スプリングトーナメント⑧群雄割拠の春を終え、秋に向かう4年生たちの覚悟

第67回関東大学バスケットボール選手権大会は筑波大の優勝で幕を閉じた。が、その筑波大が準々決勝、準決勝といずれも1点差の勝利だったことからもわかるとおり、チーム間に大きな実力差はなく、その分接戦が多い大会でもあった。新チームになってまだ間もない時期ながら連日の戦いから見えてきたのは、『群雄割拠』の図だ。昨年に続く戦国時代を勝ち抜くには今大会で見つけた課題をどうクリアしていくか、ここからは最後の1年に懸ける4年生たちの力の見せどころでもある。

チームに活力を与える”キャラクター”(筑波大4年 青木太一)

優勝した筑波大の2大エースは3年生の牧隼利と増田啓介だ。それを支える4年生の1人青木太一は自分の役割をこんなふうに語る。

「一生懸命プレーすることをよく『まじめに頑張る』と言ったりしますが、自分には”まじめ”という表現が似合いません。それが似合う4年生として波多(智也)や玉木(祥護)や仲澤(翔大)がいてくれて、自分はなんて言うんでしょう、青木太一というキャラクターっていうか、人間性みたいなもので貢献したいと思っています。1年から3年までほとんど試合には出られなかったですが、その間もそういうことはずっと意識していて、今は周りも認めてくれてます。ほんと、うまく言えないんですが、自分がコートに出て活躍すれば同じプレーでも他の選手の1.5倍ぐらいチームが盛り上がるみたいな」

たしかに青木のシュートが決まったときの歓声は誰よりも大きい。15分コートに立った準決勝(対大東文化大)では6得点をマークしたが、単に数字だけではなく彼の1本のシュートがもたらす”活気”は間違いなくチームを勢いづけた。試合後、「青木はね、ポイントでリズムを変えられる選手。今日もいい味を出してくれました」と、吉田監督が口にした”いい味”は本人が言う「青木太一のキャラクター」と重なるものなのだろう。

「去年までチームを引っ張ってくれた青木(保憲)さん、(杉浦)佑成さん、それと(馬場)雄大さんがいなくなって、今年はスーパースター不在のチームになりました。けど、その中で牧や増田が頑張ってくれている。彼らをより生かしていくことは自分たち(4年生)の役割の1つだと思っています。それには個人的にももっと成長しないと。もうちょっとドリブルをつけるようにしなきゃと思うし、ボールを持たせてもらえなかったときに何ができるかも考えなきゃならない。長いリーグ戦は勢いだけじゃ勝てないからスカウティングされてきたときにその上を行けるよう、もう課題はいっぱいです」

“まじめ”は似合わないと言った青木は”まじめ”に秋を見据え、4年生の役割を全うしたいと考えている。

「のびのびと風通しのいいチームを作りたい」(東海大4年・内田旦人)

今大会6位に終わった東海大もまた下級生が主力となるチームだ。昨年のトーナメントは5位、リベンジを狙った秋のリーグは9位、インカレは準々決勝敗退とふるわず、重い空気が流れるシーズンとなった。キャプテンの内田旦人は「今年はまずその空気を払拭したい」と言う。そのために自分に誓ったのは「最上級生として背中で見せる存在になる」ことだ。ためらわず言うべきことは言い、同時に下級生たちの声に耳を傾け、風通しのいいチームを作りたい。

「自分が1年生のとき、4年だった(ベンドラメ)礼生さんや(小島)元基さんが下級生でものびのびやれる雰囲気を作ってくれました。選手間のコミュニケーションをしっかり取って、あのときみたいな雰囲気を作ることがキャプテンとしての役割だと思っています」

今大会では鶴田美勇士とともにスタメン出場、ベンチスタートながら秋山皓太のディフェンス力も光った。「うちには3年生以下有力選手が揃っていますから、僕たち4年生には彼らの力を引き出すという役割もあります。けど、それだけではなく4年生それぞれの長所を出すことも必要。自分の場合は得意とする3ポイントシュートの精度を上げていくことが課題です」。下級生を牽引しながら、最上級生として成長していく。キャプテンとして思い描くのは、全員がのびのびコートを走り、激しいディフェンスで圧倒する秋の東海大だ。

チームを強くするためには、まず自分たちが強くなる(青山学院大4年生)

準々決勝で筑波大から前半14点のリードを奪いながら後半失速して1点差で敗れた青学大は、順位決定戦に回った初戦で東海大にも後半競り負け、続けて専修大にも逆転負けを喫した。3年生にはシューター納見悠仁、伊森響一郎、ゴール下でのたくましさが増したナナーダニエル弾、2年生には大型オールラウンダーとして注目される赤穂雷太など伸び盛りの下級生が揃うが、「メンタルが全然だめ。自信がないからいつも勝負どころでビビってしまう」と、廣瀬昌也ヘッドコーチは手厳しい。「勝つためには精神面での強化が必須」(廣瀬HC)というチームの中で、これから4年生が担う役割はより大きくなるはずだ。

石井悠仁、前田悟、高橋浩平、戸田貫太の4年生たちはいずれも名門・青学大のバスケットにあこがれて門を叩いた選手たち。「でも、入学してからまだ1度も優勝を経験していません。自分たちの代でそれを成し遂げるためにもまず自分たちが強くならないと」――大会を終えてそう語った石井の言葉は名門復活に懸ける4年生全員の思いでもあるだろう。

1つの勝ち星が自信となり、チームを成長させていくリーグ戦。この秋、長丁場を戦いながらたくましく変貌する青学大を見たいと思う。

大会結果

優勝 筑波大学(3年連続7回目)
準優勝 中央大学
3位 白鷗大学
4位 大東文化大学
5位 日本大学
6位 東海大学
7位 専修大学
8位 青山学院大学

個人賞

最優秀選手賞 牧 隼利(筑波大3年)
敢闘賞 中村功平(中央大4年)
優秀選手賞 熊谷 航(大東文化大4年)
      玉木祥護(筑波大4年)
      増田啓介(筑波大3年)
      鶴巻啓太(中央大4年)
      前田怜諸(白鷗大3年)

得点王(98点) 盛實海翔(専修大3年)
アシスト王(22本) 久岡幸太郎(中央大4年)
リバウンド王(57本) モッチ・ラミン(大東文化大3年)
3P王(15本) 盛實海翔(専修大3年)
        大澤希晴(専修大4年)
        中村功平(中央大4年)

関東大学バスケットボール連盟

文・松原貴実 写真・吉田宗彦