春を制した筑波大学の伸びしろたち(筑波大学2年 #11増田 啓介選手、#88牧 隼利選手)

「第66回関東大学バスケットボール選手権大会(以下トーナメント)」は、インカレ3連覇中の王者・筑波大学がその強さを見せつけ、トーナメントでも2連覇を達成した。1本のディフェンス、1本のリバウンド、1本のシュートを決めきる力などが他のチームよりも精度が高く、そこから一気に流れに乗って勝利をつかんでいった。準決勝は2部の日本体育大学を相手に104-57、決勝では白鷗大学を115-57といずれも100点ゲームで退け、圧倒的な強さで春のトーナメントを制した。

チームに活力を与えた2人の2年生シックスマン

シード校の筑波大学は4回戦から登場。初戦の相手は3部に降格した法政大学だったが、試合の入り方が悪く、序盤はリードを許す。その悪い流れを断ったのがシックスマンの増田啓介選手だった。インサイドからコツコツと点数を返していくとチーム全体にエンジンがかかる。終わってみれば82-54と危なげない試合で初戦突破。

続く準々決勝は昨年1部昇格を果たし、青山学院大学を破って波に乗る大東文化大学と対戦。「大一番だと思っていた」と言う増田選手の言葉通り、第3クォーター終了時点で52-48、筑波大学のリードは辛うじて4点だった。しかし第4クォーターに入ると一変する。その立役者となったのが、同じくシックスマンの牧隼利選手である。
「リバウンド面で(馬場)雄大さんに頼りがちになっていることが多いので、リバウンドを獲ることを一番意識していました」
その試合で12リバウンドを奪って流れを引き寄せ、一気に点差を開いて80-67で準決勝進出を決めた。

準決勝・日本体育大学戦は33点、決勝・白鷗大学戦は26点を挙げた増田選手は、優秀選手賞を受賞した。
「シックスマンとして、チームの雰囲気が良いときは『さらに良くして来い』と(吉田健司ヘッドコーチに)言われ、流れが悪いときには『変えて来い』と言われて出される時もあります。どんな時であっても自分のプレーを忘れずに、しっかりアグレッシブに試合に臨んでいました」
1年生だった昨年から出場機会を与えられ、成長著しい。その鑑となっているのが『偉大なる先輩たち』の存在だ。
「3〜4年生の先輩方は偉大であり、本当に能力の高い選手が揃っています。日本の大学界のトップレベルの選手たちばかりで本当にすごい先輩たちです。少しでも近づけるように日々がんばっています」

逆に昨年は思うようなプレータイムをもらえなかった牧選手だが、今年はポイントガードとシューティングガードを担うコンボガードとしてチームに勢いをもたらせている。もともと得点力には定評がある。「杉浦(佑成)さんと馬場さんがいますが、僕も得点を獲っていかなければ勝てないと思っています。常に得点を獲っていこうというイメージは持っています」と、本来の積極的な牧選手が戻って来た。
「1番(ポイントガード)をやってみたいという願望があって、練習ではできていても公式戦で経験を積まなければできるものではないと思っています。試合でも怯えることなくできるようにしていきたいです」

高校の頃から将来を見据えてハンドリング練習などをしてきたが、今年はポイントガードとして経験を積み始めている。また、そのポジションが筑波大学には足りていないウィークポイントでもある。
「自分がガードをやることの利点が何かと考えた時に、ヤスさん(青木保憲選手)のようにゲームを作ることではなく、攻めていくイメージがあり、そこに近づけるようにがんばっています」

まだまだ物足りない!4冠に向けた若き原動力

昨年は春のトーナメント、秋のリーグ戦、そしてインカレを制し、大学3冠に輝いた。しかし、3冠しか獲れなかったと考えることもできる。不適な笑いでそのことを伝えると、増田選手は苦笑い。そう、6月5日から始まる新人戦(予選は5月27日よりスタート)で優勝すれば4冠だって狙えるのだ。近年では、2010年と2011年に青山学院大学が2年連続4冠を達成している。

「昨年は3位という結果に悔しい思いもしましたが、試合自体は楽しい思いもできました。今の3年生である先輩たちがリーダーシップを取ってくれて、1年生だった自分たちは本当に好きなようにプレーさせてもらい、楽しくできました。今年の新人戦では最上級生という立場になるので、1年生にもアグレッシブにプレーしてもらえるようにしたいです。自分のやるべきプレーを出しつつ、後輩たちをカバーしていきたいです」

1年生には昨年のアジアで準優勝となった男子U18日本代表のチームメイトである三森啓右選手や、身体能力高い山口颯斗選手ら楽しみなルーキーも多い。

目覚ましい活躍を見せている増田選手だが、筆者としてはまだまだ物足りなさを感じている。高校時代はもっと飛んでいたはずであり、先輩の馬場選手や玉木祥護選手を凌駕するダンカーとしても、チームを勢いづけられるはずだ。期待を込めて、勝手なるそんな思いをぶつけてみると、「いやぁー、自分としては結構がんばっているとは思っていますが、そう見られてしまうのであれば『ウォー、アイツがんばってるな』と思われるぐらいがんばりたいですね」と頼もしい答えが返ってきた。

増田選手は今年7月にエジプト・カイロで開催されるFIBA U19世界選手権の候補選手に選ばれている。世界に出ることでさらなる進化を遂げてくれると期待し、「ウォー」と叫ぶ準備をしておこう。

ご存じの通り、牧選手と増田選手はともに福岡大学附属大濠高校出身。「牧とは一緒にプレーをして今年で5年目になるので、本当に目を合わせただけでパスが来るのも分かりますし、コミュニケーションの部分でも本当にやりやすいです」と言う増田選手。ポイントガードとしての役割も増えると予想される牧選手は、「一番恐く、一番楽しみにしているのが新人戦です。みんなを引っ張っていけるようにしたいです」と前向きである。

昨年は3冠しか獲れなかった。2年生となったこの2人が、優勝へ導く原動力となる新人戦が今から楽しみである。馬場選手と杉浦選手ら筑波大学の黄金時代を築いてきた4年生を最高の形で送り出すため、黄金時代をさらに継続させていくためにも、ぜひ4冠にチャレンジしてもらいたい。

関東大学バスケットボール連盟

文・写真 泉 誠一