3人制バスケ『3×3』のオリンピック出場枠はたった8チーム。FIBAランキングをアップさせることが出場への近道

日本時間11月2日、FIBAがマリオカートを走らせた──

日本の象徴的キャラクターをパロったFIBA公式ツイッターを通じて、3×3に関する東京オリンピック出場への道のりが発表された。出場枠は男女それぞれたった8チーム。そのうち半分の4チームはFIBA国別ランキングで決まる。現在日本は男子が3位、女子は8位と好位置につけている。

ランキングを上げるためには大会に出なければはじまらない。それらの大会はFIBAが主催するものでもない。FIBAへエントリーし、出場チーム数などの規定さえクリアすれば、例えば学校の球技大会でもポイントが加算される敷居の低さである。自作自演のようなレギュレーションだが、競技人口を増やし、裾野を広げていくきっかけ作りとして、FIBAの思惑がうかがえる。そのランキング争いは今月よりスタートし、来年11月1日まで1年間続く。ゆえにFIBA公式ツイッターが号砲を鳴らし、マリオカートを走らせたのだ。

残る4チームは、2度の予選トーナメントが予定されており最初に3チーム、ラストチャンスとして1チームが出場権を得られるようだが、その詳細は不明である。日本がその予選に出られるかどうかも保証されていない。

不安と焦りで作った『3W』。ランキングを上げるために元Wリーグ選手たちも参戦

ランキングを上げることが出場権獲得の近道であり、そのためには試合環境が必要となる。その危機感を早々に察知し、焦りを感じていたのがオリンピック出場を目指すため、Wリーグから3×3に転向した矢野良子選手だった。

「11月からオリンピック争いがはじまるのに試合がなく、なんとなく日々を過ごす中でハラハラし、不安しかなかったです。その焦りだけが強くなり、こうなったらもう大会を作るしかないと思ったのが3ヶ月ほど前のこと。私のバスケ人生はもうあと2年しかないんです。でも実際は、来年に出場国が決まるため、もう1年しかない。今年が勝負です」(矢野選手ロングインタビューは弊誌次号12月号に掲載)

ポイントを獲得し、ランキングをアップさせる場として作ったのが女子3×3トーナメント「3W(トリプルダブル)」である。すでに3回開催し、弊サイトでも紹介してきた。少しずつ認知度を高めてきた甲斐があり、11月10日に渋谷ストリームで行われた第4回大会は過去最高となる14チームが参戦。矢野選手率いるREXAKTが3度目の頂点に立った。

今回の「3W」には、5人制の元日本代表である川原麻耶選手が出場していた。トヨタ自動車アンテロープスで8シーズン活躍したシューターであり、2015-16を最後に引退。現在は地元大阪で3×3を続けており「チャンスがあればオリンピックに出たい」と意欲を持ってコートに戻ってきた。それ以上に、日本全体でランキングを上げなければならない状況に対し、「私はまさにそのポジション」と試合を重ねている。

「もちろん自分にチャンスがあれば、オリンピックに出たい気持はあります。でも、若い選手たちこそ、大きな舞台に立って日本を盛り上げて欲しいとも思っています。今こうして経験していることを後輩たちに教えてあげることもできるかな、と思って3×3をはじめました」

トヨタの後輩たちが奮闘し、世界2位となったU23ワールドカップはスマホに向かって声援を送っていた。
「高さも関係はあるかと思いますが、日本のすばしっこいプレーで海外に勝てるのかな、と思います。日本でも通用する部分はたくさんあるので、3×3には将来性を感じています」

先輩の矢野選手、U23日本代表として活躍した後輩の馬瓜ステファニー選手や山本麻衣選手らとともに、ふたたびトヨタメンバーで出場できれば「うれしいですね。今後が楽しみです」と、その可能性もゼロではない。

『誰が出るかではなく、みんなで高め合えれば良い』有明葵衣選手

将来的にはU23やU18のカテゴリー展開も視野に入れる「3W」だが、現在は高校生も同じ舞台で戦っている。綾瀬高校のバスケ部メンバーで出場するNEW GPSの#77の活躍に目を奪われた。話を聞けば、2017年の3×3 U18日本代表経験者の中山梨央選手だった。現在18歳の中山選手も「オリンピック種目に決まり、そこを目指しています」。WリーグOGも多く参戦する「3W」の舞台は「新鮮です。有名な選手も普通に出ていますし、普段であれば絶対にできない経験ができています。この舞台に立てていることを誇りに思います」と目を輝かせながら、コート上では臆することなく戦っている。

「東京オリンピック出場に向けて、何かしらの力になりたいと思っています」と言い、矢野選手が立ち上げた「3W」に感謝するのは、TOKYO DIMEの有明葵衣選手だ。Wリーグでは矢野選手と入れ替わりで富士通レッドウェーブに入団し、6シーズン活躍。ふたたびコートに戻ってきた有明選手は、3×3をどう盛り上げていくかを常に考えている。「3W」を通してポイント獲得も大事だが、「3×3を知ってもらうためのパワーがまだ少ないと感じています。渋谷の真ん中でやってるからこそ、もう少し観に来てくれる方を増やしていきたいです。分からない人たちはとにかく応援に来て欲しいです」と訴えていた。

自身のオリンピック出場に関しては、「そこに行く意識で臨まなければ、みんなのレベルが上がらない。みんながオリンピックに出るつもりで高め合っていくことがレベルアップにつながります。誰が出るかではなく、みんなで高め合えれば良い。切磋琢磨できる『3W』はありがたいです」という有明選手の言葉には説得力があった。新しい競技を盛り上げ、東京で開催されるオリンピック出場を手にするためには、選手も応援する人たちもみんなで高め合っていかねばならない。

次戦の「3W」は11月17日(土) にダイバーシティ東京で開催される。観戦はもちろん無料だが、参加費も無料であり、3〜4人さえ揃えば誰でも出場が可能だ(※出場チーム数には制限がある)。優勝賞金や3位まで副賞があり、出ない手はない。現在ランキング8位の女子を4位以内に浮上させるためにも、みんなの力が必要になる。選手たちが力を合わせてランキングを押し上げることも、3×3の特長だ。

3Wの最新情報はインスタにて
3Wの概要やエントリーは公式サイトにて

文・写真 泉 誠一