの戦績は以下の通り。

  • シャンソン化粧品シャンソンVマジック(5勝)
  • トヨタ自動車アンテロープス(5勝)
  • アイシンAWウィングス(4勝1敗)
  • JX-ENEOSサンフラワーズ(4勝1敗)
  • デンソーアイリス(3勝2敗)
  • 三菱電機コアラーズ(3勝3敗)
  • 富士通レッドウェーブ(3勝3敗)
  • 日立ハイテククーガーズ(2勝4敗)
  • 新潟アルビレックスBBラビッツ(1勝5敗)
  • 羽田ヴィッキーズ(5敗)
  • トヨタ紡織サンシャインラビッツ(6敗)

世界4位になったルーキーたち

10月31日に開幕する新シーズンへ向けて、初めてWJBLのレベルを肌で感じたルーキーたち。今年は29名の新卒選手たちを迎え入れた。昨年末のウィンターカップを賑わせた高卒ルーキーは12名。2012年U-17世界選手権において、日本代表として最高位となる4位の好成績を残した世代だ。その時のU-17日本代表12名中6名が今春に高校を卒業し、5名がWJBLに進んだ。

馬瓜 エブリン選手(アイシンAW)
永井 菜摘選手(富士通)
山田 愛選手、宮崎 早織選手(JX-ENEOS)
井澗 絢音選手(シャンソン)

サマーキャンプで早くも存在感あるプレイを見せており、開幕が待ち遠しい。すでに世界での実績ある選手たちは、上位チームからの誘いを受けた。しかし馬瓜選手は、昨シーズン9位のアイシンAWを選ぶ。その理由は実に明快である。
「髙田(真希)選手がデンソーを選んだ理由として、『どうせやるんだったら強い相手を倒す方が楽しい』という話を聞いたことがあります。もちろん常に優勝争いできるチームも楽しいですが、でも強いチームに向かって行く方がもっと楽しい」
女王JX-ENEOSとの対戦は無かったが、昨シーズン7位のトヨタ紡織戦で馬瓜選手は28点を挙げ、8位新潟戦は88-56と快勝。アイシンAWには高校2年まで桜花学園のコーチだった諏訪 裕美選手がいる。さらに高校時代のチームメイトの酒井 彩等選手がおり、2年前のインカレを制した奥原 左智選手(大阪体育大学)が加入したアイシンAW。新たに李 玉慈ヘッドコートを迎え、厳しい練習を積んでいる。サマーキャンプではシャンソン戦(75-83)しかなかったが、昨シーズン上位6チームとの対戦が楽しみである。

世界4位になったルーキーたち

世界4位になったルーキーたち

もうバスケは辞めるつもりでした(デンソー#7本多 真実選手)

高校時代にリクルートされながらも大学の道を選んだ選手たちが、4年間の時を経てトップリーグへ挑む。17名の大卒ルーキーは即戦力としての期待も高い。

昨シーズン、初めてファイナルまで辿り着いたデンソーは、本多 真実選手(早稲田大学)と加藤 瑠倭選手(聖カタリナ女子高校)を獲得。サマーキャンプでの5試合中、約46分の加藤選手に対し本多選手は約103分と倍以上のプレイタイムを与えられた。
「積極的にドライブは狙うようにしていましたが、ゴール下のところでパワー負けしてしまうので、最後のシュートまで行くことがなかなか難しい状況です」
持ち前のドライブで勝負するが、ディフェンスの対応の早さやプレッシャーの激しさなど大学バスケとの違いを実感。選択を誤れば、ベンチから小嶋 裕二三ヘッドコーチの容赦ない檄が飛ぶ。
「今まで以上に細かいところまで指摘されるので、それを一つずつクリアしていかないといけません。デンソーはディフェンスのチーム、1日も早くディフェンスで貢献できるようになりたいです」
大学時代の本多選手の印象からWJBLに進むとは思わなかったと、率直に質問をしてみる。
「正直に言うと最後の最後まで悩んでいました。普通に就活もしていて、もうバスケは辞めるつもりでした。でも、ユニバーシアード(2013年)で世界を経験させてもらったことを機に、もっとできるという思いとともに課題もたくさん見つかりました。続けられる道があるのにここで辞めてはいけない、と感じてデンソー入りを決めました」
有望な選手がトップリーグへ進み、まだまだその成長を見られることが何よりもうれしい。バスケを続けるからには掲げる目標も高い。
「日本代表が目標であり、大卒で活躍する伊集(南)選手(デンソー)や栗原(三佳)選手(トヨタ)に続けるようになりたいです」

「1日も早くディフェンスで貢献できるようになりたい」デンソー#7本多 真実選手

「1日も早くディフェンスで貢献できるようになりたい」デンソー#7本多 真実選手

全てのプレイに対して全力で当たらないとダメ(富士通#11篠崎 澪選手)

