「ポイントガードとしてコートに立てるなら、地を這ってでも勝利をつかみに行きたい」(日本代表候補 篠山竜青)

今月22日(対チャイニーズタイペイ・於日本)、25日(対フィリピン・於フィリピン)にて開催されるFIBA ASIAバスケットボールワールドカップ2019アジア地区第1次予選に向け、男子日本代表の第14次合宿が行われた。今回、代表選手候補に選出されたのは24名。その中にあった田臥勇太(栃木ブレックス)の名前は大きな話題を呼んだが、フリオ・ラマスヘッドコーチは「ガード陣にケガ人が多かったこともあり、最悪の状況を考慮して経験豊富な田臥選手を登録した。ただ彼はあくまで控えの1人であり、主力となるのはこれまで戦ってきた選手たちである」と、明言した。つまりはケガで出場を危ぶまれるメインガード富樫勇樹に代わってチームを牽引するのは、篠山竜青(川崎ブレイブサンダース)、橋本竜馬(シーホース三河)、宇都直輝(富山グラウジース)といった「これまでの選手」の公算が高いということだろう。昨年11月のアジア地区1次予選Window1でフィリピン、オーストラリアに敗れている日本にとって22日のチャイニーズタイペイ戦は是が非でも勝たなければならない重要な一戦。「まずは12人に残って、崖っぷちの日本を勝利に牽引したい」という篠山竜青に話を聞いた。

――今回の合宿ではケガ人の影響もあり、ややメンバーが入れ替わりました。練習ではどんな感想を持たれましたか?

新しく入ったメンバーについて言えば、西川(貴之・シーホース三河)や平岩(玄・東海大学)はすごくいいアピールができているなと感じました。元からいるメンバーも心機一転というか、前回(Window1)のときよりも向上しなければならないというポジティブないいエネルギーを持って練習に取り組めていると思います。

――スターターだった富樫勇樹選手のケガが思いのほか長引き、まだ練習に参加できない状況です。その中で自分がポイントガードとしてこれまで以上にやらなくてはならないという意識はありますか?

僕は富樫が練習に参加していたとしても、参加できなかったとしても、自分がやらなきちゃならないことは変わらないと思っています。今回は新しくエントリーされたポイントガードもいますし、その中でまずはしっかり自分の持ち味をアピールして12人に残ることが最低限クリアしなければならないことです。それをクリアするために全力を尽くすことだけを考えているので、(富樫選手の不在を)特に意識することはないですね。

――今、言われた『富樫選手がいる、いないに関わらず自分がやらなきゃいけない仕事』というのはどのようなことですか?

うーん、僕は先頭に立って力強いことばでみんなを引っ張っていくというよりは、みんなの手と手とを繋がせるとみたいな、それによってみんなを1つにまとめて強くて大きな塊にするみたいな、そういうことが得意だと思っています。なんていうか、そこが自分の長所だし、やるべき役目のような気がします。それはスタートで出ようと、ベンチから出ようと同じです。前は自分が出る場面というか、状況についてあれこれ考えたこともあるのですが、ユニバーシアード代表で戦ったときに最初はベンチスタートだったのが最後の方はスタメンになって、そのことを考え過ぎて空回りしてしまった経験があるんですね。逆に川崎ではずっとスタメンだったのが、代表戦のこともあり(藤井)祐眞がスタメンになり、自分はベンチスタートになった試合もいくつかあります。その違いを意識し過ぎてうまくいかなかったこともあるので、スタートとかベンチとか、明確な線引きをせずにコートに立つのが自分には合っているような気がします。どちらにせよハードなディフェンスから相手のミスを誘い、速い展開からイージーなシュートを演出するという自分の仕事、やるべきことは同じですから。大事なのはいつ出るかではなく、瞬時、瞬時の判断力、ゲームの流れを読んで、悪いときはどれだけ早く修正できるか、あるいはもっと勢いをつけられるかということだと思っています。

――フリオ・ラマスヘッドコーチから求められているのもそういうところでしょうか?

そうですね。激しさと状況判断だと思います。ポイントガードとしては決められたプレーを遂行する力が大事ですが、それと同時に決められたプレーをどう崩すかも大事になってきます。相手のディフェンスによってはセットプレーを無視して攻める必要も出てくるだろうし、相手のディフェンスを読んで、次のプレーを選択する状況判断が自分の武器だとも思っているので。そこはもっと磨いていきたいところです。

――ワールドカップ予選ではまだ勝ち星がなく、『崖っぷち』という声も聞かれます。危機感は感じていますか?

もちろん危機感はあります。けど、崖っぷちになればなるほど開き直って、その状況をどれだけポジティブな状況に変えられるか、自分は結構そういうタイプなので、「もうやるっきゃないでしょう」という感じです。性格的にもし自分だけで戦うのなら不利な状況であきらめてしまうこともあるかもしれませんが、バスケットは自分1人で戦うわけじゃないですからね。ファンの皆さんの大きな声援を聞いたり、コートでハッスルしている仲間の姿を見たりすると、ものすごくエネルギーが沸いてくるんです。人の思いを感じて、チームメイトの熱いプレーを見て、それを自分のエネルギーに変換するのは得意かもしれません。1人だったらあきらめがちなことも仲間と戦うことであきらめなくなるっていうか。つくづく個人競技じゃなくてよかったと思いますよ。ああバスケットでよかったなあって(笑)

――最後にこの日本代表チームの武器を教えてください。

武器がなんだというより、武器にしなくてはならないと思うのはプレーの遂行力だと思います。どんな状況でもチームでやると決めたことを40分間やり続ける。そのまじめさは日本人の特性でしょうし、その特性を生かし、たとえ地を這っても勝ちを取りに行く。僕はこのチームにそういうイメージを持っています。もし12人に残れたなら、僕も粘って粘って、地を這ってでも仲間と勝利をつかみに行きたいと思っています。

FIBAバスケットボールワールドカップ2019 アジア地区1次予選

文・松原貴実 写真・安井麻実