JAPAN2024 TASKFORCE 川淵チェアマン記者会見

NBL代表者会議

NBL代表者会議

2014年2月12日(水)@東京都港区
FIBAタスクフォース「JAPAN 2024 TASKFORCE」設立から約2週間、川淵三郎チャマンがbjリーグ、およびNBLのチーム代表との意見交換を行い、それを受けての記者会見が行われた。リリースされていたこの日のスケジュールは以下の通り。
(1)13時半~14時半    bjリーグ代表者会議(冒頭のみ公開)
(2)14時半~15時半    NBL代表者会議(冒頭のみ公開)
(3)15時半~16時    記者会見
ところが、冒頭のみ公開のはずだった会議はすべてメディアの前で行われ、川淵チェアマンがリーダーシップを発揮して会議をリードした。「この機会になんでもどうぞ」と意見を求めつつ、現時点(私案も含めて)での新リーグ構想を次々に伝えていく、そんな印象だ。
例えば、
・5000人規模のホームアリーナ
・サラリーキャップの撤廃と最低年棒の設定(私案として1,000万円)
・企業チームの独立法人化
・1部リーグ12~20チーム、2部16~24チーム(その下に地域リーグ)
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今後、「4月初旬にリーグを統括する社団法人を設立し、5月に参加チームの選定を行う」といった具体的なスケジュールが発表されるなど、タスクフォースが果たすべき役割・責任、目指すべき方向性が明確化。「リオ五輪の予選には(制裁解除を)間に合わせなければならない」という川淵チェアマンの、リーグ統一に向けた決意と行動力を示す記者会見となった。
リーグ統合、ガバナンス、代表強化という3つのテーマを並行して話し合うタスクフォースの次回会合は3月4日(水)。
ここでの決議が、将来にわたって日本のバスケットファミリーのよりどころとなりそうだ。

次号(3月18日発売予定)「タスクフォース特集」へ向け、皆さんが考える発展的な日本バスケに対するアイディアを募集中。
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川淵三郎チェアマン 記者会見全文

今日はお忙しい中、多くのマスコミのみなさんにお集まりいただきまして、本当にありがとうございます。バスケットボールの問題に関わってから、いかにバスケットボールの報道が少ないかということを身をもって体験しています。そういったなかでこれだけ多くの方がお集まりくださって、心から嬉しく思いますとともに、常に検討している中身を全部オープンにしていくべきだと思っています。そうでない限り、みなさんに関心を持ってもらえない。関心を持ってもらうためには、記事にできるような、やはり先を見据えた改革の手段、やり方を常に前向きに出して、バスケットボールのファンに興味と関心を持ってもらい、それ以外の人もバスケットボールはこういうことをしているのかと理解してもらえるのではないかと思います。
今一番の問題は1976年の(モントリオール)オリンピック以来、男子日本代表チームがオリンピック予選に勝てていないという…それを突破するためには代表の強化が絶対に必要なわけで、そういうなかでもトップリーグの存在というのは大きな役割を持っているはずです。そのへんが今まで曖昧模糊としていて、強い役割というか、そういうものが今までできていなかった。今回の新しいリーグを作ることで、車の両輪として、日本のバスケットボール界の発展に尽力できればいいなと思っています。そういうことでよろしくお願いいたします。

――(会談が)公開されたので、内容はある程度聞いていましたが、確認の意味も込めて。①3月4日におこわなわれる次のタスクフォースで、一部参加チームの参加基準を決めるとおっしゃっていましたが、これは5000人規模のアリーナを確保できる目処が立つのかどうか、あるいは経営状況まで条件になるのかと考えていいのか? ②サラリーキャップ制を廃止する代わりに最低年俸を定めるべきではないかとのことでしたが、チェアマンはどの程度の額を考えているのか?

