11.5%の確率に挑む2チーム(WJBLプレイオフ セミファイナル)

先勝方式のプレイオフにおいて、先手を取った方が勝つ可能性はきわめて高い。
WJBL公式サイトにアーカイブされている2000-2001シーズンからのプレイオフ結果を振り返ってみると、初戦で敗れたチームが制した確率は15.3%。ファイナル+セミファイナル=合計39回(※セミファイナルは2001-2002シーズンより導入。2010-2011シーズンのファイナルは東日本大震災により中止)行われ、ともに3回ずつ計6回しかない。5戦3先勝方式のファイナルであれば、巻き返せるだけの試合数はあるだろう。しかし、3戦2先勝方式のセミファイナルは、1度負ければ後がなくなる。

3Q、#15山本千夏選手の3Pシュートでリードを広げる

3Q、#15山本千夏選手の3Pシュートでリードを広げる

富士通が7シーズンぶりのファイナルに王手をかける

2位デンソーアイリス vs 3位富士通レッドウェーブはともに24勝6敗同士であり、実力伯仲同士の好カード。富士通はリーグ2位の3Pシュート成功率36.0%を誇る(1位シャンソン化粧品シャンソンVマジック36.2%)。しかし、デンソーとの直接対決においては、23%とガクンと落ち込む。

17ー17、同点で終えた前半、富士通の3Pシュート率は3/11本(27.3%)と確率は低かった。直接対決の結果は2勝1敗でデンソーが上回っている。レギュラーシーズン通りの結果に落ち着くのかと思われた後半、富士通らしさが爆発する。
#15山本千夏選手、#11篠崎 澪選手が次々と3Pシュートを沈め、確率を上げていく。3度の対戦で平均20.3点を奪われたデンソー#8髙田 真希選手に対し、#0長岡 萌映子選手が何度もブロックショットで攻撃の芽を摘み、逆に速攻を出して点差を引き離す。ゾーンディフェンスに攻め手を欠いたデンソーは、思うように得点を挙げられず、68-59で富士通が勝利し先手を取った。

デンソー#14大庭 久美子選手

デンソー#14大庭 久美子選手

162cmの#10町田瑠唯選手は強気なドライブなどで17点を挙げ、さらに11リバウンドのWダブル。それぞれ3本の3Pシュートを決めた篠崎選手は15点、山本選手は12点。さらに#0長岡選手は11点/4ブロックとスターター4人が二桁得点。インサイドの#12篠原 恵選手は効果的なオフェンスリバウンドを拾ってチャンスを広げ、7得点を挙げている。若い選手たちの活躍でファイナルへ王手をかけた富士通は、終始笑顔だった。

敗れたデンソーだが、昨シーズンも同じ状況に立たされながらもファイナルへ進んでいる。この状況はすでに経験済みだ。
「後半の出だしで、自分たちのオフェンスミスから相手の早い展開と外からのシュートでやられてしまいました。ディフェンスでのピックアップができてなかった部分と、後半のゾーンオフェンスに対してフォワードの足が止まってしまっていました。前半は自分の3Pシュートが当たった分、自分自身も少し足が止まってしまった部分があったので、そこはしっかり明日に向けて修正しなければいけません」
記者会見で敗因を話すのは、シーズン中、ケガに見舞われ、ようやく調子を上げてきた#14大庭 久美子選手だ。富士通に引き離された3Qは、ベンチでその戦況を見ていた。
「もう一本でも外からのシュートが決まると、もう少しインサイドでのプレイも強くできると思っていました。でも、自分が出た時も、外を狙いすぎた部分がありました。アウトサイドシュートを狙うことも大事ですが、もっと縦に切れ込んでいくことが足りなかったかなと思います」
昨シーズンと同じ状況になり、経験があることで落ち着いて次戦を迎えられるかどうか伺ってみた。
「やっぱり1戦目が大事です。今日負けたことは大きいですが、昨シーズンも2戦目、3戦目を勝ちきってファイナルに行けましたので、もう一回しっかり気持ちを切り替えて、強い気持ちで臨みたいです」

17点、11リバウンド、7アシストを挙げた#10町田瑠唯選手

17点、11リバウンド、7アシストを挙げた#10町田瑠唯選手

  • 第1戦:富士通(1勝)○68-59●デンソー(1敗)
  • 第2戦:3月22日(日)13:00 デンソー vs 富士通
  • 第3戦:3月24日(火)17:00 デンソー vs 富士通(※)
    ※セミファイナルは3戦2先勝方式のため、第3戦は試合が行われない場合があります。
      第3戦がどちらか1試合の場合は19:00開始となります。
4点に終わったトヨタ#24栗原三佳選手(右)、対するJX-ENEOS#52宮澤夕貴選手(左)は16点を挙げ、フォワード(3番)が定着

