• HOME
  • report
  • AKATSUKI FIVE
  • うまくいく方が少なく、多くの失敗をして学びながら人が人を育むコーチ業(日本代表元ヘッドコーチ 長谷川 健志氏)

うまくいく方が少なく、多くの失敗をして学びながら人が人を育むコーチ業(日本代表元ヘッドコーチ 長谷川 健志氏)

自らの意見を伝えるとともに人の話を聞くことが『コミュニケーション力』であり、リーダーシップには重要となると長谷川健志氏は話されていた。それは、リーダーとなるヘッドコーチこそ備えておくべきスキルでもある。最終回はコーチ業に大切なものとともに、読書家である長谷川氏にオススメの本を紹介していただいた。

コーチが身につけるべきスキル=『コミュニケーション力』

コーチとして一番必要であり、大切なのはコミュニケーション力です。マネジメントも必要ですが、それは他の人でもやってくれます。選手に向き合いながら、チーム間のコミュニケーションを図ることはすごく必要になってきます。特に日本代表は活動期間が短いです。青山学院大学時代は常に一緒におり、積み上げてきた伝統があるので、そこまで余計なことを言わなくてもできてしまう部分は多々ありました。

日本代表として、新たなチームを作るとなったときにまず考えたのは、自分がどういう人なのか、どんな考えを持っているかを選手に分かってもらわなければコミュニケーションにもならないということです。だからフィロソフィーを掲げ、選手が上手くなるための道標を示して伝えました。どんなチームが強いかを考えたときに、選手一人ひとりがチームであるという考えを持っています。

若い指導者の方は、学ぶというと技術のことになってしまいがちです。

バスケットの指導者は、異業種の方と知り合う機会がなかなかない場合が多いです。だからこそリーダーシップやマネジメントなど、いろんなことを学ばないといけないと思います。技術だけを学ぶことが良いコーチになるになるわけではありません。もっといろんなことを知って、いろんな人と話してコミュニケーションを学ばなければいけないですし、リーダーシップやマネジメントを学ぶ必要があります。そこで学んだことを実戦で試しいく。そのサイクルです。

学びが全て技術になってしまいがちですが、コーチは人が人を育てる難しい立場でもあります。そんな中、うまくいくことの方が少ないかもしれません。コーチは技術以上に、コミュニケーションを取るための方法をもっともっと重要視された方が良いと思います。だから、コーチライセンス制度も良いですし、技術の指導も良いですが、どうやって人を育てるかも一緒に考えて欲しいです。これには正解がありません。正解がないからこそ難しいです。それも失敗しなければ分からないことが多いです。私もいろんな失敗をしてきて、今があります。もっと若いうちに学んで実戦した方が、早く良い経験につながっていくと思います。

「観察」と「指導」そのバランスやタイミング

教えること=指導するになってしまうと、全部がコーチ側から行動を起こして与えるだけになってしまいます。でも、コーチが人を育てて、選手を上達させるためには、やっぱり観察力も大事になります。それがないと指導者としては選手を育てられません。ちょっと我慢をして、観察をするときも必要です。観察と指導するときのバランスやタイミングだと思います。同じ指導をしていても、そのタイミングや伝える言葉によって選手たちの受け取り方も全然違ってきます。そこにコミュニケーションをプラスさせることで、映像や客観的なデータなど付随した資料が基づいてきます。そうやってチームは作り上げていくものだと思っています。

ーー読書家でもありますが、リーダーシップやキャプテンシーを養うためにオススメの本はありますか?

私が皆さんに勧めているのは葉室麟(はむろりん)という作家です。九州出身の方で、江戸時代中期以降の九州の大名などを中心にした人をターゲットにして、一人の人物を追いかけながら物語を作っています。何かのインタビューで、写真や絵など目に見えるモノに対する感動に対し、人を対象とした時は何に感動するかと言えば、「人の生き様は覚悟と心延え」だと言ってました。

日本の歴史の中で教科書に出てくるような人ではなくても、いろんなところに歴史を作ってきた人がいて、自分の中の正義がきちんとあります。組織のために何をするかをきちんと考えて行動していました。昔というのもあるせいか、余計のことは言わずに行動で何かを起こすという登場人物が多く、それは女性であっても同じ描かれ方をしています。全てがその人の生き様にフォーカスし、覚悟と心延えを物語にした小説が一番好きです。

日本代表がさらに強くなるためには?

個の力と経験の二つが大きかったです。経験は私も含めてそうです。目標設定を定めた結果、OQTへ出場でき、初めて世界のチームとの真剣勝負をし、そこで初めて負けて、そのギャップが分かるわけです。ギャップが分からないと何を努力すれば良いのか、どうすれば良いかとも思わないです。ステップの一つにはなりました。では、ここから何をすれば良いかを考えられるところに日本代表もたどり着いたわけです。その上での努力や創意工夫が必要になってきます。簡単にその差を埋められるものではないかもしれませんが、やり続けていかなければいけないことでもあると思っています。

文・泉 誠一 写真・三上 太

こちらもおすすめ

Top