【女子アジアカップレポート】進化し続ける日本のシックスマン(予選ラウンド第3戦:日本●74-83○オーストラリア)

女子のアジアカップは3日目を迎え、予選ラウンドの最終戦がおこなわれた。日本の相手はオーストラリア。これまではオセアニアゾーンに属していたが、今大会から男女ともにオセアニアゾーンの国々がアジアゾーンに組み込まれることになり、今日の対戦となった。

オーストラリアといえば、昨年のリオデジャネイロ五輪で日本が37分間リードしながら、最後の最後でひっくり返され、“大金星”を逃した相手でもある。今大会のこれからを考えても、ここで勝って予選ラウンドを1位で通過すれば、決勝ラウンドで中国との対戦を回避できる。約1年越しのリベンジという意味でも、また今大会の3連覇を達成する意味でも、非常に重要な一戦だった。

結果はしかし【74-83】で敗戦。終盤こそ藤岡麻菜美の連続得点などで追い上げるシーンもあったが、ギアを入れ直したオーストラリアの攻撃を止め切れず、今大会の1敗目を喫した。

そんな敗戦の中で気づきを得た選手がいる。宮澤夕貴である。ベンチスタートながらチームトップの19得点をたたき出し、自分の役割だという3ポイントシュートも3本沈めている。ホーバスヘッドコーチも「やっと……やっと頑張ってくれた。でもあれくらいできる選手なんだ」と、愛弟子とも言うべき宮澤の出来にホッと胸をなで下ろした様子だった。

宮澤にその話を向けると、こう返ってきた。
「いつも、やろう、やろうとは思っているんですけど、ディフェンスが目の前にいると打たない場面が多くて……でも今日は打つと決めていました。1本目の3ポイントシュートは外れたけど、ディフェンスが目の前にいる状態で打って、それで“打てる”とわかったので、そこからは自信を持って打てるようになりました」

自信は彼女に積極性を与え、3ポイントシュートを狙うことで、ドライブからの得点にも結びつけていった。
予選ラウンドのなかでこうした気づきを得られる意味は大きい。特にシュートは感覚が重要なプレイであるだけに、これまでは「ディフェンスがいると打てない」と感じていた宮澤が、「ディフェンスがいても打てる」と自ら感じ取ったことは決勝ラウンドにつながるだろう。

また宮澤は今日の反省点として「簡単に自分のマークマンにシュートを打たれたこと」を挙げている。傍から見れば今大会の宮澤のディフェンスは安定しているようにも見える。それでも宮澤がそれを反省点に挙げるのはどういうことか。

「基本的には悪くないと思いますが、大事なところでポンと打たれてしまうんです。昨日の韓国戦でもターンシュートをやられてしまったり……これまでだったら気にならなかったところだけど、きちんとディフェンスができるようになった分、できないことが目立って、自分の中で『ああ……』と思ってしまうんです」
これもまた宮澤の成長の証と言えるだろう。これまで気づかなかったことに、ゲームを通して気づくことができるようになった。修正はけっして単純なことではないが、でも次に自分がすべきことはおのずとわかってくる。

今日の試合はリオデジャネイロ五輪の再戦となったわけだが、宮澤は今回の“リオからの残留組”のなかで唯一、五輪のオーストラリア戦に出場していない選手だ。それでも「リベンジの気持ちはありました。途中追い上げたときにイケるかなと思ったけど、そこでまた突き放されて……そこは悔しかったですね」と思えるのは、リオ五輪のチームが一体感を持っていたことと、宮澤自身がリオ五輪のときの自分とは異なると感じられているからだ。その後のWリーグやオールジャパン、代表合宿などを通じて着実に成長し、それをコートで表現できる喜びを彼女は今、得ている。

もしお互いに勝ち進めばオーストラリアとは決勝戦で3度目の対戦ができる。そこで勝つためのヒントを得たかと問うと、宮澤は「気持ちだ」と言う。
「後半はよかったと思うんです。トムさんもおっしゃっていましたけど、後半の日本の勢いを40分間通してできれば、オーストラリアも今日ほどのシュートは入らないと思います。日本のバスケットができれば勝てると思います」

40分間、日本の走るバスケットを展開できるか。それを支えるのは選手個々の気持ちであり、チーム全員の気持ちであると、宮澤は言うわけだ。
バスケットはスタメンの5人だけで戦う競技ではない。いかにベンチから出てくるシックスマンが力を発揮し、チームに勢いを与えられるかが重要になる。
敗戦のなかでさまざまなことに気付いた宮澤の進化は、決勝ラウンドでさらに花開くだろう。

FIBA 女子アジアカップ2017

文・写真 三上 太