現在NBLではサラリーキャップが1億5千万。bjリーグでは6800万と言われている。選手の登録は12~15人と決められていまして、12人であったとしてもbjリーグの場合は500万ちょっと。NBLは15人として1人1000万。最低1000万と僕は思っているのですが、いきなりbjリーグの人たちに対して、飲んでもらえるのかわからない。少なくともそれくらいの夢を…夢と言えるほどの金額かどうかわかりませんが、1000万をもらっていなくて、200~300万でプロと言えるのか。たとえば四国アイランドリーグの石毛さんとスタートのときにいろいろ話し合ったのですが、四国ILのときは当初月給が100万という話があって、うまくいかないから80万まで落としたんですけど、四国ILの場合はそこで確約をするとプロ野球に行けるという大きな夢があるんですね。だったら安くても、認めてもらえればプロ野球で引っ張ってもらえる可能性があるんだけど、バスケットボールにはその上がないんですよ。サッカーの場合にはヨーロッパの一流クラブからの引きがあって、そういう夢が世界につながっているんだけど、バスケットボールの場合には残念ながら田臥(勇太)選手(リンク栃木ブレックス)以来、今は富樫(勇樹)選手(Dリーグ/テキサス・レジェンド)がNBAの下部チームで活躍していますけど、そういうことからいうと世界につながっていない。だからこそ、日本のトッププロリーグでそれなりの給料をもらえないとやっぱりバスケットボールの選手としての最低限の夢はかなわない。僕としては最低1000万のところで決めたいんですけど、これは各クラブとの話し合いで決まることです。

――NBLとの会談の中で企業チームの独立法人化がマストだと力説されていましたが、一方で企業チームはそこを進めづらいという印象を受けている。後押しをする方策は考えているか?

なかなか独立法人化しづらいという話は、前の段階では聞いていましたけど、今回のタスクフォースができてからは、僕のところにそういう話は届いていません。
これでなければいけないと言っているので、それはこういう理由でできないんだと言われても、マストだから作ってくださいよとしか言いようがない。独立法人化しないとバランスシートその他、選手への年俸なども含めて企業努力をして、3年間赤字経営の場合は下に落とすということも考えていますし、そこのところの経営内容を明確にするためにも、独立した法人格を持たないとそういうところが表に出ませんから、こういう透明性ということについて明確にやっていかなければいけないと思っています。

――チェアマンに就任されて、改めて感じた理想と現実のギャップはどれほどあった?

Jリーグを作るときはプロのチームがなくて、条件的に各クラブは企業チームとして一律に並んでいたわけです。だからこれに参加するために、この基準を突破しない限りどんなに実績のあるチームでもJリーグに入れないよと断言できたわけです。今回の場合にはすでにプロリーグというものがあって、片方に企業チームがあって、この条件を突破しない限り認めないよと、苦労しながら10年間やってきたbjリーグに対してすごく言いにくい。そこのところをどのようにうまく調和を取って、そしてこういう選定の基準の上に立って決まるのであればやむをえないと思えるような調査と、将来展望や構想も含めてヒアリングを通じて、十分それを聴取しながら最終決定にまで持っていかなければならない。ここのところがずいぶんしんどいところだなと。しかもサッカーの場合は5年かかって各都道府県の市長や知事にお会いして、具体的なJリーグの理念などを語り、どうしても協力してほしいという話し合いを続けて、結成に至ったわけです。しかし今回はたった4か月ちょっとでそれを決めなければいけない。時間がないんです。その時間がない中でFIBAが認める1つのプロリーグとしてのやり方が、こういうやり方でよしと思われるためにどういうふうにそれをスピードアップしてやっていくのか。そのためには5000人以上の収容人員のあるアリーナが必要ですよといったときに、すぐにできませんね。その場合に市長さんが5000人規模のアリーナを3年後に絶対に作ってあげますよと言ったらそれを認めるとか、そういうふうな手法でもって、将来のあるべき姿をそのクラブの一部として認めていくとか、そのへんが決まったものができたからこうするという形になかなかなりにくいのが、今回の一番難しいところであります。

――そういったなかで「スポーツはするものから見せるもの」という話をよくされています。やはりファンの心理からすると2016年のオリンピックの予選が4か月後にはまさに始まる。間に合いますか?

これは絶対に間に合わせなければならないと思っています。ファンのためにも選手のためにも、ここは我々が最大の努力をすべきで、やはり最終的にこのことでFIBAが認めてくれるかどうかは、常にコミュニケーションを取りながら、最善の方法を我々としては見出していきたいと思っています。

――細かい話だが、先ほどサラリーキャップは認めないという話がありましたが、今NBLでプレイしている企業は世界的な大企業です。そういう企業で仮に独立法人を作って、そこで経営をしていくとします。選手の胸スポンサーとして毎年、元親会社が3億円出しましょうという話になった場合、そのチームのフロントはそれ以外のスポンサーの獲得をそんなに頑張らなくてもいいとか、チケットが半分くらいしか売れなくてもほかのチームよりは裕福な経営ができてしまって、選手に高い選手にお金を払って、フロントはそんなに頑張っていないのに、いい選手がどんどん入ってきて、そういうチームがどんどん勝ってしまう。こういう可能性がありうると思う。そのあたりはどう考えますか?