4点に終わったトヨタ#24栗原三佳選手(右)、対するJX-ENEOS#52宮澤夕貴選手(左)は16点を挙げ、フォワード(3番)が定着

JX-ENEOS圧勝に、開き直って第2戦に臨むトヨタ

7連覇を目指す女王JX-ENEOSサンフラワーズが一気に点差を開き、圧勝した第1戦。4位トヨタ自動車アンテロープスは何もできないまま、前半で42-18と24点差をつけられる。JX-ENEOSの攻撃の起点となる#12吉田 亜沙美選手の出場時間は14分ながら、10アシストでチームを勢いづけた。#10渡嘉敷 来夢選手(23点/10リバウンド)、#21間宮佑圭選手(14点/10リバウンド)のツインタワーがともにWダブルをマーク。ベンチに下がった主力選手たちが立ち上がって盛り上げるお祭り騒ぎのまま、83-55でトヨタを圧倒した。

10本のアシストを決め、チJX-ENEOSの起点となる#12吉田亜沙美選手

10本のアシストを決め、JX-ENEOSの起点となる#12吉田亜沙美選手

「これだけ点差が開いてしまったので、逆にみんな開き直れたんじゃないかなと思います」
後藤 敏博HCが期待するスプラッシュシスターズの一人、#24栗原 三佳選手(他に#2川原 麻耶選手と#20近藤 楓選手)は敗戦を引きずることなく敗因を語ってくれた。
「トヨタはチームプレイが売りですが、今日は個々でやろうとしてしまい、バラバラになったことでオフェンスでのリズムが取れなかったという感じがありました」
前半のシュートアテンプトは、JX-ENEOSの29本に対し、トヨタは30本と上回っていた。しかし成功したのは、たった7本のみ(JX-ENEOSは16本)であり、リズムをつかめず。守っては190cmの#10天津 希選手を起用し、ゾーンディフェンスを敷くも一向にJX-ENEOSの勢いを押さえることができなかった。
「ボールマンが吉田(亜沙美)さんのマークを放してしまうと、すぐに良いパスがピンポイントで来るので、そこを全員で守ろうという意識はあったのですが、今日は高さのところとともに絞り切れていない部分があったのだと思います」
ルーキー#7水島 沙紀選手(11点)と近藤選手(10点)が2桁得点を挙げている。3年目の栗原選手も含め、若い選手たちの力でチームを変えてもらいたい。
「1年目、2年目はベテラン選手が多かった分、甘えていた部分もありました。今年は池田(麻美)さんも引退したことで、私もやらなければないと心の中にはあります。後藤さんにもそれは求められていると思うので、しっかり自覚していきたいです。水島と近藤のルーキーが積極的に攻めるとチームも盛り上がるので、今日のようにがんばってもらい、それと一緒に私たちもがんばります」

  • 第1戦:JX-ENEOS(1勝)○83-55●トヨタ自動車(1敗)
  • 第2戦:3月22日(日)15:00 JX-ENEOS vs トヨタ自動車
  • 第3戦:3月24日(火)19:00 JX-ENEOS vs トヨタ自動車(※)
    ※セミファイナルは3戦2先勝方式のため、第3戦は試合が行われない場合があります。
     第3戦がどちらか1試合の場合は19:00開始となります。
JX-ENEOSベンチ

JX-ENEOSベンチ

11.5%の低い勝率だが──

過去のセミファイナルの結果だけを見れば、初戦で敗れたチームがファイナルへ進んだ勝率は11.5%とさらに低くなる。26回中3回しかない希な状況だ。しかし、2戦目以降で巻き返した成功例は、実は過去4年間に集中している。2011年トヨタ、2012年JX-ENEOS(当時JX)、そして昨シーズン(2014年)のデンソーが、第2戦と第3戦を連勝してセミファイナルを突破した。
先手を取って精神的に余裕を得た勝者たち。だが、がけっぷちに立たされたチームだからこそ、強い気持ちで挑めば道は拓かれる。世界と戦う女子選手たちは、それだけの強い心と高い技術を持ち合わせているはずだ。
第2戦も代々木第二体育館で開催され、NHK BS1で生中継される。負けられないプレイオフをお見逃しなく!

WJBL

泉 誠一