パイオニアとはそういうものじゃないですか?(TOKYO DIME 岡田優介オーナー)

暑い、熱い「3×3.EXE PREMIER 2018 女子カテゴリー」開幕戦の取材が終わったあと、バスケット・カウントの記者とともに暑気払いをすべく、宇都宮の餃子屋に入る。奇遇にも、TOKYO DIME御一行様に遭遇。ここで会ったのも何かの縁ということで、岡田優介オーナーへ囲み取材を依頼。TOKYO DIMEの共同オーナー兼プレーヤーであり、ご存じのとおり京都ハンナリーズの一員としてBリーグでも活躍するあの岡田選手である。
女子3×3チームのオーナーになるきっかけとともに、外国籍選手を入れた野望について、足早に語っていただいた。

女子だってオリンピックを目指したいし、まさにそうだな

もともと矢野(良子)さん(BEEFMAN.EXE)から「女子3×3をやりたいけどリーグもないし、そもそもプレーする場がない。なんか力を貸してよ」という話がありました。そこで昨年、3×3.EXE プレミアリーグ(以降プレミア)の代表者会議の席で、「オリンピック種目になったわけだから、みんなで少しずつサポートしながら女子も活躍できる場を作りませんか?」という話をしました。もちろん「僕ができる範囲であれば協力します」とも言いました。それはそうですよ。女子だってオリンピックを目指したいと思うし、まさにそうだなと思っていたので、できることは協力したかったです。その後、プレミアも女子リーグを作ることになり、すでに男子を持っているチームに対して「女子チームも作りませんか?」という募集がありました。うちは大変だけど、「でも、やりましょう」と手を挙げました。すばらしいことですし、何かできることがあれば協力したい。今までの蓄積もあり、やることに意義があると思ったからです。

ただ、女子はビジネス的に大変であり、また文化が男子とは全く違います。まず、理解度が違いました。男子以上に3×3は理解されていなかったです。今回、U23女子3×3日本代表がWリーグの現役選手で構成されたことで、少しずつ変わってくると思います。プレミアでも、やっぱりWリーグの現役選手に入って欲しいと思い、実はいろんなルートからオファーを試みましたが、なかなかすんなり行く話ではなかったです。それはBリーグも一緒で、やっぱり「ケガしたらどうするんだ問題」があり、なかなかOKはもらえません。でも、本当は選手自身が決めるべきことです。ただ、女子の場合は実業団であり、プロではないので所属チームの許可がいることは確かにそうだなと思いました。

なんのためにバスケをしているかと言えば、楽しいからやってる

3×3はまだできたばかりであり、今は過渡期です。どんなことでもそうだと思いますが、みんながみんなハッピーな状態ではじまるわけではない。全くない市場を今から作ろうとし、切り拓いて行くわけだから目の前の利益ではなく、5年後、10年後のことを考えて、今はみんな一生懸命やっています。パイオニアとはそういうものじゃないですか?この経験がどう生きるか、選手それぞれが判断しているわけです。今、いくらもらえるとか、そういう話ではない。その経験をどう生かすかということが大事です。

それはBリーグも全く一緒です。結局、ケガをしたらどうなるかとか、報酬がどうなるかというのは人それぞれの価値観であり、それぞれ違います。「たいしたお金ももらえないのにやる意味あるの?」と言われることも正直言ってあります。でも、お金のためにプレーしているわけではない。それを言ったら、お金だけのためにバスケをしているという話になってしまいます。立ち返れば、やりたい人はやるし、やりたくない人はやらなくても良い。本当に人それぞれであり、自分がなんのためにバスケをしているかと言えば、楽しいからやってる。それも一つの選択肢だと思います。