(間髪を入れず)そういう可能性はあまりないと思いますね。要は財務内容をすべてオープンにするわけですよ。そうしたら3億円をもらって、その3億円以外にスポンサーを集められなかったり、入場収入が集められなかったり、本当にプラスαでまったく努力していない数字というのは全部オープンにされますから、いったいこの経営者は何をしているんだと、ファンにも明白に出るわけです。だからこそ経理の透明性というのが一番大事なので、つまりそれは経営者として失格ですよね。3億円もらっていたのであれば、6億、7億、8億…もっと集める努力をして初めてその人が経営者として認められるわけで、そのことが選手の年俸を上げることにつながり、いろんなサービスにつながっていく。そのことを心配していたら、企業チームを認めるということになりえないし、企業チームの存在そのものが全体を押し上げる力になると思っているからこそ、企業チームを認めると言っているわけです。

――では今のJリーグのように全チームの財務内容が定期的に公開されると考えていい?

もうね、僕はそれを絶対にすべきだと思っています。それは必須条件ですね。これもマストです。

――確認になります。①今日の会議の中で私的な考えとしながらも5000人のアリーナだとかチーム数など、さまざまな条件を挙げていました。4日のタスクフォースでは今日話した川淵チェアマンのアイデアを叩き台にして基準を作るという理解でよい? ②新規参入のチームについてですが、4日に基準を作ってすぐに募集をかけるのか? かけるのであれば、いつまでの期間、募集をかけるのか?

①についてはその通りです。
②の募集というよりは、今の全部で37…今はね、もうひとつ追加があるって言っていましたね…だから24(=bj)の、13(=NBL)で37に、9(=NBDL)だから47(※発言のまま。実際には46です)のクラブがあります。それに対してこういう基準で我々としてはトップリーグを作っていきたいので、それに対しての各クラブの置かれている状況を報告してくださいと。それは将来の計画も含めて報告してくださいと、3月初めくらいにこれを決めて、各クラブに提示するわけです。その返事をもらう締め切りが5月中旬くらいになります。それを見たうえで、だいたい分析をして、でも微妙な線にいるチームはたくさんいるわけですから、そういったものをヒアリングしながら、クラブの能力・実力・実績その他を見て、この辺で線を引くかと…その線を引くのは、だいたい答えが出てきたものを分析しながら線を引くことになるかな。線の引き方も、そのときにはなかなか線が引けない、もう2~3か月まで…次の展開を図らせてほしいということで、そこで押し返して、その先に最終的に決断することもありうる。でも今の予想では5月中にできたら決めたいと思っています。それはなぜかというと、たとえば地元の行政が、すぐにいるんならば、急いでこうするよということが結構あるんですよ。それが伸びると行政も決断しづらいということも結構あるから、そういうこともヒアリングを通じて知ったうえで最終決断をしたいと思います。

――各クラブから質問なり、意見なりがあったと思うが、印象に残ったもの、新鮮なもの、参考になったものはあるか?

長野県と北海道ですが、ホームアリーナが絶対に必要で、ホームアリーナが8割、あとの2割は代々木だろうが、どこだろうが、日本全国を回っていいよという発言をした中で、長野の地域としては、あるいは北海道としては、北海道全域を回れるほうがいいという意見が長野と北海道から出たんですね。それは、そのクラブがそう考えた方がより多くの観客が集まり、より多くの支援が集まり、スポンサーも集まるということが明確であれば、ホームアリーナにこだわらなくていいよと申し上げた。これは特殊な事情だと思いますね。今日、コンサドーレ札幌が「北海道コンサドーレ札幌」に名前を変えたと言われて、コンサドーレもそういうわけで「北海道」とつけたほうがいいと思ったので、やはりこれは僕自身がそういう発想がなかったものですから、そういう考え方でそのクラブがうまくいくというのであれば、それはそれでいいんじゃないかというのが、新しい発見でした。

――先ほどFC東京の武藤選手が今後のサッカー界の顔になりうると言っていましたが、日本バスケット界の統合と発展のためにも、個人の人気も必要になると思う。その中心になり得る選手は誰だと思うか?