昨年のインカレチャンピオン(大学日本一)である松蔭大学から富士通に入った篠崎 澪選手。167cmと小柄ながらも、その得点力は折り紙つき。サマーキャンプでは先発で起用された5試合全てで二桁得点。新潟戦では3PT5本を沈め、23得点を挙げた。
「ドライブで切っていくプレイは通用すると感じましたが、ブロックされてしまうこともあったので、シュートセレクションはもっと考えて練習しなければいけないです」
大学バスケとWJBLの決定的な違いも感じ取ることができた。
「体の当たりの強さが全然違います。大学であれば向かって来られてもある程度の力で押し切ることができましたが、WJBLは全てのプレイに対して全力で当たらないとダメだと思わされています。スクリーンのかけ方ひとつにしても簡単にはいきません。体格差だけではなく、上手さもやっぱり違います」
WJBLで活躍するためには、まずは富士通のシステムを把握する必要が先決。篠崎選手は頻繁に町田 瑠唯選手や同じくルーキーの永井 菜摘選手など、PG陣と確認し合うシーンが多く見られた。
「動いて欲しいところを共有したり、ミスを謝ったりしながらマークの確認についてなど話すことは多いです」
コミュニケーションを取りながら、チームに溶け込み始めたばかりの篠崎選手。昨年のインカレチャンピオンは、WJBLでも最高の気分を味わいたい。
「チームの目標が優勝ですし、やるからにはやっぱり勝ちたいです。優勝もそうですが、まずは目の前の試合を一つひとつ勝っていきたいという気持ちの方が強いです」

「チームの目標が優勝ですし、やるからにはやっぱり勝ちたい」富士通#11篠崎 澪選手

「チームの目標が優勝ですし、やるからにはやっぱり勝ちたい」富士通#11篠崎 澪選手

さほど強く無かったチームを勝てるチームにして来た経験ばかり(羽田#15落合 里泉選手)

昨シーズンは12チーム中11位の羽田に、勝つことしか知らない4人のルーキーがやって来た。安江 舞選手(愛知学泉大学)、瀬崎 理奈選手(拓殖大学)、落合 里泉選手(白鴎大学)、金本 望選手(大阪体育大学)は、各地区リーグでの優勝経験があり、インカレでも常に上位を争う強豪校出身ばかり。
「このチームを強くするために来たので、1年目だからとか関係なくどんどん底上げして行ってチームを変えて行こうといつも話しています」
そう話すのは、PGとしてすでにチームを引っ張る落合選手。ルーキー4人のガールズトークの話題は、いつもバスケ。
「4人とも本当にバスケが大好きで、集まったらバスケの話しかしません。本当にバスケの話しかしてないですね(笑)。まだまだ成長段階のチームであり、負け続けていることで難しい部分もあるとは思いますが、それでも挫けずに上を目指していきたいです。私たちはインカレやリーグ戦で優勝したり、勝った経験しかないので苦しいとは思いますが、成長できる良いチャンスでもあるのでみんなでがんばろう、チームを変えて行こう、強くしようという話をいつもしています」
3〜4年時に関東大学1部リーグを連覇した白鴎大学出身の落合選手ゆえ、羽田以外からのオファーもあったそうだ。
「これまでのバスケット人生を振り返ってみると、さほど強く無かったチームを勝てるチームにして来た経験ばかりです。白鴎大学も1年の時はさほど強く無く4年間をかけて強くしたわけで、私にはそれが合っているのかなとすごく思いました。星澤先生も良い監督ですし、同期も多く、これから強くなるのではないかと思って羽田に決めました」
高い志を持ち、WJBLへ挑む。その先には明るい野望を抱いている。
「下位だったチームをどんどん強くしていきたいし、WJBL全体を底上げしていくことで日本代表も強くなるのではないかな、とも思っています。そう考えているだけで、まだ何もできていませんけどね。日本が世界で勝つためにみんなでレベルアップし、そしてバスケがもっとメジャーになってテレビ放送されるようになって欲しいです」

すでにチームの輪の中心にいる羽田#15落合 里泉選手

すでにチームの輪の中心にいる羽田#15落合 里泉選手

大会期間が重なったため、世界選手権とアジア競技大会には2つのチームを作って臨む女子日本代表。どちらのチームを見ても、頼もしい選手ばかりが揃っている。43年振りにアジアチャンピオンになり、常に世界と戦っている女子バスケ選手たちは粒ぞろいであり、意識は高い。
試合を観ていても、ルーズボールやリバウンド争いの激しさやゴールへ向かうアグレッシブさは男子を上回っており、ダイナミックだ。
なかなか表立ったPRをしていないWJBLだけに、観戦したことが無いという方も多いことだろう。
これから始まる世界選手権とアジア競技大会での活躍は目に触れる機会も多くなり、きっとWJBLを観たくなるはずだ。
リセットされる新シーズン開幕が初めてWJBLを観戦するきっかけであるとともに、ルーキーたちと一緒にWJBLの世界に入ることをオススメしたい。
29名全ての新人選手アンケートがWJBLオフィシャルサイトに掲載されているので要チェック。
WJBLは10月31日より開幕。世界と戦う女子バスケを楽しもう!

  • 10/31(金)
    19:00 トヨタ vs JX-ENEOS@代々木第二体育館
  • 11/1(土)
    13:00 羽田 vs デンソー@秋田県立体育館
    14:00 富士通 vs シャンソン@三種町琴丘総合体育館
    14:00 日立ハイテク vs トヨタ紡織@横手市増田体育館
    15:00 新潟 vs 三菱電機@秋田県立体育館
    15:00 JX-ENEOS vs アイシンAW@成田市中台体育館
  • 11/2(日)
    13:00 トヨタ紡織 vs 富士通@秋田県立体育館
    14:00 デンソー vs 新潟@潟上市天王総合体育館
    14:00 三菱電機 vs 羽田@横手市増田体育館
    15:00 シャンソン vs 日立ハイテク@秋田県立体育館

WJBL

泉 誠一