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インカレ女子:輝かしい経歴を新たな思考で上積みし、第一シードにアップセット!(筑波大学#16高辻真子)

「負けたことがある」というのが、いつか大きな財産になる――そう言ったのは漫画「SLAM DUNK」に出てくる山王工業の監督だったか。では「優勝したことがある」というのはどうだろう。もちろん輝かしい経歴にはなるだろうが、経歴と財産は違う。いつかどこかで役立つ「財産」になりうるのだろうか。

インカレ2018女子の2回戦。筑波大学が延長戦の末に第1シードの早稲田大学を【75-71】で破った。勝利の立役者はキャプテンの#16高辻真子だ。第4Q終了直前に彼女が放った3ポイントシュートは、第4Q終了のブザーを聞きながらゴールネットを通過し、【59-62】だったスコアボードを【62-62】に変えた。
「ベンチからも3点を狙えと指示が出ていましたし、最後は自分がしっかり打とうと決めていました」
高辻はそう振り返る。ピックプレーで生じたわずかなズレを見逃さず、高辻は3ポイントシュートを打ったのである。

しかしその直前、彼女は2本のレイアップシュートを外している。疲れが見え始めていた早稲田ディフェンスを抜き去り、多少のシュートチェックはあったとはいえ、決めていてもおかしくないレイアップシュートを2本落としているのだ。それでも高辻は最後のシュートを打ち切った。
「あの2本を落としているからこそ、自分が責任を持って決めないといけないなって」
今年の筑波大学は高辻と#11木村珠貴を除くと、シックスマンを含めた主力のほとんどを下級生で占めている。そんな“下級生チーム”を陰に日向に引っ張ってきたキャプテンが最後の最後で責任を負うことで結実させたのである。

高辻は名古屋にある昭和ミニバス、名古屋市立若水中学、そして桜花学園でそれぞれ全国制覇を成し遂げた、いわば“優勝請負人”だ。そうした経験は誰もができるものではない。男女を通じたインカレ全体を見ても、高辻ひとりだけだろう。彼女自身もそれを頭の片隅に入れていて、大学でも「自分たちの代で優勝したい」という気持ちを抱いていた。
しかし過去の輝かしい経験だけで勝てるほどインカレは甘くない。むしろそれだけに頼っていたら、高辻が同点の3ポイントシュートが決まることもなかっただろう。そこには3年前からコーチングスタッフに加わり、2年前から正式に監督として指導を受けることになった柏倉秀徳監督の存在が大きい。

「同じポイントガード出身ということもあって、柏倉監督もバスケットIQが高いというか、自分でも『なるほどな』と思えることをたくさん教えてくれました。そうしてこれまでとは違う考え方もできるようになってきたんです」
これまでの経験に新たな思考が加わったことで、その経験がより生きてくる。その輝きを増していく。つまり第1シードを破るきっかけとなった高辻のブザービーターには彼女のすべてが詰まっていたというわけだ。
「優勝したことがある」というのも、大きな財産になる。

全日本バスケットボール連盟

文・写真 三上太

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