3×3は様々な環境でプレーしてきた選手たちが集う交差点(SHONAN SUNS 根岸夢選手/SHIBUYA SANKAK 川上麻莉亜選手)

Wリーグ10連覇を果たし、日本の女子バスケ界の女王に君臨するJX-ENEOSサンフラワーズ。2013-14シーズンから4年間、常勝軍団に身を置いた川上麻莉亜選手が、SHIBUYA SANKAKの一員として3×3に転向していた。JX-ENEOS時代は2度の大きなケガに見舞われ、コートに立ったのはたった39試合。最後の2シーズンは一度も試合に出られないまま、2016-17シーズンを最後にユニフォームを脱いだ。

川上選手同様、学生時代は常に全国区におり、日本一を目指していた根岸夢選手。アンダーカテゴリーでは、何度も日の丸を背負って世界と戦ってきた。Wリーグへの誘いもあったはずだが、その選択をせずに大学へ進み、卒業後は大手企業へ就職。昨シーズンまでは関東実業団リーグでプレーを続けていたが、今年は3×3で活躍中だ。

日本一のチームにいた川上選手は、空回りするほどの情熱を持っている。一つ年上の根岸選手は、常に俯瞰してものごとを見ているクールビューティー。U18日本代表として一緒にプレーして以来の仲ではあるが、それぞれ違う道を進んできた。

「3×3では対等に戦えているのが新鮮だし、本当にうれしい」川上麻莉亜

「本当に別々の道を歩んじゃったから、まさかまた一緒にプレーできるなんて思っていなかったよね。たまにWリーグの会場へ応援にも来てくれたけど、その度にプロとしてJXの厳しい環境にいたから、夢さんのことが少しうらやましく思ってました」

川上選手は、ふたたび根岸選手と同じコートに立てることを喜ぶとともに、「JX時代はあまり試合に出られなかったから、今はあの時の主力選手たちと一緒にバンバン戦えているのがすごくうれしい」と不完全燃焼で終わったWリーグ時代のリベンジに燃える。
「ずっとJXのベンチで見ていて『すごいなぁ』『うまいなぁ』と思っていたWリーグの選手たちと、3×3では対等に戦えているのが新鮮だし、本当にうれしい。3×3でも真剣にバスケができていることは、4年間JXでプレーしてきた意味があったんだなってすごく思う」

同じようなアスリート魂に火がついたのではないか、と根岸選手にバトンを渡すと「その気持ちがあったら、たぶんWリーグにいるもん。笑」という正論が返ってきた。川上選手は引退直後、「もう絶対にバスケはしないと思ってた」と言う。しかし引退直後の2017年、3×3が2020年東京オリンピックでの正式種目に決まったことで気持ちが動かされる。矢野良子選手をはじめ、根岸選手など4チームからの誘いもあった。
「やっぱりまだバスケがしたいと思ったし、オリンピック種目に決まったことがすごくうれしかった」

「いろんな分野の選手が入ってこられるのは3×3しかない」根岸夢

川上選手の話を微笑んだり、首をかしげたりしながら横で聞く根岸選手は、3×3を斜めから見ながら様々なことを吸収している。
「これから発展していくリーグに携われることで、運営面などプレーだけしていたら見えないことも3×3では見えるのでとても勉強になります。Wリーグを引退した人から私みたいな人まで、いろんな分野の選手が入ってこられるのは3×3しかない。新しい人脈が増えるのもすごく良いところです」

オリンピックをキーワードに注目度も、関わる人も一気に増えたが、もっと3×3を盛り上げていくためにも選手自身がアピールしなければならないことを根岸選手は感じていた。

「本当はどのリーグでも、選手自身から発信しなければ盛り上がらないことに気づいてほしいと思っています。麻莉亜みたいにWリーグでプレーするだけでは、なかなか気づかない選手も多いです。でも、私たちがそれをやっていくことで、Wリーグの選手たちにも3×3の存在を知ってほしい。(藤岡)麻菜美(JX-ENEOS)は『注目してる』って言ってくれてます」