女子バスケ界に一石を投じた外国籍選手の参戦

Wリーグに外国籍選手がいないので、3×3では入れたい。まさにそれしか考えてなかったです。ぶっちゃけそれで何かをしようとか、そういうことはどうでも良いんです。まずはやってみて、どんな反応が起きて、何かが変わらないかなと思っている。今までやってきていないことを、3×3を通じてどんどんトライすることで予想しなかったような反応が起き、いろんなことにつながっていくわけです。今まで、いろんな形でそれは経験してきました。自分はこれまでそのスタンスでやってきたし、それを3×3でもやってるだけですね。だから今回このような形で外国籍選手を呼んできて、日本人選手とマッチアップさせてみたら、観客は「おぉ〜」ってなるわけじゃないですか。こんなの見たことがないわけであり、そこを見せたかったのが一番です。「なんだこれ、はじめて見た」ということを繰り返していくことが楽しいです。

外国籍選手が入ったことでどう感じたかということ自体が、この業界にとっての財産であり、ひとつの良い経験になると思います。「外国籍選手を入れれば勝てる」という簡単な話ではないことが、今回ひとつ分かったことです。それぞれの関係者が何かを感じ取った開幕戦でした。僕も感じ取りました。簡単に勝てると思っていたわけでないですが、やっぱり負けたのは悔しかったです。

TOKYO DIMEにやってきたアメリカ人、シャンテル・オサホー選手は2017年WNBAドラフトでシカゴ・スカイに指名された経緯の持ち主。しかしWNBAでのプレーは叶わず、昨シーズンはアメリカのドレイク大学でコーチをしていた。

「WNBAに戻れるかどうかは分からないけど、海外のリーグでプレーするのが今の目標。そこで良い活躍ができれば、またWNBAへの道が拓けるかもしれない。その第一歩がこの3×3へのチャレンジなの」

開幕戦の初戦は緊張したそうだが、2戦目、3戦目は手堅くプレーし、チームにフィットしはじめている。足を曲げずにノージャンプスローで決める3Pシュートが武器であり、もちろん身体を張ったインサイドプレーは見応え十分だ。Round2での巻き返しに期待が高まる。

今回のインタビューの中で、「パイオニアとはそういうものじゃないですか?」という言葉が今も耳に残っている。その昔、ストリートボールというジャンルを日本に持ち込んだパイオニアたちが、3人制バスケのひとつのレールを敷いた。彼らは同じようにお金ではなく、「楽しいからやってる」を原動力とし、その楽しさを広めるために奔走していった。彼らの名は、FAR EAST BALLERS。

AJ(ストリートボールリーグLEGENDやSOMECITYの立ち上げに携わる。明星大学ヘッドコーチであり関東大学リーグ2部に昇格)、COHEY(青木康平/bjリーグで活躍し、その終焉とともに引退。現在、地元福岡を起点にスクール「Watch&C」を運営し、TOKYO DIMEの瀨﨑里奈選手もコーチの一人)、CHRIS(佐々木クリス/NBAアナリストとしてテレビで活躍。バスケアカデミー「えいごdeバスケ」も盛況)、DJ MIKO、健作(琉球ゴールデンキングスの立ち上げメンバー)、ヨネ、MUЯ(新木場バスケカフェ「BALL TONGUE」マスター)、DAICHIらが筆者の前に現れた2002年の秋を思い出す。そして、同じ匂いを岡田オーナーや女子3×3選手たちに感じている。ストリートとは一線を画し、現在の3人制はオリンピック種目として昇華した。どのような道を切り開いていくかが楽しみである。

開幕戦はFINALに進むも勝ち切れなかったTOKYO DIMEがリベンジに挑むRound2は8月5日(日)に大森ベルポートで行われる。「TOKYO DIME 3×3プレミアの誘致大会」と称し、XFLAG x TOKYO DIME限定コラボTシャツをはじめ様々なプレゼントを用意して、TOKYO DIMEが東京開催を盛り上げる!

渋谷にある「DIME PIZZA&SPORTS」では、弊誌バスケットボール・スピリッツも置いていただいている。観戦とともにぜひお立ち寄りいただき、その日のゲームの話で盛り上がることもオススメしたい。不定休とのことなので、まずはサイトをチェック!

TOKYO DIME
3×3.EXE

文・写真 泉 誠一