それは文句なしにジョージ・ワシントン大学(GW大)の渡邊雄太選手ですよ。やはりアメリカ中でGW大の6thマン…レギュラーの5人のなかには入っていないけど、勝負所で出てきて、3Pその他、いわゆるフォワードで…今PGの中心としては田臥選手もそうだけど、フォワードで活躍できる選手がアメリカで出てきたなという印象が非常にあって、僕は皆さんの前で申し上げたけど、日本代表選手の姿が見えないんですね。日本代表チームが見えない。まぁ、渡邊雄太選手のシーズンオフに日本代表チームが彼を中心にというと変ですが、彼を入れて海外のチームと試合を国内でやると、僕だって見に行きたいですよね。そういうことがバスケットボール協会がやっているとは思えない。実際やっているのかもしれないけど、スポーツ好きの僕の頭のなかにインプットされていないんですよ。僕はスポーツが大好きですからね。どのスポーツでも大好きです。だからそういう意味からすると、今までのバスケットボール協会の代表に対する強化や、いろんなアピール度は明らかに足りないなと思います。

――4月に社団法人を立ち上げるという話があったと思いますが、統合のときに問題としてあったbjリーグが株式会社化されていて、それが1つのネックになっていたと思うが、そのあたりはbjリーグと話し合いをしているのか? していないのであれば、川淵チェアマン自身はどのように考えているのか?

実はね…話せば長いことながら、なんで僕がバスケットボールに関わったのかというところから言うと、小浜(元孝)さん(元日本代表ヘッドコーチ)が僕の名前を存じ上げていて、その人が6月だったか、7月だったかに、サッカー協会に訪ねてきて、バスケットボール協会を何とかしてくれという直接のお話をされにこられたんですよ。まぁ、そんな人に来られてもなぁと思っていたんですよ。ただ河内さんのことはプロ化をするときに相談を受けていましたし、深津会長とも話して、とにかく両者がなかなか犬猿の仲で、文書の往復はあるけど、実際には会っていない、会う気がないというふうな関係だったので、アルビレックス新潟の池田(弘)さん(bjリーグ取締役会長)がまさか会長をしているとは思わなくて、電話をしたら「会長をしているんだ」というから、深津さんと河内さんと池田さんと4人で4回くらい会議をしたんです。そのときに一番のネックはbjリーグ株式会社をどうするかというところだったんです。長い間努力をされて、それなりの資本金があって、そのまま潰すというか、なくすにはいろんな規制が多すぎるなと。ここがなかなかうまくいかなかったことが1つのリーグにできなかった理由の、すべてではないけど1つでもあった。だから今回は、前にも申し上げましたが、そのことにこだわっていたら何もできない、発展しないと僕はわかっていたんです。その前の段階です。コペルニクス的転回というのはそういうことで、やっぱり180度考え方を変えて、それはそれとして、とりあえずは夢のある、将来大きく伸びそうなトップリーグを作るというビジョンを掲げて、bjリーグ株式会社はそのあとで考えればいいじゃないかということで話を進めていて、境田弁護士と池田さんその他の話し合いの中でなんとかいろんな運営について携わる、あるいは新しいマーチャンダイジング、テレビの映像管理の会社を作ったときに、その株主として入るということで折り合いがつくかどうかというところを、今やっています。そういう意味ではある程度Jリーグ的精神を発揮して、このリーグの結成に身を切って努力してもらえるという感触があります。

――ヨーロッパではサッカーのクラブがバスケットを持っているということもあります。新潟もそうだが、今後、Jリーグに対して協力できるとか、サッカーで何かできるとか、そういうことは考えているか?

僕はね、本当はそうなってほしいんですよね。村井チェアマンもそうした考えを持ってくれていると思う。たとえば東芝神奈川がとどろきのアリーナでやっているので、あれはまさに等々力競技場のすぐそばですから、まぁ、川崎東芝なんて名前でフロンターレと一緒にやれればいいなぁって思いながら、一方で富士通と東芝だからどうかなと思わなくもないけど、そういうことでJリーグのクラブとバスケットのクラブが一体化して、FC東京のなかのバレーみたいなものですね、そういう組み合わせが生まれていけばいいのになと…これは個人的にそう思っています。でも自分で動けるような立場ではないので…

――最後に一言

ともかく、ありがとうございました。本当にバスケットのことを報道していただくことが、今の僕として一番のお願いで、こんなつまらない…だから今日なんか相当厳しいことを言ったら、それが記事になるのになぁと思って期待していたんですけどね(笑)。みんなそういう質問をしなくてがっかりしたんですけど、ぜひバスケットボールの将来を見守っていただければ、ありがたいと思います。今日は本当にありがとうございました。