その言葉を聞いた川上選手は、「ネオさん(藤岡選手のコートネーム)が来てくれたら、すぐじゃん!」と反応。しかし、意味が違う。
「いやいやいや、麻菜美が3×3に入るんじゃなくて、うちらが発信することでWリーグの選手たちも気づいて、向こうも同じようになればもっとバスケ界全体が盛り上がると思うって話」
納得したのか、川上選手から出たアイディアは「もう、ユーチューバーになろうよ!」。根岸選手曰く、「最近これしか言わないんですよ」

バスケを盛り上げることに興味を持つ根岸選手は、今秋よりニュージーランドへの留学が決まっている。語学の習得だけではなく、ニュージーランドの女子トップリーグでプレーできる道もすでに開拓し、大きな一歩を踏み出す。

根岸夢選手の公式サイト
(7/24(火)21:00 NHK総合「ニュースウォッチ9」にて根岸選手特集)

2年後のオリンピックへ向けて──

これまでトップレベルにいた選手たちにとって、3×3はまだまだ模索段階である。だが、何かしなければいけないという意欲が沸き、意識は大きく変わっている。炎天下の中、川上選手のボルテージがさらに上がった。

「血迷った(筆者注:すごく迷った)分、Wリーグを辞めても次は3×3があることで本当に盛り上がっていくと思います。Wリーグのファンが夏は3×3を観に来てくれれば、すごくうれしい。5人制で代表に入れない選手にとっては、チャンスがメッチャ増えるわけです。今後はミニバスをしている子どもたちも、3×3で日本代表になりたいと思うようになるかもしれない。今、小学生に3×3を教える機会があり、そこでリーグができたことも発信しています。東京オリンピックに決まったことで、意識が変わりました。ねっ」

視線の先にいる根岸選手は、「『ねっ』じゃないから。毎回同意を求めるのやめて!苦笑」

熱く、かたや冷静に3×3を盛り上げる二人だが、オリンピックはどう考えているのだろうか?
「目指しています」と即答したのは熱い方の川上選手である。テレビの取材で「目指してるって言っちゃった」という根岸選手。しかし本音は、「きっとWリーグの選手を入れたいと思うからなかなか難しい」とあいかわらず冷静に状況を捉えている。
「でも、私みたいにやる気のない人が(オリンピックを)目指している活動だけでも、きっと勇気をもらえる人もいると思うから…それでいいかな」

それに対して川上選手が「こうは言っても、絶対に内に秘めてるものがあるんですよ、夢は」と反応する。まさに、その通りである。人前ではなかなか汗を見せないクールビューティーだが、裏側ではしっかり準備している。その闘志や努力がなければ、これまで日本一を目指したり、世界と戦って来られたわけがない。

温度差はあれど、情熱を傾ける世界初の女子3×3プロリーグ「3×3.EXE PREMIER」がいよいよ来週7月29日(日)より開幕する。3×3を盛り上げたい彼女たちの意気込みはいかに!?

根岸選手「せっかくならば優勝したいですね。最初のリーグで、第1回で優勝したいなぁ」
川上選手「開幕に向けてダイエットしてます。チームメイトには痩せろとしか言われない」

こんな二人だが、コートに立ったら目の色が変わるトップアスリートたち……だと信じたい。高校生になった頃から見てきた彼女たちが、今なお本気でバスケをしている姿を見られることがなによりもうれしい。

WOMEN’S 3×3.EXE PREMIER スケジュール

7月29日(日)12:30-15:00 オリオンスクエア (栃木県宇都宮市)
8月5日(日)11:00-18:30 大森ベルポート (東京都品川区)
8月18日(土)13:00-17:30 ららぽーと立川立飛 (東京都立川市)
8月19日(日)13:00-17:30 大森ベルポート (東京都品川区)
8月25日(土)13:00-17:30 ダイバーシティ東京 (東京都江東区)
8月26日(日)13:00-17:30 ダイバーシティ東京 (東京都江東区)
9月15日(土)12:00-17:30 大森ベルポート (東京都品川区)

SHONAN SUNS
小沼 めぐみ、本田 雅衣、中川 聴乃、根岸 夢、安江 舞、桂 葵

SHIBUYA SANKAK
岡田麻央、小池真理子、橋本和子、川上麻莉亜、苗田未来

3×3.EXE
3×3 JAPAN TOUR

文・写真 泉 誠一